Week 1-4 マインドフルネスと思考
<思考に関して>
マインドフルネスの目的は思考を取り除くことではありません。
思考は人間の営みの一部です。
マインドフルネスのプラクティスを始めたばかりの人は「思考する」ことにマイナスの捉え方をする場合があります。
そして、その対応として、全ての思考をコントロールしたり、鎮めようとしたります。
しかし、思考を止めようとすることは、聞くことを止めようとするようなもので、元々コントロール不可能なことに対して自分を責めることはできないでしょう。
自分をどうか優しく取り扱ってください。
思考をコントロールしようとするのではなく、まずは、思考や思考する自分をよく観察するのです。起こっていることを、ありのままで観察することで、「思考している自分」に気づくことが出来るようになるでしょう。。
「あなたが、思考を作り出しているのではなく、思考は自分に関係なく、自由に湧き上がってくるものである」
では、思考とは一体何なのでしょうか? 思考から生み出されるものは何なのでしょうか?
脳科学者や哲学者たちは長きに渡ってこの問いに答えようとしてきました。
私たちがどのように思考を経験しているかについては現時点で答えることができるようになりました。
それは思考は二つの形態で現れるということです。
それはメンタルトークとメンタルイメージです。
メンタルトークは、自分自身の中で繰り返される会話です。
これは明らかに会話が起こっていてガヤガヤとうるさいこともあれば、小さくおしゃべりしているようなもの、またはその会話の内容がはっきりわからないようなこともあります。
メンタルイメージは、思考にともない浮かび上がる像です。
目を閉じてみると、今いる部屋や、空間、体の像、または考えているもののイメージ(像)が浮かぶでしょう。このイメージはとても鮮明であることもありますが、多くの場合はっきりとは捉えがたいもので、あまり表面に現れてきません。
マインドフルネスのプラクティスによって、このような思考の動きがよく分かるようになってきます。
思考にはこの二つの形態があると理解した上で、気づきによってこのどちらであるかということに気づいていくこと自体、大いなるプラクティスとなるでしょう。
<さまよう心(マインドワンダリング>
私たち「マインド(こころ)の動き」を理解しておく必要があります。
研究によると、「我々の思考の47%の時間は、今起こっていること以外のことを考えている」ということです。
私たちのの思考は、今ここをはなれ
・過去の出来事の反芻
・将来の予測計画
に多くの時間を奪われているのです。
このように、思考が、次々に、思いつき・過去の記憶・将来の計画・気になる心配事・現実から逃げた空想をさまようことを「マインドワンダリング」と呼びます。
思考が次々に飛び回る様から「モンキーマインド」と呼ばれることもあります。
マインドはなぜさまようのか?マインドフルネスの研究分野は様々な領域を含みますが、このトピックに関しての研究から得られた結果の中から、その謎について次のような説明が挙げられています。
まず、さまようマインドによって、私たちは計画することができるということです。未来をシミレーションする能力により、危険を回避し、適応していくことを可能としています。そして、マインドはさまよいながら、創造的な解決策を見つけているということです。
この研究結果から、このような私たちの思考の習性は、私たちに有利に働こうとしているがためであるといえます。ですから、さまよい、注意散漫になる私たちのマインドを敵と思わないでください。
しかし、有益な働きがある一方で、さまようマインドは著しくネガティブな結果をもたらすものでもあると言わざるを得ません。
・過去の出来事の反芻⇨そこから沸き起こる、後悔や自己嫌悪
・将来の予測⇨そかから出てくる心配や不安
このように、いまここに起こること以外に思考をめぐらせることは、ネガティブな感情をふくらませ、幸せな心のあり様をみだしていきます。
<思考に気づく>
思考が価値あるものであるということは言うまでもありません。しかし、私たちは思考にとらわれるがために多くの苦痛の原因になっているということもまた事実です。
思考に巻き込まれず、思考を一つの選択肢にするためには、「思考に気づく」ことが必要であるといえます。
今週のプラクティスでは、「思考」や「思考している自分」に気づき、マインドフルに「今ここ」に戻る方法を学びます。このスキルは思考や外界で経験することから生じる様々な感情への気づきを高めます。
マインドを見つめ、瞬間瞬間に注意を積み重ねていくのです。丁度体の筋トレをするように、マインドフルネスはより高い集中力を備え、人生で経験する様々な事柄に対してより上手に柔軟に対応していく脳の領域を強化します。
<デフォルトモードネットワーク>
脳は特に何も意識していない時でも活動しています。ぼんやりしているときや、過去や未来のことを考えている時など、マインドがさまよっている時の神経ネットワークを「デフォルトモードネットワーク(Defoult Mode Network DMN)」
これに対し、何かに注意を向けている時に働く神経ネットワークを「エグゼクティブアテンションネットワーク(Executive Attention Network EAN)」といいます。
デフォルトモードネットワークは、創造的なアイデアを思いついたりする場合があるなど、すべてが悪いわけではありませんが、活動が亢進すると、不安や後悔などの感情が強くなり、精神的に良くない方向へ進みます。
注意が散漫になり、過去や未来の思考に囚われている、自分の状態に気づく際の神経ネットワークは、「セイリエンスネットワーク( Salience Network SN)」です。マインドフルネスのプラクティスは、この「気づき」の神経ネットワークであるセイリエンスネットワークと注意を留めるエグゼクティブアテンションネットワークを鍛えていると言っても良いでしょう。
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