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ファクトリエが国内工場を立て直せない最大の理由

 日本の衣料品の国産比率が3%を割り込んだことは人口に膾炙していますが、これは数量ベースのことです。低価格ブランドやグローバルSPAブランドの伸長によって、国内の衣料品の流通総量は増えています。この20年間で20億点から最大41億点にまで増えました。この増えた分のほとんどが海外生産品になります。

たしかに急激な減少だといえますが、一方で、最近では中価格帯での日本製品もちょこちょこと見かけるようになりました。たとえば、ワールドのTKでも5,500円で日本製シャツや日本製セーターを発売していますから、日本製という打ち出しの衣料品は5年前よりも店頭で見かける回数は増えたのではないでしょうか?

それもそのはずで、金額ベースで見ると国産衣料品比率はまだ26%前後あります。ですから、それなりにまだ国産衣料品比率は存在感があるといえます。ただ、各所で指摘されている通り、このままではさらに減少することは間違いありません。国内衣料品生産が維持されるためには何が必要なのでしょうか?

まず、縫製工場の後継者難があります。儲からないので後継者はおろか工員が集まりにくいという状況があります。近年では、縫製工場や染色加工場が自社製品開発をすることで苦境を乗り切ろうとするケースが増えてきました。これは喜ばしいことではありますが、これまで下請けとしてのノウハウしかない工場には、デザインも販売も販促もノウハウがありません。その結果、開発しても売れずに終わることが珍しくありません。

これを打破するために産地プロデュース業が注目されています。衣料品業界ではファクトリが経済誌や経済面で取り上げられていますが、このプロデュース業もピンキリで様々あります。衣料品はあまり扱いませんが、中川政七商店のやり方は産地の自立化に貢献するといえます。製造物の構築からアドバイスし、それを同社の直営店で販売するだけでなく、百貨店や専門店への卸売りのサポートも行います。セメントプロデュースデザインのやり方もこれに近いものです。

中川政七商店とセメントプロデュースデザインによる産地プロデュースの手法は、2段階に分かれます。

1、商品開発の段階

2、商品販売の段階

です。

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