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外に失いしものを内にて取り戻さん。

先日デンマーク人の友人と話していた時
「Hygge(ヒュゲ)」の話になった。

”Hygge”とはデンマーク独自の概念で、日本語に訳するならば「心地の良い時間や空間」「心がぽっと温かくなる瞬間」なんて言ったりもする。

私:最近日本でもHyggeって聞くようになったよ!本も沢山でてるし。例えばキャンドルを炊いたり、家の家具にこだわることが大切って書いてあったな。
友人:そうだね。でも別に特別なことは何もしなくていいんだ。Hyggeは日常にあふれてると思う。
友人:この前友達が家に来て、冷蔵庫にあるもので料理を作って食べたんだ。料理もお酒も高級なものじゃなかったけど、とてもHyggeな時間だった。朝のコーヒーを飲んでる時、自分の好きなことをしてる時。いつでもHyggeを感じるんだ。

”Hygge”にはデンマーク人の考え方がすごく表れてると思う。


私は高校時代デンマークが世界一幸せな国だと知って、かれこれ5年間デンマークという国について考えてきた。

ーそもそも幸福度って測れないし、幸福度ランキングってあてにならないんじゃないか。

ー結局北欧の国は社会福祉が充実してるから幸福度が高いんでしょ。

色んな考えがあって、どれも一理あると思う。


でも私なりに思うのは

デンマーク人は幸せを見つけるのが上手なのかなと

だから幸福度が高いんじゃないかと思う。


無いものよりも、今あるものに

できないことよりも、できることに

過去や未来よりも、今に

目を向けて。

まだまだではなく「もう十分だ」

そう思えることが、幸せの秘訣なのかなと思う。


そのルーツを求めて歴史を少し辿ってみる。

19世紀、デンマークは戦争に負けて領土のほとんどを失った。

戦後、屈辱的な敗北を喫したデンマーク人らが選んだ道は領土奪還ではなく、残された土地を開拓すること。

国民たちの不屈の努力により、デンマークは農業・酪農大国として奇跡の復興を果たした。

その時のスローガンが

hvad udad tabes, skal indad vindes
(外に失いしものを内にて取り戻さん)

というデンマークの詩人Holstの言葉。

大昔の話だけれど、その精神は現代のデンマーク人にも脈々と受け継がれているように思う。


外に目を向ければ、はっきり言って嫌な現実ばかり。

本当か嘘かも分からない情報で溢れかえり、みんな人のあげ足をとるのに必死。

パンデミックの収束はいつなのか。先は見えず、その間も地は揺れ続ける。

こんな世の中でまともに生きるなんて無理だと思う。


でも、ふと立ち止まって「内」に目を向けてみる。

家族がいて、友達がいて、みんな元気で。

今日食べるものがあって、温かい湯船に浸かることができて。ふかふかのベッドで目を閉じて、また朝を迎えられる。

こんなに幸せなことはないな。生きてるって奇跡だなと思える。


ー本当だ。Hyggeは日常にあふれてる。

幸せとはもうそこにあって

それをいかに感じられるか、
それを幸せと感じられる心があるかどうかなんだなと。

はっとさせられる。


hvad udad tabes, skal indad vindes
(外に失いしものを内にて取り戻さん)

今こそ「内」に目を向けて、
日常にあふれる幸せに気づく時。

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