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【経済本100冊】Vol.68:『日本は世界5位の農業大国』(著:浅川芳裕)のあらすじ

経済本100冊読破タイトル作成

こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、浅川芳裕さんの『日本は世界5位の農業大国』です。

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基本情報

タイトル:日本は世界5位の農業大国
著者名:浅川芳裕
初版発行年月:2010年2月
ページ数(大体):約190pg
難易度所感〈五段階〉:★★★ ほどよい


大和の適当あらすじ

日本は実は農業大国であり、ポテンシャルが高いのだと言うことを教えてくれる本。


全体の感想

日本の食料自給率の指標として、カロリーベースが疑わしいと言うことは他の著者の本でも知ってましたが、ここまでカロリーベースに潜む嘘を一つ一つ丁寧に暴いて行く本は、恐らくこの本だけでは無いかと思われます。そして、「日本の食料自給率は実は高かったです、めでたしめでたし」で終わらずに、ちゃんと人口減少に伴う農業市場の縮小を見据えた上で、今後日本農業をどのように発展・成長させて行くべきかと言う具体的な提案もしています。

日本農業悲観論が多い中で、著者の力強い提言と日本農業に対する大きな期待には励まされます。結構農業の自由化推進派なので、TPP反対等の保護貿易派は余り読まない方がいいかも知れません(笑)

大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >


★日本は世界5位の農業大国
★カロリーベースと生産額ベース
★カロリーベースの計算では、食べられてない分も分母に含まれる
★カロリーベースの分子には廃棄分の農作物が含まれていない
★日本の野菜の自給率は重量換算で80%
★輸入がゼロになれば食料自給率は上がる
★輸入飼料を与えられた国産家畜は食料自給率から除外されている
★牛肉・オレンジ交渉の時にカロリーベースの指標が現れた
★日本農業成長八策
★レンタル農園の整備、作物別マーケティング組織の構築
★農業のソフト産業化、海外農産物市場への積極展開
★国際検疫戦争に勝つ体制作りと日本農業をPRできる人材育成
★若手農家の海外研修の充実と海外の農地への進出支援


< 各詳細 >


★日本は世界5位の農業大国
・・・よく「日本は世界最大の食料輸入国だ」と批判されるが、その認識は間違っている。国際連合食料農業機関(FAO)発表の数値から導き出すと、農業の国内生産額(2005年)において、日本は先進国の中で、アメリカの1775億ドルに次ぐ826億ドルの2位である。世界全体で見ても、人口大国の中国が1位で2位がアメリカ、3位のインド、4位の農業大国ブラジルに続き、日本は世界5位の農業大国となる。これはEU諸国のどこよりも多く、農業大国ロシア、オーストラリアの3倍超もある数字なのである。

★カロリーベースと生産額ベース
・・・農水省によれば、自給率の指標には「カロリーベース」と「生産額ベース」の二つがある。日本の食料自給率が低いと言われる「自給率41%」は、カロリーベースの数字であり、これは国民一人一日当たりの国産供給カロリーを、一人一日当たりの全供給カロリーで割って算出する。計算式で表すと、「[(国産+輸出)供給カロリー÷人口]/[(国産+輸入-輸出)供給カロリー÷人口]」である。一方、生産額ベースは「食料の国内生産額/食料の国内消費仕向額(国内生産額+輸入額-輸出額)」である。2007年で見ると日本の生産額ベース自給率は66%であり、割と高い数値になるのである。


★カロリーベースの計算では、食べられてない分も分母に含まれる
・・・カロリーべ-スの計算式で注意なのは、分母となる供給カロリーは、私達が実際に摂取しているカロリーでは無いと言う点である。厚労省の調査(2005年)では、摂取カロリーが1904キロカロリーなのに対し、流通に出回った食品の供給カロリーは2573キロカロリーもある。その差分はどこに行ったのかと言うと、食品工場での廃棄分や。一般家庭での食べ残しである。誰の胃袋にも納まらなかった食料も分母に入れて計算されているのである。その量を重さで表すと1900万トン。日本の農産物輸入量5450万トンの3分の1近く、世界の食料援助量約600万トンの3倍にも及ぶのである。

★カロリーベースの分子には廃棄分の農作物が含まれていない
・・・カロリーベースの計算式の分子の国産供給カロリーには、全国に200万戸以上もある、農産物をほとんど販売していない自給的な農家や副業的な農家、土地持ち非農家が生産する大量の米や野菜は含まれていない。総世帯の5%を占める自家消費だけでなく、多くはご近所、知人、親戚等何倍もの世帯へのお裾分けに回っているのである。それに、近年急増する家庭菜園の農産物もカウントされていない。プロの農家が作る農産物でも、価格下落や規格外を理由に畑で廃棄されているものが2・3割はあるが、当然それも分子に含まれていない。つまり、実際の農産物の生産力は、農水省発表の数字より高いのである。

★日本の野菜の自給率は重量換算で80%
・・・カロリーベースの指標は生活実感にも即していない。例えばスーパーに並ぶ野菜の大半は国産品である。実は野菜の重量換算の自給率は80%を超えているのである。しかし野菜は全般的にカロリーが低い為、全供給量に占める国産カロリー比率は3%、摂取カロリーは1%を占めるのみに留まるのである。毒ギョーザ事件を始めとする中国産食品の危険性が一時クローズアップされた為、多くの野菜が中国から輸入されていると言う印象が強いが、それすら10%程度で、カロリー比率で言えば0.1%程度だけしか、中国産野菜に依存しているに過ぎないのである。

★輸入がゼロになれば食料自給率は上がる
・・・仮に日本の食料の輸出入がゼロになったとしても、自給率の計算上、分母と分子が一致して100%になってしまう。ほとんどの国民が、「自給率上昇=国内生産量上昇」と勘違いしているが、実際は国産が増えようが減ろうがほぼ関係無い。自給率を上げようと思えば、分母に占める割合の大きい輸入が減れば済むのである発展途上国は軒並み自給率が高いが、それは海外から食料を買うお金が無いからである。貧困にあえぎ、栄養失調に苦しむ国民が多いにも関わらず、自給率だけは高いのである。正に「自給率栄えて国民滅びる」である。


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