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ネット通販の強化・普及がバーゲンセールの早期化・常態化を招いた

皆さん、お気づきだろうか。
今年は早ければ5月末から、平均的には6月の頭から各ブランドでセールが始まっていることを。
何年か前に「セールの前倒し・後ろ倒し」論争があったが、結局のところはセールは前倒しになっており、前倒しどころか年がら年中セールという形に落ち着いた。
当時も書いたが、百貨店がいくら「後倒し」を提唱したところで、百貨店以外の各施設はセールを開始するし、何よりも「安売り」が最大の集客術となるネット通販が普及すればするほど、セールは前倒しどころか年がら年中セールとなるから無意味である。

またネット通販の普及以前に、ユニクロを始めとするSPA型ブランドでは店内に常に「セールコーナー」が設けられており、ネット通販が仮に普及しなかったとしても、SPA型ブランドが普及すればするほど、消費者は「セール慣れ」していくから、セールの早期化・常態化は不可避だったといえる。
GAP、ユニクロ、ジーユーなどのSPA型ブランドは常に自店内にセールコーナーが常設されている。またストライプインターナショナルは、タイムセールを連日連発している。
これらが普及すれば、消費者とすれば、いつでも値下げされた服を買うことができると認識するようになる。
GAPの上陸から20年以上が経過し、ユニクロのフリースブームから20年が経過した今、SPAブランドは消費者に定着したといえる。

最近はマスコミや無責任コンサルタントがトーンダウンしたが、一時期は「ネット通販比率の高い会社ほど優良」という謎の基準を持て囃した結果、各社ともにネット通販に力を注いだ。
ネット通販という売り方自体は、試着できない・触れないという欠点があるので、集客方法は必然的に「値下げ」となる。値下げ以外の集客となると、よほど面白いコンテンツを作らないと無理で、そんなことができているブランドはほとんどない。
値下げの名目はさまざまある。シークレットセールだとか会員限定セールだとか期間限定値下げだとか。しかし、どれも「安売り」することで集客をしようとしていることは同じである。
そしてネット通販の普及が、セールの前倒し・常態化を強く促進したといえる。

恐らく、秋冬シーズンもセールは前倒しで始まるだろう。
メインはこれまで通りに正月スタートとなるだろうが、12月のプレセールは今まで以上に大々的に打ち出されるだろうし、もともとイベントに乏しかった11月にも何らかのセールが企画されるだろう。
そして実店舗以上にネット通販は11月から何らかのセールを連日仕掛けるだろう。
ネット通販がこれだけ普及してしまえば、実店舗だって追随しないわけにはいかない。例えばAというブランドがネットで大々的にセールをやっていれば、Aブランドの実店舗だって連動しないわけにはいかない。必然的に実店舗のセールも前倒し・常態化する。

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