見出し画像

住み慣れた町?

「え?!わざわざ住民票を移して入居してるんですか?」
「え?!その人の住所、グループホームなんですか…」
初めてこの話しを聞いた時は、「ビックリくりくりくりっくりっ」て付けるの忘れたくらい、驚きました。
なぜなら認知症グループホームの分類は「地域密着型サービス」
だから、もともとその地域に住んでいる人しかいないと思ってたの。

行政区が一緒だけど

「ここがどこかわかない。」
というのは「見当識障がい」という認知症の症状の一つ。
でも認知症グループホームには、ここが自分が住んでいた地域と違うことを知っていて「ここがどこか分からない」人もいる。

「私は保健所の近くに住んでいたのよ。」
「高架下くぐったところ?」
「そうそう。」
「ここからどうやったら行けるかなぁ。」
「多分、バスで駅まで行って、駅から歩いていく感じかな。
だいたい1時間くらいかなぁ。
車で行ったら20分くらいやけど。」

同じ行政区に住んでいたけど、馴染みのない地域の施設にいる。
だから住んでいた家や帰りたいとこまでの行き方を何度も聞く人もいる。

他府県からわざわざ

私が認知症グループホームで介護職員をしているからと、認知症になった人を介護している友達からも相談がある。
例えば、介護が必要な親御さんが他府県に住んでいる。
ショートステイ以外の日は実家に戻って介護。
遠方の実家までの交通費は自己負担。
介護のために移住することも同居することも、ちと難しい。
そんな時、今住んでいる地域でいい施設がないかって。

「言葉が違うのが心配。」
「日本語、通じるし大丈夫。」

「トイレがわからなくなってきてて。」
「早めに(認知症初期の段階で)入居するメリットは、認知症が進行した時に、いつものトイレの場所がわかることかなぁ。
でも、分かっててもトイレで排泄することが難しい人もいるし。」

「お風呂が好きで、ショートステイの無い時は、私が自宅のお風呂にいれてるんです。」
「グループホームでは、基本週に2回の入浴なんです。」
「え!週に2回しか入れないの?
それじゃぁ、難しいわねぇ。」

ということで、親御さんが住んでいる地域で別の施設を探された人も。

施設でも、今いる家でも、どこにいても。
懐かしい場所や戻りたいとこ、住んでいたい家は人それぞれ。
だって、80年、90年、100年と生きてきてるんだから。

寄り添い、共に考え、方向を決めること。
それ、私は愛情やと思う。


#未来のためにできること