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【第76回】創作しても発表できない19世紀の才能ある女性たち『ディキンスン〜若き女性詩人の憂鬱〜』

【海外ドラマファンのためのマガジン第76回】

もし自分に小説を書く才能があったら、本にして発表したいと思いますよね。
19世紀の女性たちは、小説や詩の才能があった場合、男性名のペンネームにして本を出版していました。

もっとひどい場合は、夫や肉親の名前で出版し、その功績を横取りされていたんです。

そんなふうにたとえ発表の場所を奪われたとしても、沸き上がる才能がある人は、心の中から生まれてくる言葉を紙に綴らずにはいられないのです。

1830年、アメリカのマサチューセッツ州アマーストで生まれたエミリ・ディキンスンは、生涯結婚せず生家に籠って暮らしていました。

毎日のようにどこからか沸き上がって来る詩編を紙に書き留めていましたが、そのほとんどは彼女の死後に出版されています。

女性が人前で意見を言うなんて、ましてや文学を書くなんてはしたない

そんな感覚が普通だった時代です。

エミリの祖父は大学の創始者で、父親も政治家で弁護士という教養の高い家に生まれているのに、彼女の才能を後押ししてはくれませんでした。

といっても、エミリ本人も極度のコミュ障だったとも言われていて、生涯にわたり特定の人としか交流しなかったらしいです。

ドラマの中での彼女は、白いドレスを好んで着用したり、いきなり空想の世界に突入してしまったり、女性の友人を愛してしまったりと、当時としてはかなり特別な存在の女性として描かれています。

10代の頃のエミリの赤裸々な心の描写を、『ディキンスン〜若き女性詩人の憂鬱〜』では、まるで現代に生きる若者の悩みと同じようだという感覚で描いていきます。
彼女の詩の映像化も、ポップな音楽と映像で表現していくので気軽に鑑賞できるドラマになっています。

エミリは、自分の心の中にある感情を、想像力豊かにロマンティックな詩に変革させていきます。

現代だったら、それこそnoteに毎日その詩編をアップしていけば、すぐ本の出版オファーがきそうです。

こうして性別に関係なく、好きなことを思うままに発表できる場があることは、今となっては当たり前ですが、その当たり前が当然のことで、永遠にそのまま続くんだとは思わないことが大切なんですね。

自らその場所を守っていかなければいけないのです。

200年前には、エミリのような世界的に有名になるほど才能ある人にも、発表の場がなかったのかと思うと、今この時、こうして文章を書いて誰かに読んでもらえることの喜びを心から感じます。

日本では、海外ドラマと同じように詩もメジャーな文化ではないかもしれません。
エミリの詩は、芸術的ですがとても感覚的で難しくはないと私は思います。まずはこのドラマで少しだけでも触れてみてください。

AppleTV+でシーズン1から2を配信中です。

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