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姉妹の仁義なき戦い

珍しく雪が積もり、電車が止まってしまった影響で
姉妹揃ってお仕事に行けなくなった。

妹は長年宣言してたオラフを作ると意気込み、
寒空の下雪だるまを作った。

て、天才……!

オラフ作りに満足した妹は、
私を呼び、雪合戦を申し込んだ。

日頃の鬱憤を晴らそうと、コテンパンにしてやる〜と意気込んだものの、あまりぶつけることができなかった。
外ではしゃぐアラサー2人。
仁義なき戦いが繰り広げられていた。

よく兄弟姉妹で比べられるという話をよく聞くけど、同じタイミングで勝負する機会って少ない。
学校の成績は学年が違えば相対的に比べられても、
絶対的に比べるのは難しいからだ。

だが、中学生の時に絶対的に比べる機会があった。
マラソン大会である。

私が中学3年生の冬に初めて開催された大会。
女子の部・男子の部の順に、
中学1〜3年生が一斉に走る。
私にとっては最初で最後の大会だった。

そして私は持久走に自信があった。
テニス部での走り込みで、持久力がついていた様で、体育の持久走では学年2位をキープしていた。
1位は陸上部の子で、いつも最後に抜かされてしまう。

妹はというと、テニス部を数ヶ月で退部していて、
体育の持久走でも先生に怒られない程度で気を抜いて走っていた。
“妹、賢いな”と言われてムカついていた私。
(私は決してバカではなかった)
はっきりと順位が決まるこの大会で勝負をつけようと考えていた。

体育の授業に真面目に走り、学年2位をキープ。
ラストスパートはどの辺からかけたらいいか、
体に叩き込んだ。

迎えたマラソン大会当日。
県民が使う陸上競技場で行われたので、
本格的だなぁ。なんて思っていた。
中学3年生にとっては最初で最後。
貴重であると同時に、絶対に妹には勝ちたいという気持ちも出てきた。

何キロ走ったかは覚えていないが、
1,2年生の体力を思い知らされた。
中高一貫校とはいえ、3年生は一旦夏で引退する。
クラブ活動に少し行かないだけで、
私の前にはたくさんの1,2年生が走っていた。

競技場に戻ってきて最後トラックを回るときに、
3年生が私1人目だということに気づいた。
ゴールまであと少しだ!
そんなときに同学年の陸上部の子に抜かされた。

担任の先生が私に声をかけてくれた。
「がんばれ!あっ!!」
“あっ!!”??
声が聞こえてきたその時、
妹が私を抜かしたのだ。残り1周を切っていた。

え?妹??
私は必死に走った。絶対抜かし返す!
しかし、妹は陸上部の子も最後の最後抜かしゴールした。

妹曰く、「適当に走っていたら(途中歩いていたとか)最後にお姉ちゃんの背中が見えて、
抜かしたろ〜って思って抜かしたねん!」

走る前の男子達、ゴールした女子達に最後の最後
妹が姉を抜かすという所、抜かされてから姉が必死に追いかけるも抜かせなかった所を見られた。
さぞおもしろかっただろう。
ましてや姉の担任の前で抜かすなんて…。
しかも本気じゃなかったなんて……。

あとでゴールした友人に全てを話し、
「あいつひどい、ひどい〜」と大泣きして帰った。
父は勉強して取り返せばいいと言い、
(それが一番ダメなアドバイス)
母は慰めてくれた。
(妹はなぜ慰めるのと文句を言った。)

あれから16年、
仁義なき戦いの勝負はついていない様子だ。

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