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【経済本100冊】Vol.70:『榊原英資の成熟戦略』(著:榊原英資)のあらすじ

経済本100冊読破タイトル作成

こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、榊原英資さんの『榊原英資の成熟戦略』です。

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基本情報

タイトル:榊原英資の成熟戦略
著者名:榊原英資
初版発行年月:2014年8月
ページ数(大体):約250pg
難易度所感〈五段階〉:★★★ ほどよい


大和の適当あらすじ

日本経済は成熟経済であり、もう成長はしなくていいんだよと言うことを教えてくれる本。

全体の感想

高度成長も最早昔になりましたが、昨今の日本の経済停滞をいたずらに嘆かわしく思うのでは無く、寧ろそれを先進国故の「成熟経済」の特徴なのだとポジティブに捉え直して、それを優雅に楽しもうでは無いかと言うことを、
榊原さんはこの本の中で主張しています。そして、これ以上の成長が望めない中で、国内の格差や相対貧困率を解消するには、ヨーロッパ型の福祉国家を日本は目指すべきであり、その為にはもっと大幅な増税が必要であると言うことが説かれています。

増税を是とするか非とするかはエコノミストの中で非常に見解が分かれる所ですが、リフレ派ですと大体量的緩和・金融緩和によるインフレを目指すには、増税は逆噴射政策に相当するので、増税はすべきでは無いと声高に叫んだりします。なのでリフレ派は余り読んではいけない本ですね(笑) 

僕自身はどちらかと言うとリフレ派に近い考えで、日本はまだ成長できるポテンシャルはあると思っているのですが、「モーレツサラリーマンのように我武者羅に働くことが日本経済の成長に繋がるんだ」と言う時代は既に過去のものだと思ってますので、この本で説かれてあるような豊かさを楽しむライフスタイルにシフトして行こうとする考えにも非常に共感します。


大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >

★日本経済は「停滞」しているのでは無く、「成熟」している
★企業は成長を目指すが、国は成長しない時代
★日本は成長が止まったとしても、既に十分に豊かな国である
★格差を無くすにはヨーロッパ型の福祉国家が必要である
★成熟国で、国家主導での高い経済成長を目指すのは無理
★グローバリゼーションでは、高いノウハウを持つ産業の価値が上がる
★第二次世界大戦後はサラリーマンの時代
★2000年代以降はプロフェッショナルの時代
★成熟経済を楽しもうと言う動きが出て来ている
★日本政府が目指すべきは「デフレ脱却」では無く「所得の再分配」


< 各詳細 >


★日本経済は「停滞」しているのでは無く、「成熟」している
・・・榊原氏は20年前から日本に訪れた経済の変化を、「停滞」では無く「成熟」と捉えている。物価上昇率もゼロ近辺で推移しているが、経済的にはまさに「安定」の時代だった。これこそが「成熟期」であり、その象徴が人口増加の終わりと経済成長率の低下なのである。経済成長率が低い国は日本だけでは無く、2012年のイギリスの成長率は0.25%、ドイツのそれは0.9%と、いずれも1%以下である。成長段階から成熟段階に入った経済の成長率が1%前後になるのは、ヨーロッパを見ても寧ろ自然なことで、そう考えると、日本の経済成長が0.9%程度に留まっていることは、問題視するようなことでは無いのである。


★企業は成長を目指すが、国は成長しない時代
・・・日本国民は未だに「経済成長が全てを解決する」と言った、高度成長時代のメンタリティから抜け切れていない。そうなってしまう要因の一つには、民間企業が、日本経済が成長するとしないとに関わらず、経営目標として「成長」を掲げざるを得ないからである。しかし、個々の企業の成長とGDPは別ものである。「企業は成長を目指すが、国は成長しない状態」に置かれているのである。「全体が成長して行く中で、自分が他人より早く、大きく成長する為にどう努力すべきか」と言う、成長社会の発想では無く、「これまでの経済成長の果実である豊かさを、どう活かして行くか」と言う成熟社会の発想が今、大事なのである

★日本は成長が止まったとしても、既に十分に豊かな国である
・・・たとえ現時点で日本の経済成長が止まったとしても、既に日本は十分に豊かな国である。日本の一人当たりGDPは4万6700ドルで、ドイツ・イギリス・フランスの一人当たりGDPを上回り、人口4000万人以上の国に限れば、アメリカに次いで世界2位である。また、国内の所得格差が比較的少なく、治安も非常に良好である。美しい自然環境に恵まれ、国土の68%が森林に覆われており、清流が多く、世界中でも水道水をそのまま飲める珍しい国である。そして日本人は世界で一番健康な国民である。日本は「環境」「安全」「健康」と言う、国民の幸福の中でも大きなウェイトを占めている分野では世界のトップなのである

★格差を無くすにはヨーロッパ型の福祉国家が必要である
・・・グローバリゼーションに伴う国内の格差拡大は、個人の力では埋められない。その差を縮めようと思うのであれば、国家が所得を再分配しなくてはいけない。それにはアメリカ型の「小さな政府」では無く、ヨーロッパ型の福祉国家が必要である但しそうなれば税金は高くならざるを得ない。この点を曖昧にしたまま、税金を余り取らずに福祉を強化して来た為に、歳入が支出の半分しかないと言う、悲惨な財政状況が定着してしまったのである。アメリカ型か、ヨーロッパ型か、この問題については本来なら、これを争点に二大政党制で政治の側が選択肢を国民に用意するのが望ましいが、そうなっていないのが残念である。

★成熟国で、国家主導での高い経済成長を目指すのは無理
・・・経済成長期には、公共投資でインフラが整備されると、工業が発展し、雇用が拡大、税収増加と言う好循環が見られる。しかしこのような成長の図式は、日本のような成熟国では成立しない。既に中国でも、工業が過剰生産に陥る中でこれまで同様に公共投資を続けたことで、経済に大きな歪みが生じている。工業が十分に発達した成熟国で、国家主導で高い経済成長率を目指すと言う政策には、根本的に無理があるのである。また、今の日本経済は既に自由なので、規制緩和をした所で、経済成長率が大きく嵩上げされるようなことは無い


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