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泣きながら乗り越えた国際結婚のネック。

 そう、これは国際結婚ならではの夫婦間の''溝''を埋めた話。


 もうすぐ結婚生活2年目となる。
タイ人の奥さんとの結婚生活は楽しい事がたくさんある。
さすがは”微笑みの国”といったところか。
いつも笑顔…だ。
そもそも、結婚生活とは皆んなが意見するよりもずっと楽しいものだ。
奥さんに日本文化の知らないことはたくさんある。一緒に初体験を経験させて貰えるのも楽しみの一つだ。
とはいっても住んでる場所なんか関係ないし、気にしたこともなかった。
日本語もほとんど通じる。
何も問題はなかった。

 だけどこれは、結婚生活の危機を乗り越えた話。楽しい話ではない。
しかし、心配無用のハッピーエンドだ。



 付き合ってからだと4年ほどになる。
よく二人で爆笑しているから相性はいいだろう。
私とは正反対な性格だ。綺麗好き、丁寧、計画性がある、なんでも器用にこなすタイプの人だ。この真逆がそのまま私だ。
聞いたことがあった。
「どうして僕みたいな人と結婚したの?」
「優しいし、おもしろいよ。」
よし。
「あと、一緒にいても私はそのままの自分でいられるから。ストレスもないよ。オナラもするし、バカなことも言うし、するよ。それは大事だよ。」
これはお互い様だ。私も、一ミリも飾ったりしたことはない。
心を剥き出した状態の自分でいられる。

 だからなのかもしれない。
ケンカもよくする。大体のことが、私が悪いからすぐに謝って終わる。
さっきの性格の話でも分かって貰えると思う。
今では家のルールに、

1食後片付けない。
2ベットメイキングをしない。
3スマホのバッテリーを片付けない。
4自転車の鍵を掛けない。
5頼みごとを忘れる。

これらを行った場合1000円罰金のルールが出来た。
100円の頃もあったが、僕が全然成長しない為1000円となった。
100円の頃が可愛かった…。

 話を戻す。私は、プロボクサーだ。
試合前になると、少し心が弱くなる。怖いのだ。体重を落としたり、(いわゆる減量)チケットを沢山売るという意味では、大きな仕事だ。(数十万円数百万円、ファイトマネーやスポンサー料なども合わせると更に大きな金額の話だ。)大きな責任がある。
それに、負けることへの恐怖、試合の負けはほぼ、存在の''全否定''を意味すると言っても過言ではない。自分の選手としての商品価値、人間としての価値までボクサーは賭けている。

 そう、ボクサーの試合前の神経は少し特殊だ。
いつも明るい奥さんの言動に、ネガティヴに反応してしまうのだ。もともと私にそういう資質があるのかもしれない。自分でそう思いたくないが、皆んなが持っているものだ。

資質…生まれつきの性質。生まれつき。天性。

 更に、日本人の資質が関係していることが分かった。
話しが少し逸れてしまうが、私はこのnoteを始めてから''書く''ことに興味を持った。
書くことは、考えることだ。
考えがまとまるからnoteや、ブログの文章が書ける訳ではない。
書くことによって頭が整理され、読み返すことによって修正が出来、書くことができる。

 書くことに興味をもってから''言語技術''という世界に触れる機会に恵まれた。
大学時代のボクシングのコーチが教えてくれた。自身も代表コーチの勉強をしていて、学んだそうだ。
このコーチも、人と話すのがとても上手だ。(どうしてもこういう風に書くと上からになってしまい申し訳ないです。)そして、人と話すことが好きな人だ。よく電話が掛かってくるが30分を超える長電話が多い。
が、苦にならない。これも、言語技術の成せる業だろうか。

 しかし、その言語技術が得意なコーチも、私の試合の応援に来てくれるか訪ねたところ、結論がだいぶ後になっていた…。

 それから私はこの言語技術を学ぼうと決めた。このnoteにも活かすことが出来る。それが夫婦間の溝を埋めることになるとは思いもしなかったが。



 試合の1ヶ月程前から、例によってイライラする事が増えていた。当然身近にいる嫁さんにはストレスを感じていた。
「何でそんな言い方するかな」
「試合前でも変わらないな」
「察してくれよ」
これは全て私の頭の中だ。

 日本人は多分、少なくとも私には我慢してしまう癖、資質がある。理由はその方が楽だから。相手に合わせたり、不快にさせないことを優先する。自分の為に。

 飲み会を断れなかったり、友達?の誘いを断れなかったり。美味しくないものを美味しいと言ったり。忖度という言葉がある。忖度しすぎるが故に自分を抑えていないだろうか。ストレスを抱えてはいないだろうか。

 嫁さんははっきりと「No」を言える人だった。これは「美味しくない。」、そこには「行きたくない。」をはっきりと言う。別に誰もそんなことで、その人を嫌いになったりしない。日本だと、それが続けば「あいつは付き合い悪い。」で誘われなくなるだろうか。それで良いじゃないか。ほんとにお互いが波長の合う存在ならば会いたくなるだろう。会っていなくても、何やかんやで関係は続くし、たまに会って楽しい話しをすれば幸せだ。




 試合が終わった。勝利して私も嫁さんも喜んでいた。楽しくご飯も食べに行ったりしていた。それでも、なぜかイライラが治まっていなかった。ある日、爆発した。
言いたいことを言った。酷いことを言ってしまったなと、また自己嫌悪で落ち込んでいた。しかし、本音で全て吐き出せば、国際結婚と言えど相手に通じる。

 「何で言わないの」嫁さんが口を開く。
「言わないと分からないでしょ。あなたは自分で勝手に問題を作って、大きくしていっただけ。」
その通りだ、この言葉に全てが要約されている。

「何でそういう言い方するかな」
海外と日本では大きく話し方に違いがある。
先に結論を言う。例えば、
「私は会社を休みます。なぜなら体調が悪く病院に行かなくてはいけないからです。」
これが、海外。
「今日は朝から体調が悪く、熱もある為、病院に行かないといけないので会社を休ませていただいてもよろしいでしょうか。」
もっと、まどろっこしい感じになったりもする。
英語の文法を見ても分かりやすい。

 「試合前でも変わらない」「察してくれよ」試合前にも変わらないで居てくれるのは実はありがたい。こっちのメンタルが落ちてるのがよく分かるからだ。ただ、これもこっちが言えばいいだけの話し。こうして欲しい、ああして欲しい、減量中はいつもと勝手が違う場面もある。人の感覚は違う。ましてや、スポーツをしたことのない人に理解を求めてはいけない。いや、言えばいいのだ。我慢していてはストレスを溜めるだけ。

 日頃から習慣付けしなくては変われない。言葉の使い方からだ。LINE一つ取ってもそう。どうすれば相手に伝わりやすいか考えなくてはいけない。

・結論を先に。
・「Yes」「No」をはっきり。
・忖度し過ぎない。
・我慢しない、声に出して伝える。

 伝えるのが上手な人は頭が整理されている。さっきも言ったが''書くこと''もその一つ。書くことは考えることだ。頭を整理しよう。会話をしていて心地いい人になろう。言語技術は、日本人にとって必要な技術だ。

 それでも、日本人らしさや''奥ゆかしさ''も持ち合わせておきたい。日本という素晴らしい文化で育ったことに誇りに持とう。

 この経験から私は凄く成長することができた。感動して泣いたのだ。言語技術、書くこと、この2つは常にセットで伸ばしていきたいスキルの一つとなった。


      とんでもない所を目指しています。

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