浸水区域想定図のポイント解説 その1【ハザードマップを理解するコツ:豪雨災害編1/5】
今回から5回にわたって、豪雨災害の「ハザードマップを理解するコツ」についてお話ししていきます。
浸水区域想定図とは?
みなさんは「浸水区域想定図」を見たことはありますか?
いわゆるハザードマップの中で、大雨によって河川が氾濫した場合の洪水被害を想定したマップです。平野部で近くに大きな河川がある地域に住んでいる人は必見です。
これは愛媛県今治市の2021年時点でのハザードマップ(浸水区域想定図)です。一般的な感覚では、まず自分の家がどこか探し、そこが何色か(浸水深が何mか)を確認して終わるだろうと思います。
ですが、みなさんには「ここは最低限確認してほしい」というポイントが2つあります。
ポイント1:想定雨量は何mmか?
熱海市の土石流災害の事例のように、危険段階にあっても必ずしも警報が出るとは限りません。
また避難するタイミングを逃してしまう危険もありますので、「地域の危険な雨量」をあらかじめ知っておけば、数日前の天気予報の段階から準備をすることができますよね。
これは宮城県仙台市の事例で「ハザードマップの表示について」から抜粋しました。自治体によって、想定雨量の情報が記載されている箇所は様々ですので、何とか探し出して確認してみてください。
そしてこの時に「1000年に1度の雨量」を想定されているかどうかチェックしてみてください。以前は「50~150年に1度」でしたが、法律が改正されて2015年から「1000年に1度」でマップを作成することになっています。
しかし残念ながら、未だに古い基準のままのハザードマップを見かけることがあります。
近年は明らかに雨量が多くなってきていますので、古い基準のマップを見て「うちは大丈夫」と安心していたら被災してしまったということになりかねません。
まず最初に「想定雨量」をチェックすることは重要です。
〇なぜ1000年に1度なのか
1000年に1度と言われるとピンと来ない人も多いかもしれません。「そんな、いつ降るかもわからない雨を気にする必要があるのか?」と感じる人もいると思います。
でも確率を計算してみると案外、明日降ってもおかしくないかも?と感じるかもしれません。数学の話になってしまいますが、以下で順を追って説明していきます。
この考え方で、自分の一生(100年)の間に1000年に1度の雨が降る確率を計算すると9.5%・・・つまり約10%です。案外と高い確率だと思いませんか?
しかも確率雨量は「過去の実測データ」を使って計算しています。日本で気象観測が開始されたのは1875年で今から約150年前です。つまり150年分のデータしかないのに、1000年に1度の雨をどこまで正確に求められるか?すらも怪しいのです。
「念には念を入れて、大きめの雨量で想定しておいた方が良い」のも頷けますよね。
今回はここまでです。次回は「ここは最低限確認してほしい」ポイントの2つめについてお話しします。
お読みいただき、ありがとうございました。
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