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【経済本100冊】Vol.44:『スタバではグランデを買え!』(著:吉本佳生)のあらすじ


こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、吉本佳生さんの『スタバではグランデを買え!』です。

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基本情報

タイトル:スタバではグランデを買え!
著者名:吉本佳生
初版発行年月:2007年9月
ページ数(大体):約280pg
難易度所感〈五段階〉:★★★★ ややムズい

大和の適当あらすじ

「取引コスト」に着目して、日常の価格の秘密や、本当の意味での賢い選択とは何かを消費者目線で解説してくれる本。

全体の感想

ややキャッチーな表題ですが、要するに見た目の価格以外の所に潜む様々な「取引コスト」に注目して、身近な経済の戦略や問題を考えてみようと言う本です。著者が講義慣れしているのか、様々な興味深い事例のオンパレードで、且つどれも解説が丁寧で分かりやすいです。

どの事例も日常生活で身近に感じるものであり、リアリティを感じながら経済のことが学べると言う本書は非常に貴重です。所々図解も挿入してくれてるのが親切設計です。但し後半の携帯の制度とか、CDの著作権の所は僕にはちょっと難しかったです。。。

かなり分かりやすい事例と、ちょっとじっくり読んで考えないと分かりにくい事例とが織り交ざっていて、そこの難易度のバラエディには注意です。とは言え、理論的でありながら具体性もありつつ、取引コストと言うテーマで一貫しながら、ミクロからマクロの問題まで幅広く説明し尽くそうと言う著者の意欲と解説力には脱帽します。

経済本と言うと、小難しいことを語っていながら、内容が薄いと言う本もよくありますが、この本は中身がウニみたいに濃厚なので、コスパの良い本としてオススメしたい一冊ですね♪


大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >

★代金以外にかかる様々な取引コスト
★同じモノが違う値段で売られ続けるのは取引コストがかかるから
★スタバのコーヒー1杯のコーヒー豆のコストは1~2円
★スタバが2倍サイズを100円均一の価格差にして儲けられる理由
★子供の医療の無料化が却って不平等を助長す
★石油が採れないのに、石油製品の輸出を拡大する日本
★映画DVD販売の時間差攻撃戦略
★日本の携帯料金が複雑なのは価格差別できるから
★焼肉屋は牛を一頭丸ごと仕入れることでコストを抑えられる
★コンビニがコンパクトながら品揃えが充実している理由

< 各詳細 >

★代金以外にかかる様々な取引コスト
・・・買い物に関して、買い物の代金とは別にかかる、時間や労力(手間)、余分なお金の支出、他の資産の使用、心理的負担と言った様々な負担のことを「取引コスト」と言う。取引コストの中には、「情報」を得る為のコストも含まれる。できるだけコスパ良く商品を買おうとして、私達が情報を収集して判断するコストも、店側が私達に情報を伝えようとしてかけるコストも、やはり取引コストの一種であり、取引前にかかる。取引時にかかるコストとしては、交渉や決済の手間、商品の運搬コスト等がそうである。取引後にかかるコストとしては、分解してある商品であれば、家で組み立てるコストや、ゴミとなった容器を捨てる手間、マニュアルを読む手間等が相当する。


★同じモノが違う値段で売られ続けるのは取引コストがかかるから
・・・同じ時点で同じモノが違う価格で売買されている時に、その価格差を利用して儲けようとする取引のことを「裁定」もしくは「裁定取引」と言う。安い方の価格で買って、高い方の価格で売れば、理論上は確実にその差の分だけ儲けられる。そして、裁定が十分に働くと、異なっていた価格のモノは次第に差が縮んで等しくなる。これを「裁定が働く」と表現する。また、理論と異なり、現実には裁定が働かずに、同じモノが違う価格で売られ続けることがあるが、それはどこかで取引コストがかかっているからである。例えば、安く商品を仕入れられても、運搬に高いコストがかかるとすれば誰もやらないので、同じモノが違う価格で売られ続けるのである。

★スタバのコーヒー1杯のコーヒー豆のコストは1~2円
・・・スタバやタリーズのようなシアトル系エスプレッソカフェは、Sサイズの価格が相対的に安い飲み物でも、高い飲み物でも、2倍の量のGサイズでは、全てのコーヒー飲料で価格差は100円丁度であると言う特徴がある。このような価格設定が可能なのは、そもそも1杯のコーヒーに占めるコーヒー豆のコストが非常に小さいからである。例えば、コーヒー1杯に10gの豆を使うとして、それを生産者から直接買うとすると、1~2円あれば十分であることが一般的である。なので、私達はカフェでコーヒーを買っていると言うよりも、好きなタイミングで美味しいコーヒーを、雰囲気の良いお店で飲めると言うサービスを買っているのである。

★スタバが2倍サイズを100円均一の価格差にして儲けられる理由
・・・スタバのようなカフェでは回転数が大事であり、短時間でも、より多くの商品や、より高額な商品をなるべく一度に提供したいと経営者側は考えている。そこで、客単価を上げる為に、どの飲み物でも2倍サイズで100円だけ高くなる価格差に設定するのである。元々、コーヒー豆のコスト自体は低いので、100円の価格差で均一にしても十分利益は出る。且つ、飲み物のサイズが2倍でも、作るのにかかる時間はSサイズとそれ程変わらないので、2倍の量の提供が1回の注文で済む分、スタッフの時間や手間の取引コストを抑えることができる。なので、お店側から見て、量が多いグランデを頼む客は効率良く儲けさせてくれる客なのである。


★子供の医療の無料化が却って不平等を助長する
・・・よく、選挙公約で乳幼児医療の無料化が掲げられるが、これは冷静に考えると、却って不平等を助長しやすい。何故なら、乳幼児医療の無料化によって、無節操なコンビニ受診が増えるからである。これによって、急いで処置すべき患者の対応が遅れるリスクが生じる。また、必要性の乏しい患者の治療費は安いので、病院の収入増にもならない。且つ、無料化による混雑で待ち時間が長くなるが、時間に余裕の無いワーキングマザー程、かかる時間コストが大きいので、隠れた不平等が生じる可能性がある。その為、少子化対策で乳幼児医療を無料化するよりも、不足気味の小児科医の待遇を良くすると言った政策を取った方が良い。


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