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【無料】基礎から分かる水産用語<159> フルーツ魚とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


フルーツ魚とは

 餌に果物を混ぜて育てた養殖魚。ブリにユズを与え、ビタミンCなど抗酸化作用で変色を抑制するか検証していた高知大農学部が、ブリの身にユズの香りがついている点に着目。鹿児島県長島町の岩本水産と開発した「柚子鰤王」を2007年に発売し、以降同様の商品が各地に広まった。

 変色や傷みの抑制も実証でき、果物の栄養素による魚の健全育成にも役立つが、生臭さを消す効果と魚種によってはうま味の向上や、各地の特産品を打ち出したブランディング面の印象も大きい。ブリだけでも徳島ではスダチ、愛媛でミカン、鹿児島はボンタンを与えた製品などがある。

 他の魚種でも愛媛の「みかん鯛」やイヨカンオイルの「宇和島サーモン」、大分の「かぼすヒラメ」など西日本を中心にかんきつ系が多いが、近年は岡山中央魚市の「桃鯛」や、近畿大とニチレイフーズ開発の「アセロラ真鯛」、香川の「オリーブハマチ」など非かんきつ系も登場。ワイン製造で出たブドウかすを使った山梨のマス「甲斐サーモンレッド」など東日本へも派生している。

 長崎の「ハーブサバ」、鹿児島のお茶を使った「海の桜勘」「さつま茶ぶり」、福井県小浜の酒かすを与えた「よっぱらいサバ」などフルーツ以外も販売されている。ジュースや酒などを生産後の皮や筋など、残さの排出抑制や有効活用にもつながる。

みなと新聞本紙2023年10月27日付の記事を掲載