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【南区役所若手職員プロジェクト 取材企画】動物愛護への理解を広げるために-京都動物愛護センター-

近鉄十条駅から歩いて5分、上鳥羽公園敷地内に京都動物愛護センター(以下:センター)はあります。センターは京都市・府の共同設置・運営であり、保護が必要な動物の収容、譲渡、動物愛護啓発事業、人と動物とが共生できるうるおいある豊かな社会の実現に向けた取組を進めています。
今回は、施設の役割や取組についてセンター職員で獣医師の長野さんにお話しを聞きました。

Q.センターで行っている業務について教えてください。

センターには、保護動物の収容室や、譲渡を待つ動物が過ごす譲渡室、譲渡希望者が動物との相性を確認するためのふれあい室などがあります。動物の譲渡にあたっては、引取主がペット可の物件に住んでいるか、家族は同意しているのか、万が一飼えない状況に陥った場合に受け皿となる環境があるかなど、いくつか細かい条件があります。また、他の動物を受け入れない個体もいるので、先住犬・猫がいる方はお断りさせてもらうこともあり、譲渡した犬・猫がまたセンターに戻ってこないようにそのあたりは厳しく、慎重に審査させてもらっています。
また、センター内には、(公社)京都市獣医師会が運営する夜間動物救急センターも併設しており、夜間に飼っている動物の具合が悪くなった際に、応急処置を行っております。
また、ドッグランのほかトリミングルームも有料で利用することができ、ご自宅でのシャンプーが難しい大型犬や中型犬をお飼いの方の利用が多いです。
そのほか、地域の方々が野良猫の問題を改善するために行っている「まちねこ活動」の支援を行っています。まちねこ活動は、地域に暮らす野良猫に避妊去勢手術を実施したうえで、エサやりやトイレの設置・管理方法など一定のルールを設け地域住民が世話することで野良猫を適正に管理していく活動です。センターでは、そのまちねこの避妊去勢手術を無償で実施しています。こうした地域の方々のおかげで、野良猫の数は減少しています。野良猫の数が減少すると、最終的にセンターへ入ってくる野良猫の数も減るので、間接的に保護動物の減少に貢献しております。

トリミングルーム

Q.センターで保護される動物の数はどのくらいですか?

R3年度は犬が116頭、猫が742頭収容されました。
センターに収容されている犬は、50%以上が野犬であとは迷子犬、飼い主の事情で飼うことができなくなった犬などです。譲渡対象も野犬が多いのですが、野犬は警戒心が強い子が多く、職員にもあまり懐かない子もいます。譲渡するにあたって、飼い方にある程度の注意が必要です。
また、センターに収容されている猫は、事故に遭ってけがをした猫などもいますが、ほとんどが野良猫の産み落とした自活不能の子猫です。このような猫が生まれる背景には、野良猫への無責任なエサやり行為や、避妊去勢をせずに外飼いされている飼い猫の存在があります。まずは野良猫の繁殖を防ぐことが大切になってきます。

収容されている犬や猫

Q.京都動物愛護センターならではの取組みはありますか?

センターでは、犬の保護収容・譲渡において「京都方式」という制度を導入しています。
野犬以外の犬でも、元の飼い主の犬への接し方や不適切な生活環境で、噛み癖や鳴き癖など問題行動がある場合があります。そのため外部の専門家やドッグトレーナーの先生に入ってもらい、実際の犬の状況や、撮影した動画からセンターでの管理の仕方や、譲渡後の扱い方のアドバイスをもらっています。このようにセンターの職員だけですべての業務をカバーするのではなく、外部の助けを積極的に取り入れるやり方を「京都方式」と呼んでいます。
そうすることで、譲渡後のトラブルの減少や問題行動のある犬の譲渡が可能になりました。
また、センターは、「環境先進都市・京都」としての取組みの一環で、地中熱利用システムを導入しています。これにより、冷暖房が無くても夏は涼しく、冬は暖かい施設となっています。建物も京都産の木を使用しています。

猫の譲渡舎はガラス張りで外から猫の様子が伺える

Q.ボランティアスタッフの活動について教えてください。

犬・猫の日常的なお世話や来所者の受付・案内のほか、チームごとの活動もあります。子どもチームでは小学生以下の子どもを対象にしたイベントの企画・実践を、機関紙チームでは定期的に発行している機関紙の作成をしています。館内には展示チームが作成した展示物をたくさん置いています。中には京都府外から通われている方もおられます。
また、在宅でのボランティア活動として、常時ではありませんが、子猫の一時預かり在宅ボランティアもあります。自力でキャットフードを食べられるまでに成長した猫を、センターでの収容頭数が多い時に一時的に預かりをお願いするものです。

展示チームが作成した展示物
猫のお世話をしているボランティアスタッフ
「ボランティア活動はすごく楽しく、ずっとお世話していた子やなかなか譲渡が決まらなかった子達の譲渡が決まった時はすごく嬉しかった」とのこと。

Q.私たちでもできる動物愛護活動はありますか?

必ずしも動物を飼って可愛がることだけが動物愛護ではありませんので、もし動物を飼うことを考えているのであれば、飼う前に本当に飼いきれるのかを、ご自身でよく考えてもらって、少しでも不安や自信がない場合は飼わないと決断するのも立派な動物愛護です。
先ほど説明したボランティア活動に参加することは、なかなか時間が取れない方も多く、難しいかもしれませんので、まずは気軽に参加できるイベントにぜひお越しください。

京都動物愛護センターマスコットキャラクター
左:京(きょう)ちゃん  右:都(みやこ)ちゃん

~イベント情報~

3月18日(土)午後1時~午後2時30分
オンライン講座「飼う前に考えよう~より良い飼い主になるために~」
これから犬猫を飼いたいと考えている方々に、センターの実情(飼い主からの引取数等の数値実績や新しい飼い主を待っている犬猫の情報)や適正な飼い方について学ぶことができます。
 
講師 杉本彩京都動物愛護センター名誉センター長
定員 100人(申込先着順)

※申込等の詳細については、京都動物愛護センターホームページをご確認ください。


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