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災害弱者としての高齢者 【自然災害と高齢者2/4】

茨城県の2019年の台風19号被害

2019年10月の台風19号では、茨城県でも大きな水害による被害がでました。
茨城県北の久慈川にかかる水郡線の鉄橋の流失は、全国的に報道されました。
下の写真は洪水が引いた後に現地調査に入った時に撮った写真です。

ビックリしたのは、橋脚があたかものりまき寿司のように輪切りになっていたことでした。
古い鉄橋で、鉄筋が入っていなかったようです。
こんな鉄橋は全国にたくさんあると思います。

茨城県大子町での高齢者の被災

大子町の中心街は流失した鉄橋の近くの久慈川とその支流の合流点付近にあり、大きく浸水しました。
大子町役場の1階は水没しましたが、その近くにあった「FMだいご」の放送局も浸水し、午後10時45分ごろには放送を停止しました。
下の写真は水没した放送局。
防災無線未整備の大子町としてはこのFM放送が頼みの綱だったのですが・・・
一方、大子町役場やFM放送局近くの2階建ての介護老人保健施設では、事前に1階の利用者を2階に避難させて被害を防ぐことができました。

ただ、残念なことに91歳の一人暮らしの女性が、逃げ遅れて死亡しました。
この方の住居は2階建てだったのですが、大子町の浸水地域にありました。
事前に避難を呼びかけていたようですが、ご本人が辞退されていたようです。
足腰が弱っていたようなので、近所の方が避難を呼びかけたそうです(現地で話を聞きました)。
2階に登ることができず、1階の台所近辺でなくなっていたとのことです。

https://note.com/tbsnews/n/n97facfbb0271

一人暮らしの高齢者と自然災害

自然災害は一人暮らしの高齢者にとって極めて危険なものであることを思い知らされました。
次に引用した図は、2019年厚生労働省「国民生活基礎調査」から引用したものです。

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/02.pdf

919年を見ると、単独世帯(一人暮らし)は約3割に近いことが分かります。
その割合は年々高まっており、今後も増加し続けるものと思われます。
早急に一人暮らしの高齢者の自然災害への対応を考える必要があります。
私自身まもなく後期高齢者になりますが、身につまされています。

次に2016年厚生労働省の調査による、老後の一人暮らしにたいする意識調査の結果を示します。

https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/16/dl/all.pdf

この結果からは、自然災害に対してはほとんど不安を感じていないように見えます。
アンケート実施時に、自然災害に対して不安が無いかを聞かなくてはならないと思うのですが、設問には入っていなかったようです。
高齢者は自然災害に対して弱者であることを、もっとアピールしなければならないと考えます。
まずは高齢者自身が自分が災害弱者であることを自覚することが重要でしょう。

一人暮らしの高齢者が自然災害に対する弱者であることを自覚した後、自分自身としてどうしたらよいか次回考えてみます。
行政に何を求めるか考えることも重要ですが、まずは個人としてできることから考えてみましょう。


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