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Jon Kabat zin博士へのインタビュー(1/3)

マインドフルネスストレス低減法の開発者であるJon Kabat Zin博士への、Amir Imani氏によるインタビュー(1/3)です。
※なお、下記は当センター担当者が概訳したものであり、内容の詳細に不正確な部分があり得ることをあらかじめご了解の上、ご覧ください。

Amir:(視聴者へ)皆さん、ようこそ。

Jon:今日はお招きいただきありがとうございます。私はマサチューセッツにいます。今日はイラン(註:主にイラン国内に向けて行われたウェビナー)にいらっしゃる皆さんとつながることができてとても幸せです。このインタビューに興味を持ってくれている方が多数いらっしゃって嬉しく思います。通訳の方にもお礼を申し上げたいと思います。

Amir:これはマインドフルネスに関するウェビナーシリーズの記念すべき第一回目です。Jonのことはみなさんに紹介するまでもありませんね。マインドフルネスストレス低減法(MBSR)の創始者のJon Kabat-Zinn博士です。最後に皆さんにもご質問いただける機会を設けています。

Jon:今日見ていただいている方の多くは臨床の心理士の皆さんだということです。是非マインドフルネスを始めてみませんか?マインドフルネスに可能性があるということを知っていただくのは重要なことだと思うからです。心理学とは、人間や心についての学問です。そして、マインドフルネスは、そのことについて内側から多くのことを教えてくれます。マインドフルネスは、運動で筋肉を鍛えるように、注意を調整する方法なのです。
注意力を鍛えるだけでなく、体や心、世界との関わり方についての深い本質についての洞察力をも高める方法です。学校で先生から注意深くあるようにと言われますが、その技術について学ぶ機会はありません。それはどの文化ででも同じことです。どの文化においても、注意の払い方を教えてもらうことはありません。マインドフルネスはジムに通って、いわば心や体と対話するようなものです。
外からは何もしていないように見えますが、実際には微妙なチューニングをするために、とても静かな状態にならなければなりません。瞬間瞬間に観察を行います。マインドフルネスのオフィシャルな練習は、ある意味、自分自身のすべての活動を停止させることを意味します。活動というものは、得てして、心ここにあらずの状態で、自動操縦状態で行われるものです。

今この瞬間、の面白いところは、自分の心がどこにあるかに注意を払うと、ほとんどの時間、自分の心が今ここに無いことを発見することです。未来について計画を立てたり心配したりすることもあれば、過去について何度も同じことを繰り返し思い出すこともあります。そのような中で、オフィシャルなマインドフルネスの練習は、いまここで生きる力を取り戻すことにつながります。

少し時間をとってみましょう。目を閉じてください。
マインドフルになるために目を閉じる必要はないのですが、より内なる感覚を感じるために目を閉じてみましょう。今ここに座っている感覚、呼吸の感覚。目を閉じて、鮮明に感覚の有る体の箇所に意識を向けてみましょう。経験のある人は、これが難しいことがわかるでしょう。なぜなら心は一つのものに集中したがらないからです。このことは初めてマインドフルネスに取り組む人にとっては、驚くべきことではないでしょうか。
ここで、サーフィンをするかのように、自分の呼吸の波に乗ることができるかを試してみましょう。完全な注意を向けると、空気が実際に体に入ってくることを感じることができます。そして、瞬間瞬間、空気が体から出ていきます。自分の体全体に気づいてここに安らいでいます。座っているこの間に、自分の意識がどこか他のところに行っていることに気がついたら、どこに行っているかにただ気づいてください。これが注意の性質というものだからです。そして、興味を持って、体や呼吸に意識を戻します。自分を連れ去ろうとするものがあれば、ただそのままにさせておきます。
注意を払う力と気づきの力は常に同じものです。注意の対象は異なるでしょうけれども。こういった練習を通じて学ぶことは、自らの気づきの中に留まる方法です。そのすばらしいところは、私たちは気づきというものをすでに持っていることです。ですから、それを手に入れようとする必要はないのです。気づきの力は生まれながらにして持っているものです。しかし、残念ながら、多くの場合、私たちは注意散漫な状態にあり、気づきの力と親しくなることがありません。気づきの力のことをよく理解した時、問題を解決し、自分の人生を存分に生きる助けとして、自らの気づきを用いることができるようになります。

静けさの中で、私の言葉を聞きながらも、際限のない気づきの空間を保ち、その中で安らいでいます。気づきの中に安らぎつつ、自らの呼吸の波をサーフィンするのです。この時、とても重要なことがあります。今、あなたは、呼吸について考えているのではなく、体のどこかで実際に感じているということです。それはお腹の部分かもしれませんし、鼻の部分や胸かもしれません。どこであれ、呼吸の感覚が最もはっきり感じられるところが、自分が呼吸を体験するところです。ですから、自らの静けさは、純粋な気づきを伴う自分自身の目覚めと共に広がっていきます。これが大きな洞察力を与え、それまでは好き嫌い、欲しい欲しくない、といったようにはっきりとした白か黒かでしか考えられなかったところに、微細な違いを見分けることを可能にします。

人生は、デジタルというよりは、アナログなものです。ですから、智慧と洞察を育て、物事を好きか嫌いかで判断するようなことを止めることはとても大事なことです。このようにすることはとても健全なことです。なぜなら、そうすることが、自分がどこからきて今何をやっているかを考えることをやめて、本当の自分自身に立ち返ることだからです。

私は、MBSRプログラムをお医者さんから紹介された患者さんたちに対して、MBSRは8週間のコースで自分自身をケアする方法を教えるために作られたものであり、是非参加するようにと伝えています。患者さんたちは考えうるさまざまな症状を持ってやってきます。心臓病や、癌、慢性的な痛み、不安やうつなど。

家族のことや仕事のことなどからくる様々なストレスがあります。私は彼らに対して、こういうことを言いました。
その診断や抱えている問題がどうであれ、私に言わせれば、呼吸している限り、まさに自分自身と共にいることになるのです。MBSRの8週間で私たちがやろうとしていることは、あなたにとって必要なものにエネルギーを注ぎ込むことです。悪いところは他の医療チームに任せてください。この8週間で何が起こるかを見てください。心身医学とか、統合医療とか呼ばれているものと同じです。現在主流となっている医学と組み合わせた瞑想的な実践のようなものです。

まだ目をつぶっている方は、よければ目をあけてください。
目を開ける時にも、気づきを体に留めおいてください。両目は開けている状態でありながら、呼吸をし、私の声を聞きながら、座っている自分の体の感覚に気づくことができることを感じましょう。私の顔が画面に見えているかと思います。いま養っている気づき、養ってきた気づき、これがマインドフルネスです。他の言葉で表すと、純粋な気づきです。そして、繰り返しになりますが、これは生まれながらにしてすべての人がもっているものです。手に入れないといけないものではありません。ただ、使い方がうまくなるか下手になるかです。楽器をチューニングするように、私の場合は毎朝調整を行っています。

立ち止まって静けさを取り戻すことがフォーマルな練習です。静かですが、眠りに落ちるのではなく、実際はその反対に、目覚めていくのです。ご存じないかたのために、私のマインドフルネスに関する定義はこうです。マインドフルネスは、意図的に、今この瞬間に、判断を加えず、注意を払うことから生じる気づきです。そして、それはいまこの10-15分間で私たちがやってきたことです。判断を加えずに、とは、判断を一切しないという意味ではありません。私たちは、いつも、数多くの判断をしています。ここで言いたいのは、自分がいかに判断をしがちかということについて評価を下さない、ということです。そしてできるだけ評価を差し控えるようにします。そして、自分自身の気づきの中に戻って来て、その中にある。

ですから、私が言いたいことはこういうことです。「評価をしない」いうとき、判断をしないことを意味しているわけではありません。
私たちはみんな、あるものが好きです。そして、その反対のものが嫌いです。しかし、私たちがやろうとしていることは、その判断を控え、物事をあるがままに見るということです。これは、ある種、枠組みをひっくり返すことです。

(インタビュー2/3へ続く)

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Amir Imani氏による、オンラインウェビナー
2020年5月17日(日)13:00~15:00 日本語通訳付き/参加無料
・Amir氏とマインドフルネス
・ストレスとは?
・マインドフルネスとは?
・マインドフルネスストレス低減法(MBSR)とは?
・MBSRの科学的研究
・瞑想の実践
・質疑応答

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Amir Imani氏による、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)オンライン8週間コース 2020年6月30日開講


最後までご覧いただきありがとうございます。一緒にマインドフルネスを深めていきましょう。お気軽にご連絡下さい!