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【経済本100冊】Vol.85:『日本vs.アメリカvs.欧州 自動車世界戦争』(著:泉谷渉)のあらすじ

経済本100冊読破タイトル作成

こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、泉谷渉さんの『日本vs.アメリカvs.欧州 自動車世界戦争』です。

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基本情報

タイトル:日本vs.アメリカvs.欧州 自動車世界戦争
著者名:泉谷渉
初版発行年月:2018年6月
ページ数(大体):約260pg
難易度所感〈五段階〉:★★★★ ややムズい


大和の適当あらすじ

次世代エコカー開発競争における日本の立ち位置や強みを解説してくれる本。

全体の感想

初版が2018年と結構最近の本です。次世代エコカーにおける日本勢の各戦略がこの一冊で分かります!こうして見ると、自動車は最早電子機器と言ってもいいかも知れません。色々な電子機器が絡んで来て、そこを一つ一つどう押さえていくかと言う繊細な世界と言えます。

唯、そもそも電気自動車何かは、それに必要な電力が増える為に、火力発電で二酸化炭素排出量が増えると言う構造的矛盾があるので、そこをどうして行くんだろうなぁと思ってしまいますね。トヨタ何かはハイブリッドで行くみたいですが、理想は電気自動車な訳ですし。日産もかなり先行しているとは言え、意外とよく名も知れない、どこか海外のノーマークの会社が電気自動車及び次世代エコカーの市場をごっそり奪い取ってしまうと言うことも、無きにしも非ずかなぁ何て僕は思ってしまいます。と言うのは、トヨタのような大企業は背負っているものが大き過ぎるので、技術革新による市場変化では、基本的には不利何じゃないかなと思うんですね。


大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >


★EVには多くの原発・火力発電所が必要になる
★EVの充電時間の問題
★急速充電器は町全体を停電にしてしまうかも知れない
★トヨタがEVに舵を切れなかったのは、部品の子会社が多いから
★価格が中々下がりそうにないEV
★次世代エコカーで日本のトップランナーは日産
★小型EVで勝負するホンダ
★次世代エコカーはトヨタは全方位型で対応
★トヨタの起死回生の隠し玉、全固体電池
★日本勢は総じて全固体電池の開発で世界をリード


< 各詳細 >

★EVには多くの原発・火力発電所が必要になる
・・・EV(電気自動車)はよくエコだと言われるが、EVには充電に膨大な電力を要する。例えば、日本の自動車8000万台になれば、原発3基分の電力が必要である。将来的には、EVの充電だけで世界の電力の15%を消費するともいわれている。EVが本当にエコであるかどうかは疑問が残るのである。世界を走る自動車は現状で12億7000万台程度と推定されるが、これが全てEVになれば、膨大な数の原発が必要になる訳である。しかし、世界を覆っている反原発のうねりの中で、それだけの原発を作れるものかどうか。仮にこれを石炭や石油の火力発電所に置き換えてもCO2出しまくりで、やはりエコでは無いことになるのである


★EVの充電時間の問題
・・・EVには電力供給に加えて、充電時間にも問題がある。メディア等ではよく、EVのフル充電時間は30分程度と言われている。ところが、ガソリンのようにすぐ注入してもらわないと嫌だ、と言う人はかなり多いのである。日産の電気自動車「リーフ」の大容量バッテリーモデルの場合、一般家庭の充電環境は3kWhが限界となる。但し、一般家庭でも工事を行い、6kW充電器を使えるようにすることができる。この環境でリーフをフル充電するには凡そ8時間が必要になる。深夜の時間等、他の電気製品を使っていない時なら、使える電気のほとんど全てをバッテリーの充電に充てることもできるかも知れないが、昼間はそうはいかない。しかも、自宅に駐車スペースの無い都市部の人では、そもそも自宅での充電自体ができないのである


★急速充電器は町全体を停電にしてしまうかも知れない
・・・EVは普通充電だと充電時間がかなりかかるが、急速充電装置を使えば、もっと短時間で充電が可能である。但し、その充電器には50kWと言う途轍もなく大きな電力を消費する。加えて、急速充電器を全国に整備する為には、50kWを問題無く供給できる受変電設備を整備しなければならなくなる。ここには当然莫大な設備投資が必要になる。ちなみに、世界で最も有名なEVメーカーであるテスラモーターズの場合、100kWhの大容量バッテリーを搭載している。一度に多くの電力を蓄えられる一方、途轍もなく大きな電力が必要で、こうしたEVが一斉に普及したら、町全体が停電してしまうと言う悪夢が現実になるかも知れないのである。

★トヨタがEVに舵を切れなかったのは、部品の子会社が多いから
・・・トヨタは中々EVに舵を切れなかったが、トヨタの場合、現行のエンジン車は約3万点の部品から成り立っている。それらの部品をデンソー、アイシン精機をはじめとする子会社、グループ企業がピラミッドを形成して供給しているのである。ところが、EVになる部品の多くは必要無くなってしまう。その頂点にいるトヨタはEVを売ることで存続できても、子会社や下請けの中には仕事そのものが無くなり、廃業に追い込まれる企業も出るかも知れない。トヨタは人に温かい会社なので、ピラミッドを崩壊させてまで非情な決断を取ることはできなかったのである。


★価格が中々下がりそうにないEV
・・・現状、EVはかなり高価で、富裕層が買っているしかし、大衆層にまで広がった時には価格の壁が来る。エンジン車が3万点も部品があるのに対して、EVは1万点と3分の1程度なのだから、もっと安くなる筈だがそうはなっていない。エンジン車は年間1億台近く売れるから量産効果が働く為、100万円でも商売になる。ところが、EVが1000万台になってもエンジン車の10分の1である。価格競争では当分、ハイブリッドの優位が続くだろう。勿論量産が進めば規模の効果は出て下がるだろうが、テスラの第三段階EVの「モデル3」ですら量産につまづいている。リチウムイオン電池の発火リスクの制御の為の機構構築が難しいのである。


これより先は有料コンテンツとなります。価格は200円と、週刊少年誌よりも安く変える値段ですので、更にサクッと学びを深めたい方は是非ご購入下さい。


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