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羽ばたく日はくるのか!桐野安生と松本りんす

四十代。全く売れてないわけじゃない。でも、たぶんこのままだと消える。
「有田ジェネレーション」の桐野安生と「だーりんず」でキングオブコント決勝まで進んだ松本りんすというお笑い芸人が、恥をかきながら、サナギから成虫になってる最中。

この様子が悲しいやらおかしいやら。
ふたりとも夢を見て、この仕事を選んだだろうに、まさかこんな多くの人からバカにされ、ハゲ方が無残とか、いじきたないとか、バイトやめれないのをわかって「バイトやめれて良かったですね」と言われる人生になるとは。

「だーりんず」はコントで評価されて、もしかしたら演技派ダンディおじさんとして売れる一歩手前まで来てたのに、今でも「第三偽柿」人生だ。
亀田の柿の種より安いトップバリューの「にせもんの柿の種」と第三のビールをかっくらう、それでええやんええやん、と自分を納得させて寝る。それが第三偽柿 ~だいさんにせかき~人生。
この「第三偽柿」ってワードもザコシショウが繰り返し使いまくって、いじるときの定番ワードになってます。
永遠に届かないあこがれの「第一本柿」とセットで覚えよう。

今は「シュー!」って言うだけのギャグを、地獄のように繰り返している。いろんな言い方にしたり動きを変えたりしながら。
この師弟関係。おじさんたちが奇声をあげるだけの放送が、youtubeで一番楽しみ。

この信頼関係の中でやってなかったら、いじめ、パワハラだけど、これだけいじってるのに、編集して字幕あてて、テレビでもこのギャグをやるシショウの愛情。

第二回で「シューシュータコかいな」まで進化する。

「シュー」の一言から、なんでこんなこと思いつくんだろう。ハゲ鑑賞とか、オセロをやってひっくり返すごとに「シュウ!シュウ!」って声を出すシューオセロとか、毎回へんな企画に巻き込まれるりんす。

ザコシショウはDVDの企画を考えるときに松本人志の番組を意識しているけど、ご時世のためリモートで松本りんすを操縦すると、哀愁あるおじさんに無理させる「おっさん劇場」みたいになった。

「さや侍」の人は、サラリーマン時代の使えない携帯電話をいつまでも持っていたらしいけど、みんなにバレているカツラを大事にしているのも、それと似ているかもしれない。若いころの自分を捨てきれない男・・・。


11月2日の「有田ジェネレーション」では桐野安生

(次の月曜まで観れます)

毎回あまりにヘンなネタなので笑ってしまうんだけど、見ている人も、この人は面白いことやりそうでやらない、毎回こんな感じ、って見放されそうになっている芸人。

「有田ジェネレーション」というネタ番組は、毎回無名の若手が出てきて、負けたらレギュラーから降格するルール。

なのに、ひとりだけ、ウケてないのに、有田・小峠のベテランが突っ込んで生き残る特別ポジションになっている。

こんな感じ。

でも、この番組が発掘して、他に出てない「名物男」にはなっている。こいつをどうするんだ。このままだと、他の出演者が納得いかない。

クビになるかどうかを決めるネタ対決の前に、厳しいダメ出しを受ける桐野。吉本の講師からも、先輩のザコシショウからも、今まで放送されてなかった説教が出る。静岡弁が出てマジトーンだ。

俺も「あらびき団」のときはすべっても東野・今田コンビがいじって笑えるように見せてくれてた。お前は今その状態。俺はあらびき団が終わってR1ぐらんぷりで優勝するまで必死だった。お前も一回落ちて何もかも失え。

桐野なりに本気なんだろうけど、ネタはいつも最初のキャラ紹介に時間をさいて、肝心のギャグが2、3個、薄~いので終わってしまうから、
「え、もう終わり?」って反応になる。

他の人のネタなら、もう2個ぐらい発展したボケをやって終わる。それをやらないのはこだわりなのか。身内からダメさを叩かれたあと、はじめてハードルを上げた状態で挑戦者ゴスケとのネタ対決。かろうじて、首の皮一枚つながった。

これだけ見れば桐野がしょうがない人に見えるけど、桐野安生とザコシショウだったら、人間の99パーセントは桐野だ。ぼくも桐野。あなたも桐野。
夢があって、毎日努力しようと思っても、ある程度のところで妥協する。ほめられないと、やめてしまう。恥ずかしい、自信がないときは態度に出る。それがふつうだ。

ハリウッドザコシショウは、芸人がyoutubeなんて素人の場所に行くのは恥だったころに、誰も見てない動画を10年間毎日あげている。誰もほめない、評価されるかわからないことを10年できない。怪人だ。

二人がかわいそうに見えるときもあるけど、シショウは、絶対売れない人には何も言わない。

桐野とりんすは、ひとりで売れるほど天才じゃないけど、もしかしたらキッカケひとつで売れるかもしれない、ちょっと天才。天才ゆえの苦労を味わってほしい。サナギのふたりは、このまま枝ごと落ちてしまうのか、立派に自分のカラを破って見事な蛾(が)になって飛び立つのか。


「ちょっと天才あるある」

・むしろ何も生み出せない凡人よりつらい人生を送る

あるね~。あるあるだね~。

読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。