ハザードマップの更新状況を確認しよう【ハザードマップを理解するコツ:豪雨災害編3/5】
前回は「今治市のハザードマップが更新された」とお伝えしました。
新しいハザードマップでは問題点は解消されたのか?見ていきましょう。
まずはおさらい
更新マップを見る前に、以前のマップの問題点をおさらいしましょう。
「問題点」と言ってしまうと大げさかもしれませんね。「私たち『見る側』が注意すべき点」と言う方が適切かもしれません。
以上の2点でした。
つまり、せっかくハザードマップを見て対策していたとしても、それ以上の洪水に襲われる可能性があるということです。
では新しいマップはどうか?見てみましょう。
今治市ハザードマップ:更新版を見てみよう
では実際にどのように更新されたのか?
確認してみましょう。
縮尺が大きく、地図としては見やすくなりました。
しかしパッと見た限り、浸水想定区域は変わっていないように見えます。
想定雨量がどこに記載されているか探しましたが、このページ内には見つかりませんでした。
そこで、別冊の「ハザードマップについて」を確認。その冒頭に記載がありました(※上画像参照)。
更新前と同じです。
違うとすれば、そのすぐ下にあった図(下図)です。
ここでは「想定最大規模降雨」による洪水浸水想定区域と表題が付けられています。
つまり現在国が定めている1000年に1度の降雨(正式には「想定最大規模降雨」)を想定していますので、本来であれば「ハザードマップ」として正式に公表する図のはずです。
そして私が一番気になったのは、この図の説明文の冒頭に「発生する確率は低いものの」という文言が入っていることです。
つまり、発生する確率は低いから、正式なハザードマップとしては公表せず、このような説明欄に、小さく載せて良いと思っているのでしょうか?
国の「1000年に1度程度の降雨」のハザードマップをつくるという方針は、「近年は『観測史上最大』の異常豪雨が日本全国各地で発生している」ことが一番の理由でしょう。
東日本大震災も「こんな大災害が本当に起こるなんて」と、誰もが驚きましたが、実際に起こっています。
私が一番心配しているのは、今治市の方々が、この「ハザードマップについて」という別冊の解説を読まずに、洪水浸水想定区域図だけを見て、「自分の家は白いから安心だ」と思い込み、いざ、想定雨量(227.5mm)以上の豪雨の天気予報があったとしても「うちは大丈夫」と避難せず、被災してしまうことです。
なぜ、せっかく国が決めた基準の雨量でマップをつくったのに、「低い確率だ」と言って、解説ページに小さく表示するだけで済ませてしまうのでしょうか。
非常に残念でなりません。
令和2年に豪雨災害があった熊本県の人吉市長の講演によれば、市長のご自宅とその周辺は、2階の天井まで水没したそうです。
上の図で今治市が「発生する確率は低い」としたマップの大半はオレンジ色でしたが、それは1階が水没するくらいの水深です。
つまり、つい2年前、同じ日本国内の人吉市で実際に、それ以上の災害が起こったのです。
それにも関わらず「発生する確率は低い」として正式なハザードマップとして公表しないという今治市の姿勢については、大きな疑問を感じます。
皆さんは、どう思いますか?
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