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Week 1-3 マインドフルネスとは?

本日は、気づき(awareness)のプラクティスを始めるにあたって、

・マインドフルネスとは何か?
・マインドフルネスの由来は?
・そして、マインドフルネスが私達の幸福感をどう高めてくれるか?

についての説明をしておきたいと思います。

ジョン・カバット・ジン博士はマインドフルネスを次のように定義付けています。

<マインドフルネスの定義>

Mindfulness is the awareness that arises through paying attention on purpose, in the present moment, non-judgmentally to the unfolding of experience moment by moment. 
                                                                                  〜Jon Kabat-Zinn〜
「今この瞬間に、価値判断を加えることなく、意図的に、能動的な注意を向けること、そして、そこから得られる気づき(awareness)」

マインドフルネスは、状態、性質、または実践であるといえます。

そして、「価値判断せずありのままをとらえる」受動的姿勢と、

「今この瞬間に注意を向ける」能動的姿勢の二つの要素が含まれます。

<歴史背景>

マインドフルネスにはこれまで2600年の間、仏教で受け継がれてきた考え方や瞑想のプラクティスに起源をみることができます。しかし、このような「今ここに注意を注ぐ」という修養はその他の様々な伝統的修養に共通してみられるものです。
このような瞑想などの伝統的修養は、この30年間で、アメリカをはじめ、ヨーロッパの国々や、オーストラリアなどで広く受け入れられるようになりました。
マサチューセッツ大学医学部のジョン・カバット・ジン博士は、1970年代後半に、このプラクティスをアメリカで初めて医療の臨床現場に取り入れ、ストレス症状を和らげるための治療に用いたのです。医療現場でマインドフルネスをプログラムとして実施したところ、ストレスの軽減を始め、慢性的疾患による種々の痛みや精神的負担に明らかな効果があると認められ、一般に普及していきました。
研究と臨床が重ねられた結果、歴史上培われてきたプラクティスが宗教の枠を越え、万人のための心と身体の健康プログラム(8週間)として誕生したのです。
(=MBSR、Mindfulness-Based Stress Reduction:マインドフルネスストレス低減法)
このMBSRが産声をあげて以来、現在まで30余年の間に、医療のみならず、企業、スポーツ、学校などで、様々なプログラムが開発され、広く取り入れられるようになったのです。

<マインドフルネスに取り組むことで>

マインドフルネスは、運動をして身体的な健康を高めるのと同様に、心、精神の状態を高めるためのプラクティスです。マインドフルネスとは、生じる全ての事柄に対して、瞬間瞬間の「今」に注意を払っていくことにより、これまでとは違った自分、周囲との関わり方が築かれていくことをいいます。
今現在、起こっている全ての事柄に意図的に注意を向けることにより、「気づき(awareness)」を育みます。気づき(awareness)の醸成により、無意識的に行われてきた反応が内側から変化し、対応へと変化していきます。具体的には五感、体内に生じる感覚、思考、感情、周囲の状況に意識的に注意を向けることにより、「気づきに基づいた対応」を瞬間瞬間に行っていくことを、日常生活の中で感じることが出来るようになるでしょう。 マインドの働きの中の刺激と反応の間に選択の空間が生みだされ、これまでとは違った、物事との関わり方ができるようになることを、マインドフルネスの実践(プラクティス)により体験できます。

アウェアネス(awareness)=気づき、気づくこと、気づいていること、気づく力、気づきからえられるもの、、etc.『意識』、『認識』、『自覚』などの意味を含みます。


<マインドフルネスの効果は・・>

マインドフルネスは一般に健康と幸福感を高めます。
従って、体の緊張がとれて楽になった、思考がすっきりするといった主観的な効果の他、学習能力の向上、落ち着き感の向上、不安感、抑うつ感の減少、免疫力の改善などにつながります。
医療現場では、患者のストレスの軽減や鬱病の再発防止の為に、アメリカのみならず、ヨーロッパ諸国、オセアニアなど、多くの国々で8週間プログラム(上記MBSR)が広く普及しています。

企業ではストレス低減にくわえ、集中力の向上、生産性の向上、仕事への満足感の向上などの効用があり、Googleをはじめとして、多くの有名企業でマインドフルネスを基盤とした社員向けプログラムが実施されています。

スポーツの分野では、集中力やパフォーマンスの向上にくわえ、チームコミュニケーションを良好にするなどの効用があります。

子供や若者を対象としたプログラムでは、精神的落ち着きや学習能力の向上などの効果が挙げられており、教育にマインドフルネスを導入する動きもみられ、様々な分野への応用が試みられています。

脳科学の研究では、fMRIや脳波などの技術の発達により、脳内の活動が可視化されたことで、マインドフルネスのプラクティスを続けると、年齢を問わず、脳の構造と機能の変化がもたらされることが明らかになっています。その結果、思考、感情、他人を想う気持ちが内側から変化していくのです。また、楽器や言語を学ぶのと同じように、早い段階で身につけることの有効性も示されています。

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<マインドフルネスとコンパッション>

マインドフルネスに取り組み、いまここでの「気づき」がえられてくると、しだいに“コンパッション”が養われてくると言われています。
コンパッション(Compassion)は、慈悲、思いやり、共感、、、などと訳されます。あたたかく、包み込むようなコンパッションは、自分に向けることも出来ます。(Self-compassion)
真の人間関係、健全な社会を築いていくためには、ひとりひとりが”コンパッション”を育むことが必要です。その全ての基礎となるのが、マインドフルネスの実践なのです。


<実践プラクティスが大切・・>

プラクティスは難しい?

最初は、色々な事を考え、注意がさまよう(=これまでの習慣)のですが、プラクティスを重ねると、注意を一定に保ち、上手に方向を変えることができるようになります。心の健康によくない影響の元となるような習慣づいた思考回路や、価値判断や衝動を抜け出て、より落ち着きをもって、優しく、理にかなった考え方が瞬間瞬間にできるようになります。

このコースでは、マインドフルネスの身につけるため、意識的に実践をおこなうことを“プラクティス”と呼ぶことにします。

一朝一夕にマインドフルな状態を手に入れることはできません。
全ては、プラクティスを続けることからはじまるのです。


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