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「そのための、デザイン」 新谷雅弘さんの展示から

こんにちは!
今年も台風や自然災害の被害が後を断ちませんね。

毎年恒例のキンニャモニャ祭り(現・海士町大感謝祭)は台風の影響で中止になってしまいましたが、今日はいい天気。
でも、数日前からの準備も必要だし、こればかりは仕方ないですよね。

8/31は夏の最終日な感じです

被害の出ている所も多いと思いますが、
みなさま、安全第一、健康第一でお過ごしください。

災害の時に、グッズの準備も大事ですが、逃げたり生き延びるにはやはり体力ですよね。
便利ということにどっぷり浸かってしまっている現代ですが、サバイブする能力を高めていこうと思い、食事や運動などから健康を見直しています。
(この内容の文章も現在執筆中です!)

さて、
今回はタイトルのように、新谷雅弘さんの展示を見させてもらった感想と、僕なりにデザインのコトをちょっと書いてみようと思います。

まずは、

海士町在住 デザイナーの大先輩、新谷雅弘さん

展示とトークショウを島根県立美術館で見させていただきました!

赤いロープ=指示の赤字?

新谷さんとは島で何度かお話しさせてもらったことはありますが、
改めて勉強させていただきました!
(最近見かけないなと思っていたら、この準備等で忙しかったんだろうなとおもえるほど、すごくデザインされた、作り手のエネルギーを感じる、素敵な展覧会でした。)

さて、
まずは、展示ですが、
「すべてのデザイナーにとって必見の内容」だとおもいます。
新谷さんの雑誌作りを通じて、「デザインとは」というコトを考えることのできる内容です。

ある意味、アートのように自分に問いかけてくる、
自分と向き合える内容で、僕もたくさんの発見や納得、安心や刺激をいただきました。
ありがとうございました!

展示室も、雑誌の中に入り込むようにデザインされていて、単調なグリッドではなくリズムがあり、ごちゃごちゃしていながらしっかりデザインされていて、紙面に大量の商品をリズムをつけてランダムにデザインする、新谷さんのデザインが立体になったよう。
(「→」や「吹き出し」も多用していました)

ほんとにたくさんの展示物があったのですが、そのリズムのおかげで見ていて飽きないし、決して広いとは言えない美術館の空間を回遊してたっぷりと見て回ることができます。
入り口から出口まで順につながる一本の赤いロープはおそらく指示の赤字。その線をたまに上を見ながらたどる面白さ!(上の方にも展示やサインがあったりするんですよね)

展示してある雑誌のカバーに新谷さんモデルの似顔絵もあったり、たくさんの仲間たちと楽しく作ってたんだなーと。
楽しく作るってだいじですよね。何事も。

そんな仕掛けがいっぱいなので、同行した人と「あれ見た?」という話を聞いて、「え?あった?」となると、
再入場してもう一度見たくなる。
それは、
友達と話してて、家に帰ってから雑誌をもう一度見たくなるような
ことと同じなのかもしれません。
デザインって、すごいですよね。

(新谷さんがこの展覧会の為にバンバン美術館に送ったという、展示のアイデアノートも一部公開していたのですが、ぜんぶ見てみたいとおもいました)


この櫓はなんだろ


これは、デザイナーだからの感覚かもしれませんが、
立体の雑誌に潜り込んだ感じで(いや、「潜り込まされて」笑)
雑誌作りを体感できました。

これからデザイナーを目指す若者や、未来を模索する子供達が、
雑誌を面白いと感じてもらったり、デザインするっていうことに興味を持ってもらえるんじゃないかなと思いました。
自分で作れるフリーペーパーの「Magazine」もそういうことなんだろうなと。

雑誌作りを体験できるフリーペーパー


展示の中に、名言的にたくさんの吹き出しがあったのですが、
その中の一つに、

「デザインは伝えること。伝わることが最優先」

キレイにすることで伝わるならキレイにする必要があるし、
キレイじゃない方が伝わるならキレイにしてはいけない。
それがデザインするというコト。
というような内容のものがあったんです。

僕もホントにそう思って作っているので、なんか、良かったとおもいました。


そして、トークは、
編集長の石川次郎さんとの雑誌界の対談。雑誌というメディアを全盛期にした時代のお話。面白かったです!
新しいことを考え、他でやらないことを作り、TVの旋風に立ち向かう。そんな時代。
今だとサブスクやSNSに全部持ってかれているような気もしますが、個性的な雑誌は残っているし、やっぱり面白い。
(それに対してTVはどうなんですかね・・・)

当時のマガジンハウスでの働き方や、今も売れ続けているポパイやブルータスなどの創刊の話し。
アートディレクターの堀内さんのぶっ飛んだ話(気が乗るまで全然何にもしない話とか)も面白く、やっぱり、そういうたくさんの個性のバランスでクリエイティブは面白くなるんだよなーと、改めて実感しました。

他にも、この展覧会のコンセプトや、これからやりたいことの話しなど、とにかく、勉強になりました。

たくさんの人と関わるからできるモノゴト。
でも、大事なのは周りを見てスピードを落とすのではなく、
バンバンぶつかっていくこと。
だから50年も残るクリエイティブ(きっとこれからも廃刊にならない雑誌)ができるんですよね。

それを体感できた、展示とトークでした。
ありがとうございました!


デザインに関わる方、デザインに興味のある方、
間違いなく、おすすめです。

会期は9/2まで!
(まだいけますよ!ぜひ!)


蛇足

ということで、ここまで書きながら、
これで今回十分では。。と思いながらも、
蛇足だよなーと思いながらも、、

でも、
「デザインは伝えること。伝わることが最優先」

という視点で僕も作っていた2つの全く表現(トンマナ)の違うポスターが
タイミングよく2つ同時期に掲出されたので、
デザインしたことを対比してご紹介したいなと思います。
(FBの再編集なのでそちら読まれた方、ありがとうございました)


海士町大感謝祭(キンニャモニャ)ポスター

今年も作らせていただきました。ありがとうございます!

「夏の大晦日」を発見!

今年のお祭りは月末の8/31開催かー。夏も終わりだなー。
どんなデザインにしようかなー。なんて考えていたら、
「あ!」
「最終日🟰大晦日」!

大晦日ってなんか日本的だし、
しみじみ思い返したり、パーティもするし。
「今年はこれしかない!」

と、
キャッチコピーは「夏の大晦日」にしました。

デザイン的に、海士町大感謝祭二〇二四とつなげていまして、
「二〇二四 夏の大晦日」と見えるような仕掛けにしています。
さらに、「来てごせ!」も「海士町来てごせ!」とつながって見えるようにしています。

「老いも若きもキンニャモニャ」というメッセージのこのお祭りですが、前回のは少し大人っぽいデザインだったなーと思ったので、今回は子供もオッ!と喜んでくれそうな感じにしたいなーと。

そこで、イラストを使ってトレカみたいなイメージにしようと思いましたが、トレカすぎると子供っぽすぎるので、横尾さんや田名網さんのような80代レジェンドのアートの表現をヒントにしながら、浮世絵っぽい夕暮れ感や、ピカッと花火をモチーフにしたり。でも、色や線の太さとかをチョットかわいい感じにもなるようにバランスをとりながら試行錯誤しながら作ってみました。

日本らしさの残る海士の祭りなので、前回好評だった浮世絵タッチを残し、今年は島内はもちろん、「島外からも来てほしい」との事で、船でワイワイ海を越えて来るイメージにしました。

(ちなみに、周りにキンニャモニャの歌詞をぐるっと回して菱浦をぐるっと回って踊る感じにデザインしたりしています)

プログラムもいつもとちょっと違うので、
海士町の勢いや変化をドカンと楽しく感じられて、
みんなが楽しめるような事を伝えられるポスターになってたら良いなと!

今年は残念ながら中止になってしまいましたが、来年につながればいいなと思います!


ごとばんさん芸術文化祭ポスター

ごとばんさん芸術文化祭(第二回)ポスター、今年も作らせていただきました。ありがとうございます!

今年のテーマも去年と引き続き、
「波を感じて、波を生む」です。

そこで、「波を感じて、波を生む ってなんだろう?」と改めて考えて、キービジュアルとして考えようと思い、2案考えました。

一つは、波が打ち寄せる勢いのある写真を使って「波を感じて、波を生む」もう一つは、ロゴマークの波の渦を潔くシンプルに使って「波を感じて、波を生む」

です。

協議の結果、後者が選ばれ、今回の芸術祭のポスターとなりました。


このデザインはここからがポイントなのですが、
周りを囲む薄いブルーの枠を、イベントのビジュアルフォーマットとしています。

フォーマットと言っても色々あって、決まった場所に決まったサイズで写真やテキストを入れてもらうというやり方もあるとおもうのですが、
今回はそのやり方だとそのイベントの「らしさ」がなくなってしまって、海士町の個々の面白さが伝わりきらない。

でも、芸術祭としての統一感は出したい。

という事で、

それぞれのプログラムでそれぞれの団体に

A4サイズ比率で今まで通り自由にデザインしてもらい、このブルーの額の中に、入れさせてもらって「統一感」と「らしさ」を両立させました。

なのでこれは、単にポスターのデザインというより、芸術祭の見え方のデザインもさせていただいています。

もっと言うと、参加してくれる皆さんが主体的に「らしさ」を表現できるようなデザインをさせてもらったという感じです。

というわけで、

今出来あがっている、各プロジェクトのビジュアルはこちらです!

それぞれの「らしさ」が「統一感」のあるデザインになっているように感じてもらえれば嬉しいです。

アートを難しく考えることはないし、
アートを通じて自分や相手を知る為のツール

と考える事もできるんじゃないかなとおもいます。

決まった答えではなく、自由に解釈できるのがアートのおもしろさだと思いますから。

芸術祭は9/22から10/5で海士の各所で行われます。
まだまだ始まったばかりの芸術祭なので、
このポスターのように余白だらけ。

ぜひ、ご参加ください!


デザインはなんのため?

今回紹介した2枚のポスターは同時期に掲載されていて、こんな感じで並んで掲出されているところもあります。

「そのため」にデザインしました

この2つの企画のポスター、
もし表現が逆だとしたら、伝わり方は全然違いますよね。
いかがでしょう?

その企画の思いを「どう伝えるか」
見た目も、使い勝手も、
「そのための、デザイン」。
その一点で考えてそれぞれデザインしています。

(でも、どちらも、「海士町」という町に合う、この町の環境の一部としてしっくりくるようなデザインを心がけて作っています)

そんなことが潜在的にも伝わって、
心に残って、何か行動につながることがあれば、
このポスターから、
「伝わった」デザインなんだろうなと思います。



ということで、

今月は新谷さんの展示とトークをホットに受けた影響から、
デザインの話を自分なりにさせていただきました。

そんなデザインも、人それぞれ解釈があっていいんだと思います。表現手段はたくさんの答えがありますし、別の表現の方が良かったということだってあると思います。

というように、僕は思ってるだけです。

自分なりのデザインをすることがAI時代にサバイブする一つの手段かなと思っています。

それではまた!
残暑、乗り切りましょう!

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