伊勢丹外観

三越伊勢丹HDが「ケイタマルヤマ」を手放す理由とは?

三越伊勢丹ホールディングスが子会社アパレルのマミーナの解散を発表しました。「アナスイ」や「ケイタマルヤマ」などのブランドを展開していたアパレルです。

三越伊勢丹HDが子会社マミーナを清算 「アナスイ」「ケイタマルヤマ」を運営 

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マミーナは17年3月期で売上高40億円に対して営業損益が3億円の赤字で、債務超過に陥っていた。

とのことですが、売れ行きが比較的堅調な「アナスイ」は三越伊勢丹が継承しますが、来年2月末でケイタマルヤマは手放すとのことです。これはある意味で当然ではないかと思います。というのは、ケイタマルヤマブランドは知名度は高いですが売上高はそれほど大きくありませんから、三越伊勢丹HDとしては継続する意味がないのです。アナスイ以外のブランドには触れられていませんが、同じく廃止か移籍かになるのではないでしょうか。あえて三越伊勢丹が続ける意味がありませんから。

今回の措置に関して言えば、収益性の面以外でも当然の結果だといえます。なぜなら、「ケイタマルヤマ」ブランドのデザイナーである丸山敬太さんは、大西前社長の支持者でもあったからです。今年春の大西前社長の電撃解任によって、大西前社長の社内外のシンパは大勢切られました。伊勢丹新宿店店長、三越日本橋店店長は交代となり、降格ではなく退職に追い込まれています。三越日本橋店の店長でホールディングスの常務執行役員だった中陽次氏は、店長を解任後退職しており、今年9月にエイボン・プロダクツの社長に就任しました。この中氏は大西前社長の側近でした。

主に経済紙・経済雑誌などのメディアにも大西前社長の理解者・支持者としてたびたび登場しており、知り合いの経済紙記者も何度かインタビューをしたことがあるそうです。その記者の感想は「当たり前のことしか言わないのでインタビューしていて面白い相手ではなかった」とのことですが、マスコミ受けすることと実務は違いますから、実際のところはどうだったのかはわかりません。退職した新宿本店店長の鷹野正明さんも大西支持者で、一連の社内人事はメディアで「大西一派を粛清」と報じられました。

これは外野から見ていても事実だとしか思えませんでした。その後、カルチュアコンビニエンスクラブ(CCC)と提携が打ち切られ、同社が進めてきたTポイントカードとの提携はもちろん解消されました。解消の理由として、Tポイントカードのメンバーは低収入者が多く、富裕層の多い三越伊勢丹の顧客との親和性が低いという解説もありましたが、Tポイントのアクティブユーザー数が6000万人を越えている実情を見ると、それは違うのではないかと考えられます。その6000万人の中には富裕層や中間層も多分に含まれているはずです。おそらく、CCCの増田宗昭社長は大西支持者だったので、提携が打ち切られたのはそれも理由の一つだったのではないかと思えます。

あるメディアからの依頼で、昨年夏に大西前社長を集中的にインタビューしました。またそれと並行して、大西前社長と関係性の深い他社の人間を3人インタビューしました。その際に三越伊勢丹側から提示されたのが、CCCの増田宗昭社長、トランジットジェネラルオフィスの中村貞裕社長、そして今回のマミーナのデザイナー、丸山敬太さんでした。当時の大西社長から名指しされるほどこの3人は大西支持者だったということです。社内の大西支持者が切られ、CCCが提携を打ち切られるという状況で、個人的には「丸山敬太さんがこのままであるはずがない」と思っていましたから、今回のマミーナの清算とケイタマルヤマの放出は当然の流れといえます。

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