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【東京都写真美術館】 人それぞれのまなざし 【感想】



東京都写真美術館を訪れて


先日、恵比寿ガーデンプレイス内にある東京都写真美術館を訪れた。
現在は3つの展覧会が開催されている。
前回見に行った「TOPコレクション メメント・モリと写真」がとても良かったので楽しみにしていた。


「TOPコレクション 見ることの重奏」


このTOPコレクションでは約37,000 点の収蔵作品の中からテーマに沿って選んだものを定期的に紹介しているそうだ。今回のテーマは「見ることの重奏」。一つの作品でも、作者や批評家、鑑賞者など立場によって多様な見方がある。

小さめで薄暗い照明と灰色の壁に囲まれた展示室はすごく居心地が良い。よく、美術館では「作品保護のために照明が暗くなっています」という注意書きを見かけるが、個人的には薄暗いほうが自分含め見ている人間が目立たなくなり作品に集中できるのでそちらの方が好きだ。

最初に目に飛び込んできたのは山崎博の「水平線採集」。きれい。絵画みたい。すでにやっぱここ来てよかった〜という気になった。

杉浦邦恵の「'botanic after Anna Atkins'」も私の目をひいた。チューリップ好きなのでとても気に入った。花びらだけ透けているところに生命を感じられて好きだ。

今回の展覧会のメインビジュアルにもなっている奈良原一高の「デュシャン/大ガラス」。公式サイトでこの作品をぱっと見た時点ではなんの写真かわからなかったが、デュシャンの「大ガラス」を写真に撮ってさらに作品にしたものだと知り驚いた。おもしろい〜。

さらに続けてマン・レイの「埃の培養」を見てあんぐりしてしまった。「大ガラス」の上に埃が積もった様子を撮っている。そんなことして良いんだ…。
まさに今回の展覧会のテーマを考えるにふさわしい。デュシャンの作品をそのまま見た時。奈良原一高の写真を通して見た時。マン・レイの写真を通して見た時。同じ物でもそれぞれ雰囲気が違って見える。

他にもマン・レイの「ガラスの涙」、「黒と白」、「アングルのヴァイオリン」などの好きな有名作品も見ることができて満足した。


「今森光彦 にっぽんの里山」


自然写真家の今森光彦さんが、訪れた日本全国200カ所以上の里山の中から厳選した作品を紹介している。
会場内は撮影禁止で、春夏秋冬の四つのエリアに分けられていた。

たまに空がピンクと水色と薄紫が混じったようなかわいい色になる時がある。そんな時私は思わずスマホで写真を撮ることもあるのだが、「朝霧の棚田」はそれのレベル100みたいな写真だった。すごい、プロが撮るとこんなふうになるんだな…。

私は虫が苦手なので虫の写真はどうだろうな…と思っていたが、高画質で撮られた普段見られない虫の姿は興味深くじっくり見てしまった。
自然は勿論、その中で生活する人々のいきいきとした姿も印象的だった。


「いわいとしお×東京都写真美術館 光と動きの100かいだてのいえ ー19世紀の映像装置とメディアアートをつなぐ」


ここの展示は絵本とのコラボということもあり、かなり子供向けという印象だった。実際、来ていた客は親子がほとんど。

若干気恥ずかしさがありつつも1人で体験型の展示をやってみたが面白かった。特にフェナキスティスコープという鏡の前でくるくる回すと絵が動いて見える道具が好きだ。ゾートロープやカメラ・オブスクラなど写真史の勉強で知ってはいたものの実物を見たことがなかった物を見ることができたのも嬉しかった。


おわりに


絵画や彫刻に比べ写真の作品を鑑賞するのはまだ少し慣れていないところがある。それでも沢山の作品を見て、歴史や技法を知り、より楽しめるようになっていきたい。そのためにも、日本で初めての写真と映像に関する総合的な美術館であるこの東京都写真美術館にまた訪れたい。




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