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今週のSaaSニュース! Vol.7(6/28週)

今週は先週に続き、a16zのFivetran $100M、Anduril $200M調達などの注目ディールがありましたが、比較的大型調達やExit関連のニュースが少なめの週でした。注目ニュースでは、Openview VPのSaaSプライシング完全ガイドなど、いくつか優れた記事を紹介します。

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今週の注目SaaS資金調達ニュース

◆[データ連携SaaS]Fivetran シリーズC $100M調達:Fivetranは、データ解析チーム向けに、企業内のSaaSやデータベースの自動連携/同期をノーコードで実行できるSaaSを提供。開発リソースをプロダクト開発に集中、PDCAの高速化を実現する。既に1,100社で導入され、直近1年で新規顧客数は+75%増、売上+129%増。本ラウンドは、Andreessen HorowitzとGeneral Catalystがリード投資。評価額$1.2Bユニコーンの仲間入り。

◆[軍事ソフトウェア]Anduril Industries シリーズC $200M調達:Auduril Industriesは、軍隊や国境警備向けに無人監視のハード/ソフト両方を提供。創業者はPalantirのベテランを含む。Peter ThielのFounders FundがシリーズAにて出資。Audurilについては監視社会の中国然り、米国でも議論のタネになっている。本ラウンドは、Andreessen Horowitzがリードの他、General Catalyst、Founders Fund、Lux Capitalなど錚々たる投資が参加。

◆[ゲーム用Slack]Discord $100M調達:Discordは、音声・ビデオ・テキストチャットなどのコミュニケーションツールを提供。元々はゲームユーザー同士のコミュニケーションのために使われていたが、今回のBlack lives matterの活動団体やインフルエンサーなど、様々な小規模グループでの活用が拡大。既にアクティブユーザー数は1億人を超える。本ラウンドでは、Index Venturesから$100M調達。評価額$3.5Bのユニコーン企業。

◆[プライバシーSaaS]Immuta シリーズC $40M調達:Immutaは、欧州のGDPR、米国カリフォルニア州のCCPAなど新規制や、HIPPAなどの従来のプライバシー規制に対応するためのSaaSを提供。プライバシーSaaSは、Bessemer VPの「State of Cloud 2020」の予測でも取り上げられるように、消費者/行政の意識の高まりから注目のSaaS分野。Immutaは、既に大手金融機関に導入。本ラウンドは、Intel Capitalがリード。DFJ GrowthのMark Bailey氏などが社外取締役。(→Link)

◆[コマースSaaS]Scalefast シリーズB $22M調達:Scalefastは、主にD2C事業者向けに、最短15日でEC事業を100以上の通貨、決済手段でスタートできるワンストップSaaSを提供。既存顧客には、ロレアルやスクエア・エニクスなどの大企業もいる。本ラウンドは、Xplorer Capital、Stereo Capital、FJ Labsがリード。(→Link)

◆[福利厚生SaaS]Accolade IPO準備:Accoladeは、従業員向けに保険会社と連携して、健康に関する福利厚生を簡単に相談、ベストなプランを提供するサービスを提供。ComcastやLowe'sなどの大企業が顧客。2020年後半でのIPOを目指し、Goldman Sachs等のインベストメントバンクに打診。類似する領域の、Googleが出資するOne MedicalがIPO申請済みなど、B2Bのヘルスケアプランを提供するサービスは注目を浴びている。直近のラウンドでは、評価額$620M。(→Link)

◆[D2C 医療保険]Oscar Health $225M調達:Oscar Healthは、消費者/企業向けにデータ活用した医療保険を提供。2020年に加入者40万人、売上2,200億円超を目指す。本ラウンドは、既存投資家である Alphabet, General Catalyst, Khosla Venturesなどから調達。累計調達額は、$1.5B。(→Link)

◆[ID認証SaaS]Veriff シリーズA+ $15.5M調達:Veriffは、世界190か国、35言語以上、7,700以上の政府発行IDを活用し、簡単にバックグランドチェック・ID認証を行えるSaaSを提供するエストニア発のスタートアップ。ECやFintechなど、コロナ以降にサービスのデジタル化が進む中でID認証の重要度を増しており、米国/英国を中心に売上が伸びている。本ラウンドでは、NordicNinja VCがリードで、既存投資家のY-Combinatorなども参加。(→Link)

◆[CRM(ABM) SaaS]Emissary シリーズA+ $6.3M調達:Emissaryは、1万人以上のFortune 1000企業の経営経験者のネットワークを有し、エンタープライズ向けマーケティング/営業担当者向けにABMキャンペーンの実行支援をするSaaSを提供。2020年にIPOしたZoomInfoなど、ABMはコロナ以降のエンタープライズ営業のニューノーマルとして広がりつつある。本ラウンドは、G20 Venturesがリード投資家。(→Link)

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今週のSaaSおすすめ記事

コロナ以降のニューノーマルの中で、米国SaaS企業への評価は上がり続けています。その直近の状況やそれに併せて、このニューノーマルの中で、プライシング、営業/マーケの見直しも進んでいます。今週は、その参考になりそうな記事を紹介します。

The Ultimate SaaS Pricing Resources Guide 

Mastering SaaS Pricing」でも知られるOpenview Venture PartnersによるSaaSプライシングに関する優良ソースの完全ガイド。SaaSのプライシングに関する戦略的、心理学的アプローチや事例に加え、COVID-19以降のSaaS企業の価格改定に関するアプローチなど、非常に広範な内容をカバー。SaaSスタートアップの方は、プライシングに悩まれた際に、辞書的に活用されることをおすすめします。

Embracing “Pricing-Market Fit” as a Cloud-Native Company 

コロナ後に、企業のクラウド化の機運が一気に高まった一方、価格による摩擦(friction)を減らすために、フリミアムやフリープランを採用するSaaS上場企業(例. Crowdstrike, PagerDuty)の増加などが起こりました。T2D3やRule of 40の提唱など、SaaSのセオリーを数多く生んでいるBattery Venturesの記事。

SaaS revenue multiples are unbelievable

直近SaaS企業への注目が集まる中、米国SaaSのマルチプルは、平均17.9x、中央値11.3xまで上がっています。この記事では、コロナ前~コロナ後の2020/Q2(現在)まで、米国SaaS上場企業別にマルチプルがどのように推移しているかを示しています。最新の動向が良くまとまっています。

Stop Thinking About Marketing as a Funnel

近年SaaSのマーケティングをファネルではなく、Flywheelなど、ループで考える潮流があります。それには、バイラル性(口コミ)を産む仕掛けをいかに創れるかが重要になります。HubSpotの元VP of Growthやa16z Andrew Chenなどが主催するSaaSフォーラム"Reforge"が、そのバイラルによるマーケティングループの7つのタイプと実例をしめした記事。

SaaS Customer Onboarding: A Simple (But Detailed) Guide

SaaSの受注後に重要なオンボーディング。日本のSaaSにおいても、プロダクトが良くても、オンボーディングが下手が故に、チャーンの高いSaaS企業も少なくありません。とは言え、SaaSのオンボーディングは何をやればいいか難しい。そんな方向けに、本ブログではステップ・バイ・ステップで丁寧に解説してくれています。

Five Tips for Selling to SMBs

SMBにSaaSを売るために重要な5つのポイントについて解説した記事。SMBならではの特有のニーズ(低ITリテラシーや専任不在など)への理解や、コミュニケーションの摩擦の低減、バイラルをしてくれるファン層醸成の重要性、SMBとエンタープライズのROIの考え方の違いなど。SMB SaaSの方に示唆を与えてくれる記事です。

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