連載SF小説『少年トマと氷の惑星』Ⅲ.小箱の中身
Ⅲ.小箱の中身
鍵穴もなく、力づくで箱を掴んでもびくともせず、百年の間、開け方のまったく分からなかった小箱の鍵が、いとも簡単に開いた。
その瞬間、トマの頭は真っ白になったが、次の瞬きをする頃には、すぐにカイムの姿を探していた。
「カイム、カイム! 箱が開いた! じいちゃんの箱が開いたよ!」
今日も暖炉でスープを煮込んでいるカイムの元に駆け寄ると、トマは鍵の開いた箱を見せつける。
「おお、よかったなぁ。中身は何だった? ずっと知りたかったんだろう」
カイムにそう言