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【本】「日本の戦後を知るための12人 池上彰 (著)」

戦後の日本には既成の体制に様々な方法で挑んだ人々がいる。本書は毀誉褒貶(きよほうへん)あった人物を取り上げており、各々のやろうとしたこと、その中での挫折がわかりやすく書かれています。週間子供ニュースを見ていた僕はやっぱり池上さんの話はわかりやすいなと思いました。

そして意外と戦後は70年ほどしか経っておらず、「ええこんな最近の話なの!?」と驚くものばかりでした。かなりオススメなので図書館で借りる、アマゾンで買うなどして読んでみて感想を聞きたいです。

日本列島改造論をぶち上げて日本の高速道路と新幹線を作り上げた「田中角栄」は土地の売買をグループで行い莫大なお金を得たことが明るみに出て総理を辞職。しかしながら今もなお高速鉄道はその計画のまま進められている現状を見ると「清廉潔白だが実行力がない政治家」と「汚職にまみれるが実行力がある政治家」どちらがいいのか考えさせられます。後者がいいなと個人的には思ってしまいますが人間感情がありますしね。

リクルートの創業者「江副浩正」。新聞広告の求人情報、街の不動産情報、旅行会社の旅行情報。無料で手に入る広告情報を一箇所にまとめて雑誌にして販売するという活気的な方法を編み出した人物です。そういう背景をみるとリクルートは日本の情報産業のさきがけですね。しかしリクルート事件という未公開株を政治家に配りまくってしまい、それが明るみに出て失脚してしまいます。その半面就職差別をなくすため、身上書や女性可(ただし容姿端麗の者のみ)など今では考えられないような就職表現や行いがある場合は徹底して掲載していないという高い志を持っていたそうです。失墜の原因もわかりやすいかった。

私達の世代ではとても人気のあった戦後の政治家「小泉純一郎」。「自民党をぶっつぶす」というフレーズは有名ですが前文は実はあまり知られていません。「自分の改革を自民党が邪魔するのなら、」という前文があります。小泉さんがしようとした事、それは郵政改革のような戦後にできた「当たり前」を改革すること、それに反対するなら自民党内だろうがぶっ潰すということです。小泉さんの最大の功績は「北朝鮮の拉致被害者の帰国」、そして今郵政民営化による簡保生命などの問題や派遣問題が今問われることとなります。その実態がなにから来ているのか興味ないですか?

ダイエーの創業者「中内功」に関しては一般の方にはなじみがないと思います。私もその一人でした・・・。今のスーパーやドラッグストアなどの源流を作った方です。元々薬局からはじまっているダイエー、戦後の薬局はとても規制が厳しく安売りすることができなかったそうです。戦中の飢えなどの原体験からとにかく安くを考え薬屋でお菓子や牛肉を売り始めます。もちろん既存の様々な圧力がかかりますが、お客を味方につけたダイエーは事業を拡大していきます。実はその大きな儲けには不動産や土地価格が大きく関連しています。実業から得た思いがけない知識からの利益があったということです。しかし時代の変わり目に成功体験から抜け出せなかったダイエーはその名前を消してしまいます。今のイオンとの違いからみてもとてもわかり易い内容でした。

巨人ファンではないプロ野球好きとしては悪役のイメージが強烈にある「渡邉恒雄」。読売新聞のイメージは「保守派」ですが、終戦後は体制に反発する左よりの新聞だったそうでGHQが介入するほどだったそうです。渡邉さんは「山村工作隊潜入ルポ」というものを書いています。日本共産党が学生を山村にもぐりこませ武力闘争で革命を起こそうとしていたところに潜入してルポタージュを行ったそうです。そんなジャーナリストな一面全く知らなかったです。
そして大野伴睦という大物政治家からオフレコで聞いた話をデスクが勝手に記事にしてスクープとして世の中に出してしまいます。もちろん大野さんは第激怒するのですが、渡邉さんは言い訳もせず「悪かったです、私の責任です。二度とこんなことしません。」と謝ったそうです。後日大野さんは他社新聞記者から「あれは本人ではなくデスクが書いた」と聞いて「なんて信頼のできる男だ」と信頼を得ることができました。私が思っているような渡邉さんは政治のフィクサー的な面の悪者イメージがありましたらが人には歴史がありどうしてその様な人間になったのかとても面白い話でした。

セゾングループの生みの親「堤精二」は思っている以上に複雑な家庭でその中で独自路線をとっています。セゾンカードという西部系のクレジット方ー度世の中どこでも使えたのに「西武鉄道グループ」では使えなかったそうです。複雑な家系ではえてしてこういう問題が生まれるそう。
自己否定のをモットーに西武百貨店がありながらスーパーマーケットの西友を立ち上げたり、若者が気軽に立ち寄れるショッピングセンターPARCOを立ち上げたり、ブランド物が集まった百貨店を否定しブランドではないものを立ち上げMUJIができます。東急ハンズに売ってないものを売っている店というLOFTを作り上げ、大手書店には当時売ってなかった写真集とか文化的な本を置く店リブロを立ち上げます。どう見てもすごすぎる店を1代で築き上げた氏のそしてセゾングループの没落のきっかけとはなんだったのか。

僕たち世代はものすごい衝撃だった「村上世彰と堀江貴文」の問題。テレビが連日取り上げたフジテレビの買収問題。当時ニッポン放送という小さい放送局が文化放送とお金を出し合って作ったテレビ局であるために、親会社のほうが事業規模が小さいというねじれが生じていました。そこに目をつけたのが村上さんと堀江さん。村上さんはニッポン放送大量に買えばフジテレビを支配することができるとホリエモンにけしかけそして実行します。村上ファンドはニッポン放送株をライブドアがガンガン上げるので莫大な利益で売りぬきます。これがインサイダーとなったのがというのが特捜部の判断です。日本の中でけしからんと思われたら罪になるということがよくわかる事件です。

東京都知事の「石原慎太郎」というイメージですが出始めは作家です。「太陽の季節」で日本中にインパクトを与え、弟を起用して映画を作製し石原裕次郎というスターを作り上げ、国会議員になり右派な行動で日本に保守の潮流を作り上げ、東京都知事になったときは排気ガス問題でディーゼル車を厳しく規制してそれに国が追随するという影響力を与えます。大きな実績が見える中、尖閣諸島の東京都買収など問題行動や失敗も大きくあり派手さではいうことを書きません。石原慎太郎のどういう考えのものとに行われたものなのかとても面白いです。

巨大な新興宗教というイメージがある「池田大作と創価学会」ですが、もともとは日蓮正宗の宗教団体だそうです。なんかあぶないイメージを漠然と抱いておりましたらしっかりとした流れを汲んでいるというのがとても意外でした。日本には檀家という江戸時代にその地域でお経を上げる専用のお寺があり布教活動をしなくてもお金が入ってくる。そのせいで布教活動自体は行われなく力が弱まる中、檀家というシステムがない新興宗教は日本では無理やりに人を増やし続け、お金を稼いでいるというイメージが着いてしまいます。そんな中どういった活動で世界的な宗教として大きくなったのか、政教分離の原則をどのように守っているのか、そして今からどうなっていくのか。固定観念のままですと触れることもできなかった内容が惜しげもなく記載されています。

「上皇陛下と上皇后・美智子さま」と聞くと戦後何かに挑まれたのか?と思って今しますが、現在の象徴天皇という憲法になってからの初めての天皇で現在の私達がイメージしている天皇はこのお二人に作られていました。震災で痛ましい国民にひざを突いて回られる姿。普通に見ていましたがとても非難も大きく時代の中の変わり目に生きていたということが非常によくわかります。

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