当時27歳の私が初めてフリーランスのインフラエンジニアになるまで

note初投稿です。
27歳まで会社員エンジニアとして働いていた私が、2019年8月にフリーランスになって、2020年8月で一年が経過しました。フリーランスエンジニアになるまでに準備したことなど過程を書きたいと思います。

はじめにそもそもこういった文章を書こうとした背景として、
フリーランスで働いていることを友人知人に話した際に

「フリーランスってどうやってなるの?」
「どうやって仕事を見つけるの?」
「手続きとかどうするの?」

など、(ありがたいことに)すごく質問が多いので、
そうであれば記事にまとめてしまい

「詳しくはこれに全部書いてあるから!!!!!読んで!!!!!!」


という投げやりの返しをしたいがために書いています。笑
また本文章は会社員時代の先輩である方から相談を受けた際にもらった質問をベースに記事にまとめています。(ありがとうございます前職のN.Tさん)

その方から来た質問の内容・回答といった形で記載します。
本文章を読む上での注意事項です。

・私がフリーランス(個人事業主)になるうえで踏んだ過程、私が思うことやってきたことをまとめているものであり、単にエンジニアに対してフリーランスの働き方を推奨するものではありません。
・内容が「会社員インフラエンジニアがフリーランスで同じようにインフラエンジニアとして働く場合」を念頭においているものなので、デザイナーや飲食業などの方は該当しにくい内容となっています。
・新卒や業界未経験の人には参考になりにくいです。
・単純に「こんな働き方もあるんだなー」程度に捉えてください。

間違いや指摘などございましたら何なりとご意見ください。

自己紹介

本記事を読む上での簡単な自己紹介をします。 

・大学は私大文系法学部、ゼミも入らず卒論もかかず軽音サークルで遊び呆ける
・法学部の勉強で唯一頭に入っていたのは労働基準法36条だけ
・Office製品もまともに扱えない状況で、「仕事はエンジニアです!って言いたくない?かっこよくない?」と思って何となくIT業界に絞って就職活動をすすめる
・就職活動がうまくいかず、「内定もらったしここでいいか」って感じでなんとか2014年4月に新卒で某SI企業に入社
・4年間ほど金融会社に常駐し、Windowsサーバのインフラ周りに関する設計、構築、運用を担当
・顧客に詰められて精神を病み現場が嫌になって、普通に転職活動を実施
・思ったより給料が上がらないこと分かって転職しないことにし、その後以前から興味を持ったAWSを扱う部署に異動して、一年間AWSインフラの設計、構築、移行案件などを担当
・2019年7月に新卒で入社した会社を退職
・2019年8月にフリーランスとして案件に従事開始、単価が低いのと思った仕事内容ではなかったので2020年4月末で契約解除
・2020年5月に現在の案件業務を開始


1. なぜ会社員をやめたのですか?フリーランスを選んだ理由は何ですか?

会社員時代の悩みとして、下記のようなことを思っていました。

・同じ仕事をして給料が違うのであれば会社員よりフリーで働くことのほうが、メリットが大きいのではないか
・会社のためではなく、自分個人のために働くことができるのでは
・「会社指針の目標管理なんてクソくらえ」と思っていたため、自分の頑張りが給料に直結することの喜びがあるのでは

後述の「会社員とフリーランスを比べたメリット・デメリット」にも似たようなことが書かれておりますが、以上が主な理由です。


2. フリーランスを始めるにあたって、やったことってどんなことがありますか?(フリーランスをどう始めたか、準備など)

フリーランスを始める準備としては以下のような流れで進めました。

①案件紹介エージェントへの登録、必要に応じて面談
フリーランスでの案件紹介エージェントに登録し、希望条件を伝える面談を行い案件探しを依頼します。
※どのような案件エージェントがあるかは後述

②スキルシートの作成、送付
今までの経歴や経験が記載されたスキルシート(転職における職務経歴書)を作成します。作成したものをエージェント担当者に送付します。

③案件の面談、受注
こちらは「 3. 案件の受注から開始までどういった流れで進むのでしょうか? 」で書いてます。

④税務署へ個人事業主としての開業届の提出
フリーランスはいわば"個人事業主"になるので、税務署へいくつかの届け出をします。開業届はなくても仕事はできるのですが、確定申告における「青色申告」という所得控除を受けるための制度を利用するために必要ですので提出します。

⑤役所へ各種税金の切り替え
年金・健康保険を国民年金・国民健康保険(場合によっては企業型の保険を継続)に切り替えます。

⑥会計ソフトの利用登録
各種経理のため、freeeや弥生会計ソフトなどのソフトに登録します。
ちなみに、私はfreeeを使っています。

⑦確定拠出年金→iDecoへの移管
企業で入っていた確定拠出年金を個人型確定拠出年金(iDeCo)に移します。退社日以降半年間の猶予があります。

ざっと上記のような流れです。
ちなみに①で面談したことでフリーランスになることを決意したため、その後に会社を辞めることを伝えました。
(上司に「次決まっているの?」と聞かれた時に、「ああ...まあ決まってます」とあいまいな回答をしました。本当は何も決まっていなかったのに。笑)
後は会社員じゃなくなる前にクレジットカードを契約しておく、引っ越しがあればしておく、など信用にかかわる部分は済ませておく必要があります。 


3. 案件の受注から開始までどういった流れで進むのでしょうか?

まず案件紹介エージェントについてですが、

・案件単価に対して一定の金額(マージン)を提供することで、案件探しや各種手続きを進めてもらうことができるもの
・大きな企業だと、レバテックフリーランスやgeechsジョブなど
・エージェント企業ごとに独自で保証制度や知人の紹介制度もあり

といったものです。


仕事を始めるまでの大まかな流れですが、私は以下のような流れでした。

①案件エージェントにWebから登録
基本的にエージェントは企業のホームページから登録可能ですので、そこから登録します。
企業によって必要に応じてスキルシートも送ると、その後がスムーズです。

②希望する条件を提示、募集している案件を探してもらう
エージェント担当者と面談し、単価・やりたいこと・勤務形態など細かな条件や将来の方向性を提示します。
(私は対面で面談行いましたが、昨今はWebか電話が一般的なようです。)

③案件の選定
②で提示した条件をもとに、エージェント担当者が企業内で持っている案件を探します。
探した案件の中から、面談希望の案件を決めます。

④案件の面談
③で希望を出した案件の中から、発注元企業側も面談をしたいと要望のあった案件について面談(というより面接みたいな感じ)を実施します

⑤受注可否連絡の受領
エージェント担当者から案件受注可否の連絡を受けます。
他に面談している案件があれば進捗状況を加味し、自身で最終的な判断を下します。

⑥案件開始まで
⑤で面談した案件に決めた場合は、その案件に参画するまでの手続きをエージェント企業に依頼します。
こちらとしては送られている業務委託契約書や各種資料の確認くらいです。

⑦案件参画
エージェントの指示に従い案件に参画します。

上記ですが、場合によっては複数エージェント企業を登録し並行で行うことも可能です。
初めての案件は1個のエージェントに絞りましたが、2回目は二つのエージェント企業で比較しつつ探しました。


4. 会社勤めとフリーランスで変わったことは何ですか?

「5. 会社員とフリーランスを比べたメリット・デメリットは何ですか?」に記載している給料や税金などは変わった部分はありますが、私の場合は勤務形態や仕事内容が大きく変わっていないので、「フリーランス」という実感がさほど無いというのは正直なところあります。
ただ自分=会社と同義と考えて、生活するようにはなりました。


5. 会社員とフリーランスを比べたメリット・デメリットは何ですか?

上記について「会社員とフリーランスを比べたメリットデメリット」ことでまとめてお伝えします

【メリット】
・給料(個人事業主で言う「売り上げ」)が高い
正直なところ、これが一番のメリットと感じています。
個人事業主にボーナスはないですが、会社員の月額給料から考えたらはるかに高額な、一定額の単価を毎月得ることができるため、案件を継続していればトータルで年収は跳ね上がります。

・自分で自由に仕事を選び、契約更新タイミングで継続有無を自由に決めることができる
案件選定から自分で行い、その案件を継続する意思がない場合は自分の判断で契約をやめることができます。
最初の案件は単価向上を理由に9か月で変えました。

・会社のような目標管理がない
上司に指示されるめんどくさい目標管理がないのは非常に楽です。
「会社は売り上げが何十倍にもなる目標を立てるのに、なんで同じ比率で給料は上がらないの?」って思ってました。
個人的に年間の目標(資格を取る)などを立てていますが、純粋に自分のために目標を考えることができますね。

・業務に必要なものは経費にできるため、所得を抑えることが可能
パソコンなど現在の業務に関係するものは経費としてあげて多少所得を抑えることができます。
また住居で仕事をしている場合は、賃貸の一定金額を経費にすることができます(家事按分といいます)

・エンジニアはコロナのような騒動における社会的影響を受けにくい(と思っている)
飲食業などと違ってリモート勤務可能であれば、急な休業の恐れは低いです。
(業界によっては案件の人員削減によって解除される可能性もありますが)
またエンジニア自体の募集が未だあり、 今後も案件が途切れる可能性は低いと思っています。
そこは個人の経験や技術的な需要にもよります。

・いつでも会社員に戻れる
これはメリットというか精神的なもので、「失敗しても会社員に戻ればいいや」という感じで考えることができます。


【デメリット】
・税金や経費などの会計処理および確定申告をすべて自分でやる
これが結構大変です。パニックです。特に確定申告するうえで税金への理解を深めるまでが非常に大変でした。
ただ会計ソフトの利用によって経理入力が楽になったり、確定申告のやり方もセミナーがあったりで何とかなります。(たぶん)

・会社のような福利厚生、各種保証がない
個人のため、もちろん会社のように福利厚生や保証制度がないです。
しかしその分売り上げから民間の保険に入ったりなどいくつかの対策はできます。
会社と似たような保証をもつエージェント企業もあります。

・仕事の自由度が少ない
案件や契約内容にもよりますが、業務は基本的に顧客の指示が必要で、個人の勝手な判断で仕事を進めることができないので、プロパー社員ほど仕事の自由度は高くないと思います。

・なんだかんだ社員同士の関係というのは良かった

「同じ会社の社員」という関係、同じ境遇にいる人がそばにいる環境は大切だなと思いました。

・社会保険料(年金、健康保険)が会社員時代より高い
会社員は年金、健康保険を、会社が半分負担してくれています。
その分を個人で支払わなくてはいけません。

・仕事が途切れる可能性がある
個人事業主全体に言えることですが、いつ仕事がなくなるかわかりません。
ただエンジニアに関しては全く案件がなくなることはないのではないかと思います。

・2023年の税金制度変更による影響
2023年10月1日より適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入されるのですが、 これが非常に厄介です。
この制度次第ではフリーランスのメリットがなくなる可能性もあり得ます。
簡単にですが、今まで「単価 + 単価に対する消費税 = 収入」となっていたものが年収1000万円以下の免税事業者も「単価に対する消費税 」を納めないといけなくなります。
↓国税庁HP抜粋https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/300416.pdf

6. 利用しているフリーランスエージェントは何ですか?

私が利用したことのあるエージェント企業のサービスは以下です。
・Midworks
https://mid-works.com/
こちらのエージェントに登録し、こちらの紹介案件で現在仕事をしています。
エージェント企業としては保証制度が充実しています。

・geechs-job
https://geechs-job.com/
この案件でもいくつか紹介してもらいました。
エンド直の案件が多く、高単価な案件が多い印象でした。

ちなみにgeechs-jobには「市場価値診断」というものがあります。
https://geechs-job.com/valuecheck
案件を探す際、ここから市場価値診断を行った結果で単価交渉しましたが、その金額に近い案件はいくつかありましたので、割と診断ではあるのではないかと思います。
もちろん技術的な市場の需要もあります。

・レバテックフリーランス
https://freelance.levtech.jp/
CMでもやっているような大手のフリーランスエージェントです。
案件数は業界一で高単価の案件も多いです。
ただエージェント独自の保証制度はまったくないので、あくまで案件紹介のみです。

・その他
ちなみにこんなのもあります。
https://freelance-start.com/
フリーランスエージェントの求人がまとめて検索できるサイトです。
条件指定してあらゆるエージェントサイトから検索かけることができます。
ちなみにこちらは公開案件のみです。
※フリーランスエージェント企業は多くの非公開案件を持っています。


7. フリーランスでの仕事のスタイル、普段のスケジュールについて教えて下さい 

・契約について
案件によって異なりますが、インフラ案件の場合「準委任案件」=「労働時間を対価にする契約」がほとんどです。
請負のように成果物ではなく、「○○時間働いたので○○円あげます」といった感じですね。

・働く時間
その「○○時間」も契約によって異なります。
下限と上限の契約時間を決め、その時間で決まった単価がもらえる契約となっております。
その時間を下回れば控除、上回ればプラスでもらえる感じです。
だいたい150~180時間が多い印象ですが、時間の幅も様々です。
週3~4案件も探そうと思えばあります。
また土日出勤は案件によりけりですが例えば設計・構築メインの案件であれば基本土日はないです。
土日がない案件を希望して探すこともできます。

・働き方について
インフラの場合、割と常駐案件が多いですが、昨今の状況により常駐ではなくフルリモート案件も充実してきていると思います。
現在従事している案件は最初の面談から参画後の業務まですべてリモートで行っています。(そのため一緒に仕事をする人とまだ直接会ったことはないです。)
連絡手段は主にChatworkやGoogleハングアウトを用いて、都度コミュニケーションを取りながら仕事をします。


8. フリーランスインフラエンジニアとして、具体的にどのような仕事をしましたか?(していますか?)


案件1(2019年8月〜2020年4月末)
利用者数万人規模の某大手ECサイトのクラウド移行支援です。
クラウド移行を個なっている案件でAWS側の知見を活かした設計・構築・移行の支援、個人的なスキルとして運用面が強かったので運用改善をしたり
後はAWSで出た新しく出た新機能検証とかです。
技術的にはAWS/AmazonLinux、Zabbix・Grafanaのような監視系、Ansible・Jenkinsのような構成管理系ソフトを扱ってました。


案件2(2020年5月〜)
SEOサービスを展開するベンチャー企業で、AWS上で稼働しているSEOサービスのインフラ設計、構築、運用回り全部を担当しています。


最後に

私個人としてはフリーランスになってすごくよかったと感じております。
ただ冒頭にも記載したように、フリーランスで働くことを勧めるものではありません。
具体例を挙げると、新卒に関しては会社での経験を積んでからフリーランスの道を考えるべきと思っています。

ただ「給料がフリーとさほど変わりなく高く、業務も魅力的、個人の裁量があり、制度が整っている会社にいること」が一番です。
また先ほど挙げたインボイス制度という税金制度の変更もあるので、今後フリーランスという働き方がどうなっていくかはわからないです。
40歳を超えたくらいには会社員に戻ろうかな、なんてことも考えてます。
自分で身の回りのことは何でもまめにできる人はフリーランスに向いているのかなあと。

しかし、会社員であろうとフリーランスであろうと
「自分が将来どうなりたいか」
を考えないといけなくて、その点に関しては自分も答えが出せず曖昧なままフリーランスになりました。
そこは追々考えないとなと思っています。
会社に戻って管理職をするのか、そのまま技術者として生きるのか、そもそもエンジニアを続けているか。

余談ですがフリーランスを考え始めたきっかけとして、前職の先輩の言葉がきっかけで

先輩「単価ってなんで全部自分の給料にならないと思う?」
私「なんででしょうね。こんなに単価もらっているのに。せめてもう少し欲しい。自分の単価知ったら働くのアホらしくになりますね。」
先輩「それは君が稼いだ単価によって、仕事がない社員の給料を払ったり、会社を動かしていくための資金になるんだよ。それに納得いかない場合は会社員じゃなくてフリーランスになった方がいいよ。」

という会話がきっかけでフリーで働くことを検討し始め、親にも相談せず勢いでいつのまにかフリーランスになってしまいました。
人生、何があるかわかりませんね。

ありがとうございました。

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