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【経済本100冊】Vol.76:『ご当地アイドルの経済学』(著:田中秀臣)のあらすじ

経済本100冊読破タイトル作成

こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、田中秀臣さんの『ご当地アイドルの経済学』です。

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基本情報

タイトル:ご当地アイドルの経済学
著者名:田中秀臣
初版発行年月:2016年2月
ページ数(大体):約250pg
難易度所感〈五段階〉:★★★ ほどよい


大和の適当あらすじ

NGT48を始め、ご当地アイドルの生き残り戦略は何かを経済学的に考察する本。


全体の感想

「アイドル×経済」と言う、ありそうで中々無いジャンルの本です。僕の地元の新潟のアイドル、NGT48にフォーカスされているだけあって、結構興味津々に読み進めることができました。

読んでいて分かったのは、ローカルアイドルとは言っても、本当にローカルだけで成立すると言うことは中々無く、いかに東京からファンを吸い寄せるか、或いはローカルアイドル側から都会に遠征に行くかと言うのがかなり重要になって来るみたいで、そこはやはり見た目とは裏腹に泥臭いな~と思い、驚きました。

また、行政からバックアップを受けているローカルアイドルは少なく、NGT48は例外で、あのNegiccoでさえも、コアなファンが運営母体になってアイドル活動ができていると言う点も、泥臭いな~と思いました。

意外とオープンな市場が成り立たないと言う点で、既存の経済学が通用しない所に、アイドル特有の経済学やマーケティングがあり、そこは他のジャンルの小規模事業者にも適用し得るような気がして、興味深かったです。

大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >


★NGT48は東京との時間的距離が近い点で有利
★NGT48は逆ストロー効果が期待できる
★意外と首都圏ではAKB48が公演できるハコが無い
★新潟にはアイドルの文化資本が存在している
★ローカルアイドルは公的資金に支えられていないのがほとんど
★ローカルアイドルにオープンなマーケットは存在しない
★新潟はアイドル市場としては薄商い市場に過ぎない
★2000年以降はミュージシャンの収益はCDからライブにシフト
★AKB48の戦略 は音楽産業冬の時代に対応するものだった
★AKB48は最早「会いに行けるアイドル」では無い
★アイドルは不況に強く、好況に弱い

< 各詳細 >

★NGT48は東京との時間的距離が近い点で有利
・・・NGT48がアイドル活動を行う上で有利なのは、新潟市が東京と時間的に近いことである。新幹線を使えば東京駅から新潟駅まで2時間ちょっと。高速バスも出ていて、それだと5時間半程である。この時間距離の短さによって、新潟では首都圏や北関東のAKB48グループのファンを呼び寄せることが可能である。但し現状は新潟発東京行きの夜行バスの便数には限りがあり、新幹線も夜9時台で終わってしまう為、首都圏のファンが余裕を持って新潟でコンサートを楽しむ為には近隣で宿泊施設を確保することが必須になる。もしこの辺りの運行スケジュールが改善されれば、地元の宿泊施設の容量に関係無く広域からの集客が可能になるだろう。


★NGT48は逆ストロー効果が期待できる
・・・地域経済学では、地方の中核都市が新幹線や高速道路で東京や大阪等、大都市と結ばれると、便利になるのと裏腹に人が東京に移動してしまうと言うマイナスの経済効果が生まれることが知られている。所謂「ストロー効果」である。しかし、ことアイドル市場においては、それとは逆に、首都圏からファンを吸い寄せる「逆ストロー効果」が期待できる。現在、秋葉原のAKB48劇場は観劇希望者の数に対して容量が完全に不足しており、「会いに行けるアイドル」と言うキャッチコピーとは裏腹に、中々ファンが生で会えない状態に陥っている。ところがNGT48なら、地元民だけでは劇場が連日満席にはならないので、地域外の人のチャンスが高くなるのである

★意外と首都圏ではAKB48が公演できるハコが無い
・・・元々AKB48が公演を行えるような、多くのファンを収容できるコンサート施設は幕張メッセや東京ドーム等、首都圏にもそれ程無い。首都圏でハコが無いとなると、新潟スタジアム等首都圏から比較的短時間で行ける地方の会場に注目が集まって来る。これもNGT48及び新潟経済にとっては追い風である。但し、交通機関の運行スケジュールや宿泊設備のキャパシティを見直さないと、首都圏からのファンを捌くことはできないので、その辺りには行政の手腕が問われる局面が出て来そうである。


★新潟にはアイドルの文化資本が存在している
・・・新潟がNGT48にとって有利な点の一つに、「場所の文化資本」が存在する地であることが挙げられる。元々アイドル文化の無い所では、よそからアイドルが来たからと言っても、すぐにそうした動きは始まらない。しかし新潟は日本全国の「ご当地アイドル」の中でも第一人者的存在と目されるNegiccoを始め、古町地区に拠点を置くRYUTist等少なくないローカルアイドル達が活動を続けており、アイドル研究家の間では「アイドル都市」と呼ぶ者もいる程である。これはNGT48にとっては一つ有利なポイントである。


★ローカルアイドルは公的資金に支えられていないのがほとんど
・・・NGT48で大々的に打ち出されているような、地域経済と一体化したアイドル活動は、実は一般的なローカルアイドルにおいてはまだほとんど見られない。大体のローカルアイドルは公的資金に支えられて活動している訳では無いし、地域経済への貢献を目的として政策的に生み出されている訳でもない。例えばNegiccoは、元々はJA全農にいがたが展開する地元特産の「やわ肌ねぎ」と言うネギのキャンペーンの為に誕生したアイドルグループである。しかしキャンペーン期間は僅か1ヵ月間で、その後は行政や公的団体からの支援は無く、地元のファンが主体になって運営を担い、アイドル活動を続けたのである。


これより先は有料コンテンツとなります。価格は200円と、週刊少年誌よりも安く変える値段ですので、更にサクッと学びを深めたい方は是非ご購入下さい。


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