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案外さくさく人工股関節全置換術リハビリ

写真は全然季節も違うのですが、古い写真を整理していたら出てきて懐かしかったので。それどころかリアルな季節は昨日あたりから急速に秋の終わりをつげはじめています。

人工股関節全置換手術=リハビリ=

手術した脚の血を抜く管を抜いたため、理学療法士がベッドに来て、リハビリの説明をしてくれました。

それと同時に「何を目標にしたいか」を聞かれました。わたしはフラを習っているのでフラに復帰できること、それから仕事に復帰できることを目標としたいと言いました。

仕事はデスクワーク中心の作業と、輪転機を回したり断裁機を操作したりしますが、時間的には片道60分ほどの通勤と実働6~8時間です。退院後一か月自宅でリハビリしながら、徐々にフルタイムではなく週に何度かの出勤というように戻っていくとよいと言われました。

そして病院でのリハビリは自宅でも続けるよう指導するし、ほとんど本人の努力によって成り立つこと、それを支える役割が病院のリハビリであることを伝えられました。

=車いすに乗る=

最初のリハビリは、車いすに乗ることです。車いすに乗ると言っても分解するといろいろな作業があります。まず、寝ている状態から起きるわけですが、手術後管があちこちについているし、痛みもあるので、ベッドを直角まで起こす操作が必要になります。

足側を少し上げる(膝を持ち上げる形になる)、徐々に上体を立てる、足側を少し下げる、さらに上体を立てる、足側を平らにする、上体を完全に立てる角度にベッドを起こす。

立ち眩みがおこりやすいのでしばらくその姿勢を保つ。二~三日横になり続けていたので、この状態で吐き気が出る人もいるそうですが、わたしは吐き気もめまいもほぼ起きませんでした。

それからおしりを支点にして、ベッドから足を下すのですが、これが痛む側に降りるわけなので、かなり勇気が要りました。

そういえば思い出しました。わたしは術後何度も夢を見ているのですが、その夢というのがいつも同じで、うっかりと立ってしまうのです。そして立った後
「どうしよう立てちゃった!だけどこの後どうすれば!!?ベッドにも戻れないし歩けもしない。どうしよう!!!」
と、パニックを起こしているのです。

がしかし、夢なのでそこで目覚めてほっとするのです。

これを中学生の娘に話したら「ママったら、そんなの夢なんだから自由に歩いていいんだよ」って言われました。それもそうですね(笑)

しかし今は現実にベッドから足をおろさなくてはいけない。ベッドのへりの柵につかまりながら、ゆっくりと体を回転させ、足をじりじり、ベッドからおろしました。

「あ。。。案外痛くない。っていうか、平気」

不思議なことに切ったところもそんなに痛みませんでした。しかし背骨の違和感。「あ、これ痛み止めなんですよ。これがあるから痛みがかなりおさえられてると思います」。

足を下した後、何が大変といえば、身体についている管を把握して、それごと車いすに乗り移ることです。尿管がついているということは、尿をキャッチする袋もあります。袋は一定の高さ(というか低さ)がないと尿が落ちなくなるので、まず袋を車いすのよきところにセットします。そして、点滴をよきところに置いて、点滴が身体に巻き付かないようにセットします。さらに背骨につながっている管が薬のペットボトルのようなタンクとつながっていてそれにボタンなど操作する器具がついていて、それもよきところに置きます。

「よきところ」ってどこかっていうと、ともかくベッドに向き合って車いすがあるので、身体を90度~180度回転させても身体にもベッドにも車いすにもからまない位置です。これが一番面倒というか、最初は介助なしにはできなかったです。特に背中の管とか、見えませんし、それが何かというのも実は翌日までよくわかっていませんでした(笑)。

さて、車いすに乗って何をするか。それはトイレです。トイレに行ったらまた車いすからトイレの便座に座って、そしてまた車いすに戻るわけです。

実は、わたしはこれ、最初からかなり上手に足さばきができました。気を付けるのは足さばきより車いすにロックをかけ忘れないことくらいで、手術のあとも思いのほか痛まず、足の力もさほど落ちてもいず、「ちょっと不安」以外は乗り移りにほとんど問題はありませんでした。

じゃあ早速トイレへ・・・。トイレへ行くのは理学療法士ではなくナースの付き添いです。

だけど全然食欲がないせいで便が出ない!もともとどちらかというとゆるめのほうなので便秘をしたことがほとんどないわたしですが、このときはしたい気持ちもなければおなかが張る感じさえなく、ともかくしたくなかったのですが。しかも尿管が入っているのでふんばって尿管がどうなっちゃうのかという不安もあり、手術痕が痛むんじゃないかとか、もうともかく心配なことだらけで、便意なんか全然来やしません。

それでもオムツにするというのも、どうもしっくりきません。なんとか出そうとしますが、踏ん張れない。断念。

リハビリのあとも初日だけで四回くらい挑戦しましたが、結局便は出ず。

そして食欲も今一つだったので、便意自体なかなか起きませんでした。

=平行棒を伝って歩く=

初回のトイレの後、リハビリ室に行き、車いすから平行棒につかまり立つ、ゆっくり足を出すという動作もやってみました。

なんとあっさりと、できました。

「できちゃいましたね・・・」

理学療法士さんが言いました。

「できちゃいましたね・・・」

「若いからでしょうかね。普通こんなにあっさりいかないです。すごいです。」

わたしは、たぶんこれは昨年末から通っていたプールでのウォーキングとアクアビクスのたまものだなと思いました。水の中では意識して足を動かさなければ前にも進みません。筋力が落ちにくくなっているのもあったでしょう。

=補助具を使って歩く=

じゃあ・・・ふつうは初日はここまではしないけど、やってみましょうか。と、この字型のパイプの台が出てきました。

たぶんこれが一番近い気がします。

これを使ってしっかりと四本の足をついて、自分のいいほうの足を前に出す。揃える、台を前に出して四本の足をつく、自分のいいほうの足を前に出し、揃える。この繰り返しで前に進みます。

ここまでは実にスムーズにリハビリは進みました。

「ただまだこれをリハビリ室以外で使うのは早いので、車いすをメインにしましょうね。尿管が外れたら、歩行器でもいいんですけどね」

と、言われ、最初のリハビリが終わりました。

=尿道炎になりそう!=

さて、大のほうも心配ですが、小のほうにも突然にピンチが訪れはじめました。なるべく車いすに座っていましょうという指導だったので、そうしていたのですが、尿の袋の位置があまりよくなかったのか、尿意がたびたび感じられるようになってきました。

三日目になると上体を起こしたり、充電器に手を伸ばしたり、スマホもだいぶ使えるようになったので、調べてみましたが、本来尿管がついている限り尿意を催すはずはないのだけれど、人によっては違和感からそれが「おしっこがしたい」という感じ方になるという場合も多いと実例がありました。ところが、どうも尿がうまく袋に落ちてないということをナースが発見しました。

「これね、なるべく低いところにつけておいてね。それから尿の管を踏んずけてしまわないようにきをつけて。からまってもでなくなりますからね」

と、ナースの指導を受けるも、どうも尿意が来てしまう。

「もしかして膀胱炎になりかかってるかもしれないです」

と、わたしが言うとナースが「そう・・・なりやすいの?」と聞いてきたので「この計画書には『尿管は抜歯の時外すけど場合により早く外せます』ってあるじゃないですか?もう車いすでトイレに行けるし、もしよかったら抜いてもらうって選択肢あります?」と、聞いてみたらナースが「わかりました。明日まで待ってくれる?今日ナースで話し合って明日朝抜く方向にもっていくから。たぶん大丈夫と思いますよ」と、言ってもらえました。

ここでもナースの話し合いで医師の判断じゃないんだ?と、思いました。不安とかじゃなくナースの仕事の幅の広さに脱帽しかありません。そんな重労働にもかかわらず、この病院のナースは基本的に元気で仲がいいというかほんわかしているというか、ちょっと愉快でもあるのでした。

尿管が抜けてやっとトイレでいきむことができ、わたしは三日か四日ぶりに排泄に成功しました。その感動たるや。もしかして歩けたことより大きかったかも。こんなこと全世界に向かって言うのもなんですが、一度栓が抜けると次々波が襲ってきて、その日溜めたぶんはすっかり排出しきったと思います。

しかしオムツでしたくない。

その気持ちはわたしだけではなく多くの人が持っているらしく、その気持ちが認知症と合体したときどんな悲劇になってしまうのか。わたしはその後目の当たりにすることになるのですが、それは番外編で書きたいと思います。

=筋トレがはじまる=

翌朝尿管が外れたことから車いすではなく、歩行器メインの生活へとリハビリもシフトしていきました。この歩行器は立つときも支えとして心強いので退院後も自宅にあってもいいかな?と思うような代物でした。結果的には買いませんでしたが。

歩行器の練習はさほど時間がかかりませんでしたが、平行棒で歩くとき、理学療法士がわたしの歩行の弱点に気づきました。

「体が横に揺れています。右のおしりと腰の筋肉が弱いみたい」

さて、そこからが大変です。もう「安静の時代」はあっさりと終わってしまいました。

このサイトの内容がもっともわたしが教えてもらったものに近いと思います。

この中で「おしりのまわりの筋肉」を鍛えるという動作がありますが、わたしの場合左側はなんの問題もなく、ほぼ右の中殿筋というところが活動していないようです。したがってそれを鍛えるためにこのような動作をしています。

1 仰向けになって両足膝をたてる。かかとは極力おしりに近く。
2 右ひざに左くるぶしをひっかけ膝の曲がった4の字に組む。
3 その形のまま腰を浮かせて持ち上げる。息は吸う。手は胸で組んで腕の勢いなどで腰を上下しない。
4 息を吐いて腰を下ろす。
5 1セット30~40回を一日2セット以上する。

さらば安静の日々。

他にも椅子からの立ち上がり50回も言われましたが、自宅に帰ってからはスロースクワット30回~50回を2~3セットしています。

理由は椅子の立ち座りより楽しいからです(笑)

こうしてかなり順調にリハビリはすすみ、いよいよ「退院」の二文字が出始めました。本来は一か月くらい入院しているつもりだったのですが、状況がいろいろな意味で許さなくなってきました。それについてはまた、つづく。

自分の経験をもとに思いのまま書いていきたいと思います。 現在「人工股関節全置換手術を受けました」(無料)と 「ハーフムーン」(詩集・有料・全51編1000円)を書いています。リハビリ中につき体調がすぐれないときは無理しないでいこうと思います。