見出し画像

自治基本条例を考察する

「〇月〇日 区長になる女」という映画をみて、体温が上がった、なにかしたくなったけど、自分でできることは何もなかった。ああいう街に自分の街を変えるにはどうすればいいのか、調べまくってたどり着いたのは自治基本条例だった。

行政✖️デザインというシビックデザインというソーシャルデザインの一領域もあり、個人的に関心があった。

この文章は、そんな自治基本条例についての私的(詩的)テキストです。

自治基本条例とは、その自治体の決め事に、住民が参加する根拠を記載した自治体の憲法ともいわれる条例です。最初、ニセコ町で「ニセコ町まちづくり基本条例」として平成13年4月1日施行に交付されたのが、最初の自治基本条例といわれていて、実際に自治基本条例という名称がつかわれたのは、平成15年5月1日施行の杉並区自治基本条例です。

自治基本条例には、以下の4つの累計があると言われています。

  1. 理念型条例 まちづくりの基本理念、市町村の責務等抽象的規定を定める条例

  2. 権利保障型条例 住民の環境権、生活権、参加権等の基本的権利を保障する条例

  3. 住民自治型条例 住民の参加・参画や、住民投票等の仕組みを定める条例

  4. 行政指針型条例 行政施策の方向性や行政運営の指針を定める条例

わたしはこの中で、3番の住民自治と言う言葉にこだわり、いろいろと調べてみました。

様々な自治体で制定さている自治基本条例については、以下のサイトをご参考ください。

「厄介な問題」

なぜ自治基本条例を制定し、議会だけで政策を決めずに選挙で選ばれてもない市民と協働して物事を決める必要があるのでしょうか?

それはこの「厄介な問題」の存在です。

少子化による学校統合(税金の節約)と子ども達の通学距離や少人数教室の実現とか、公共施設(美術館)と住民の生活圏の問題や自然保護の問題とか
公園で花火をしていいのかわるいのか、あっちを立てればこっちが断たずと言う風に賛否で分かれてしまってる問題は多いです。賛否のどちらかに決めるのではなく折衷案はないのか、こどもがいるない、公共施設に遠い遠くない関係なしに、多くの市民の合意形成ができないか。それが間接民主主義では決められない、折衷案で落とし所つくるしかない問題だからです。

合意形成のプロセスをChatGPTに聴いてみると以下の様なものがあがってきました。

決め事の方法

決め事の方法には多くのアプローチがあります。以下に代表的なものを挙げてみます:

  1. 多数決: 最も一般的な方法で、選択肢の中で最も多くの支持を得たものを採用します。

  2. 全会一致: 全員の同意が必要で、全員が賛成しないと決定が下されません。

  3. 合意形成: 対話や交渉を通じて、全員が納得できる妥協点を見つける方法です。

  4. 権威者の決定: ある特定の権威や専門家に決定を委ねる方法です。例えば、CEOや委員長などが最終決定を行います。

  5. ランダム選択: ランダムに選ばれた選択肢を決定する方法です。くじ引きやサイコロなどを使います。

  6. コンセンサス: 対話と協議を重ね、できるだけ多くの人が納得できる決定を目指す方法です。合意形成に似ていますが、より広範な合意を目指します。

  7. アドバイザーの意見: 専門家やアドバイザーの意見を基に決定する方法です。全員がその意見に従うことに同意します。

  8. 試行錯誤: 一度試してみて、その結果に基づいて最終的な決定をする方法です。実験的なアプローチです。

  9. 意見の優先順位付け: 参加者が意見や選択肢に優先順位をつけ、その集計結果に基づいて決定します。たとえば、ポイントシステムやランク付けなどです。

  10. 構造化されたディスカッション: 特定のフレームワークやプロセスに基づいて意見を集め、決定を下します。例えば、デザイン思考や問題解決のフレームワークなどが使われます。

これらの方法は、決定の性質や関与する人々、状況に応じて使い分けることができます。

わたし的には10番にデザインがでてくるのでぴぴっときました。シビックデザインも1つの解決策なのかもしれない。そんな時に2冊の本と出会います。

行政の政策プロセスを以下のように変えます。

いままで:
行政:政策立案
議会:政策承認

これから:
行政:政策ファシリテーター
市民:政策立案(合意形成)
議会:政策承認

と言うことです。

ここで問題となるのは、政策立案に参加する市民とは誰なのかということです。公募で選ぶと、意見の主張が強い、意識高い系の市民だけがあつまり、意識高い意見に集約されてしまう可能性があります。それは得てして現在の政治行政と反対意識を持ってる人達であることが多いでしょう。それは避けたい。ほんとに様々な市民の声を集約したいですよね。

民意の抽出

  • 住民が抱える問題を聞く(御用聞き)

  • ある課題について住民で話し合う(合意形成)

前者って、聞いたあと政治が決定するなら単なる御用聞きでしかない。
住民が主体的に課題について合意形成し、行政はそのファシリテーターに徹するとき、民意の抽出が可能だと思う。

住民基本台帳を元にした無作為抽出が、当選後でないと使えない前提での、統計的に平等な民意の抽出方法

教育、経験が異なる住民に、自己の問題ではなく、他者の問題にコミットして、意味のある議論をおこない、一定の統一見解がつくれる仕組み作り
エリートが故に貧乏なリベラルと、学がないため聞く耳をもつ保守の戦いほど無意味なものはない。

衆愚政治にならない、自分の意見を仲間によってあたかも大衆の意見と誤解させるのは悪手。

雑なメモですが、こう記してました。気候民主主義の本に学んだのは無作為抽出と言う方法による住民参加です。ようするに、裁判官制度とおなじ、裁判官制度も日当だしてますが、この方式を採用してる自治体でも日当を出すところがあるそうです。

自治基本条例の反対意見

自治基本条例には反対意見もあります。
青森市のそれに反対してる以下サイトから書き出してみました

青森市自治基本条例に反対するブログ。
本当は怖い自治基本条例(リンクのタイトルが反映されてないので)

  • 市民対行政、市民対議会ではない、議会が市民対市民の合わせ鏡になってる

  • 選挙で選ばれた首長の下で、少数派に配慮しつつも多数派である支持者に向けた政策が立案

  • 市民参画による政策立案では、公募市民と行政の対等な協働が義務付け →企業、NPO、政治団体、宗教団体、暴力団、外国人勢力、ありとあらゆる組織が利益誘導

  • 少数派は、政策が多数派主導で形成されるため、行政に対して不満が多く、市政を変えることが自分の利益に直結していることから、自分の時間を犠牲にしてまで参画しようと考える →平日昼間の開催にもかかわらず参加する意味

  • 自治基本条例制定後の政策立案は、公募市民による市民委員会の設置が義務付けられますので、この委員会さえ押さえてしまえば、実数としてはたった5%しかいない勢力が他の95%の多数派を抑えて、自分たちの影響力を反映させた政策を立案できる

  • 参画市民の正当性

  • 公募市民による市民参画が制度化されたら、企業、NPO、政治団体、宗教団体、暴力団、外国人勢力、ありとあらゆる組織が、市民委員会に利権、利益、政治的、思想的、さまざまな目的を達成するために組織ぐるみで人を送り込んでくることは、避けられない

  • 市民参画が金食い虫

★選挙で選ばれた多数派・市長が、少数派も考慮しながら決めてるのに、選挙もへてない少数派が乗り込んできて利益誘導する。
→ 市民参画する対象を無作為抽出すれば済むんじゃないの?
→当事者が吠える場所じゃなくって、その問題を隣の人はどう思うかが大切

多摩市の例

最後に多摩市の例をあげてみましょう。自治基本条例がうちでの小槌ではいのです。デジタルだアナログだという話でもありません。その条例の内容、どうやってつくったかというプロセスが詳細に語られていてすごく魅力的。大体組織がちゃんとしてるかはウェブサイトに現れますよね。

(仮称)市民自治基本条例を一緒に作ってみませんか

平成12年11月、市の呼びかけに60人以上の市民が集まりました。
市民同士で「多摩市の基本になる条例?」「どうしてそんな条例が必要なの?」と、ワークショップ形式の勉強会・意見交換を重ねるうち、市民自ら「行政から自立した組織で、市と協働して条例案を策定しよう」との気運が高まりました。翌13年5月、「多摩市市民自治基本条例をつくる会」(以下「つくる会」)を発足させ、市との役割分担などを決めたパートナーシップ協定を結びました。9月には、市職員のプロジェクトチームも加わりました。
そして平成14年6月、つくる会は「多摩市市民自治基本条例案提言書」市民案を提出しました。1年半の長い間、100回以上約230時間の会議を開催し、1300人以上の参加者の成果でした。立法、行政の経験がない一市民が、一から条文を作成した、全国で初の取り組みでした。
(中略)

継続審議、可決

議会では更に慎重な審議が必要と判断し、3か月をかけて継続審議を行った後、16年3月議会で、総務常任委員会の修正案が可決されました。市の呼びかけから3年4か月、市民と、行政と、議会がそれぞれに力を出し合った条例は、こうして生まれたのです。

住民投票

このテキストでは住民投票の関する考察はあえてしてない。
それって多数決だし、その前にできることがいっぱいあるような気がしたから。

関連書籍

まだ読めてないですが、以下の様な関連書籍があることだけ最後に紹介して机上での考察をおわります。どこかの街のヒントになればいいなとおもってます。

自治体政策法務講義 改定版

住民自治の仕組みを明確にし、それを住民と自治体が共有するという点でも、条例を検討する過程を通じて将来の地域像や自治体のあり方について住民と自治体が考える機会をもつという点でも、この条例の制定には大きな意義がある」としている(62頁)

わたしたちのまちの憲法-ニセコ町の挑戦

その自治体の地方自治(住民自治・団体自治)のあり方について規定し、かつ、その自治体における自治体法の頂点に位置づけられる条例

自治基本条例に騙されるな(現在廃刊)


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?