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ITを詳しく知る視覚障害の方と、多くの人の間の橋渡しをしたい

野々垣美名子(@Mina_Nono)です。

現在、東京都八王子市に住んでいて、視覚障害者の支援活動をしています。
この支援を始めたきっかけは、2012年6月に通勤中に出会った白杖の女性との出会いから。

今回は、私の自己紹介も含めてこれまでのことを書いていきたいと思います。
よろしくお願いします。

白杖の女性との出会い

2012年4月に私は転職しました。
ガラスメーカーの派遣社員として特許調査の仕事をし始めたんです。

先ほどお話しした、その「白杖の女性」を、会社の最寄駅から会社までの通勤経路でたびたび見かけていましたが、彼女はいつも誰かと一緒だったので、声をかけることはありませんでした。

しかしある日、偶然自分が乗る駅で彼女を見かけました。
出勤時間もほとんど同じだし、経路も、乗る駅、乗り換え駅、降りる駅も同じ。

あと、なんと私の通う会社と彼女の通う作業所は隣同士でした!

この出会いを運命的に感じ、その日に声をかけ、その後毎日一緒に通勤することになりました。

毎日いろいろなことを話しながら1時間ほどを過ごしていたんですが、彼女の見えない人ならではの。いろいろな不便なことに気が付き始めました。

例えば、

・見えないと、今自分がどこにいるのかわかりにくい
・行く先がどちらなのかがわかりにくい
・文字の読み書きが難しいため、書かれてあることが読めない
・覚えておきたいことを記録出来ない
・買い物の時の袋や箱に何が書かれているかわからないので、何が入っているかわからない
・自動販売機では、ボタンを押して買ってみて開けて飲んでみるまで、何が入っているかわからない
・飲みたい物を買えない

彼女と話して、それまで自分が意識していなかったことに初めて気付き、驚きました。

そこで、私は機械やコンピュータが好きなので、彼女の不便なことを解決する工夫をいろいろ提案してみたくなりました。

「文字が書けないなら、代わりにICレコーダーで記録すれば良いんじゃないかな?」

それが最初の思いつきでした。

「この提案は、彼女だけではなく、彼女と同じように目の見えない、見えにくい大勢の方の役に立つんじゃ??」と思いました。

今振り返るとこの思いつきは正しかったのですが、当時は今の私の状況にまで発展するとは全然思っていませんでした。

スクリーンリーダーNVDAとの出会い

あなたは、目が見えない方がどういうふうにパソコンを使っているかご存じですか?

私も、目が見えない方のいろんな悩みをパソコンで解決できないかなと思うようになり、そうして見つけたのが、「スクリーンリーダー」というソフトです。

パソコンにこのソフトが入っていれば、視覚障害の人が独力でパソコンの電源を付けたり、いろいろな機能を使い、電源を切ることまでできることを知り、その存在に驚きました。

しかし、そこで課題が。
ソフトの実物を見てみたいと思ったところ、何万円もしたのです。

「さすがに買えないな」と思っているうちに、東京都内で講習会を見つけ参加した時に、「無料のスクリーンリーダーソフトもあるんですよ」と先生が教えてくれたのが、「NVDA」です。

講習から帰ったその日にインストールしました。
マウスクリックするメニューが全く出ないソフトの特性に戸惑い、パソコンの終了の方法を調べるのに1時間半かかってしまったのは忘れられない思い出です。

その後、このNVDAについてツイッターでつぶやくようになりました。

NVDA日本語チームの西本さんに、いいねを付けてもらえたのもとても良い思い出です。

ツイッターでいろいろな人と知り合う

「もっとたくさん視覚障害者の方に役立つことがわかるようになりたい」と思い、ツイッターで次々と視覚障害者の方や支援をされている方をフォローするようになりました。

最初は、情報収集のためだけにいろんな個人をフォローしていたのですが、続けているうちに私が視覚障害を持った人たちを手伝えることに気付きました。

・この写真何が写ってるの?
・この画像何が書いてあるの?
・画像認証が見えなくてクリアできないんだけど?
・スクリーンリーダーで読まないソフトやWebページがあって操作できないんだけど?

ツイッターで少しずつ、そんな声に答えるようになりました。
私は彼らの代わりに見て、その代わりにいろいろなことを教えてもらう、そんなwin-winな交換関係が成り立つようになりました。

視覚障害者総合支援センターちばの御園さんとの出会い

2015年3月頃のことです。

この頃までに、「情報ボランティアの会八王子」に加入したり、「NVDA日本語チーム」に加入したり、「視覚障害者のWindowsパソコン利用についてのメーリングリスト」に加入したりと、いろいろなところで少しずつオンラインでお手伝いをしていました。

そんな中、「NVDAヘルプデスクという新しい組織を立ち上げるので協力してほしい」とメールを送ってくれたのが、御園さんです。

千葉県の四街道にあるセンターに来て下さいというお話もありましたが、東京都八王子市からは片道2時間半くらいかかるので、主にオンラインで協力することになりました。

1ヶ月に1回のスカイプでのミーティング、年に3回ほどのセンターへの訪問は、スクリーンリーダーなど視覚障害者向けの支援に必要な技術を深く詳しく学べる場となりました。

突然の退職

2017年秋頃には、ツイッター他NVDA関連の組織での活動などが増え、仕事を休める時はお休みをいただいてイベントに参加したり、イベントの準備を夜中にしたりすることが増えて行きました。

一度だけ、ふと、この準備作業を日中にしたい、とNVDAヘルプデスクの仲間に漏らしたことがありました。

「退職して視覚障害者支援を仕事にできないかな?」

そんなふうに漠然と思っていたものの、簡単に思い切れることもありませんでした。
また、会社で私がふだんしている仕事内容をやってもらえそうな同僚もいなかったため、「辞めたい」と言い出しづらい環境でした。

そんな状況が続き、
2018年1月。

突然、勤めていた会社の部署の移転があり、私の通勤は遠くなるので、4月からの派遣契約を更新しない予定であることを告げられました。

元々通勤交通費の枠が決められていて、その時点でぎりぎりくらいの通勤距離でした。

奇しくも、友人の公務員歴14 年で退職してフリーランスになるハルさん(@harumizuki423)の存在や「グッバイ公務員」という著書も読んだばかり。私を取り巻く環境の変化が続きました。

家族に派遣契約終了の話をした後に、

「私はやりたいことがある」

そうドキドキしながら話したところ、
応援してもらえました。

転職と個人事業開始

2018年4月。

ツイッターの知り合いから声をかけてもらえたことで、東京都内の視覚障害者支援施設でのパートを始め、週2、3回勤務するようになりました。

週の残りは、個人的にパソコンやスマホを教える依頼を受けたり、対面朗読やパソコンボランティア、盲学校での読み聞かせのボランティア、視覚障害者に役立つ音声番組の制作、Webページの制作などをしています。

フリーランスです。

収入は会社の派遣社員の時よりも相当減りましたが、多くの人の役に立てたり喜んでもらえたり、必要とされていると感じています。

もうすぐフリーランスになってから1年が経ちますが、個人的に依頼を頂ける方がとても増えています。

近所の方からの依頼もありますが、片道2時間ほどのところに住んでいる方からの依頼もあります。視覚障害の方は外出がしづらいので、私が出かけて訪問して行く形にしています。

中には、ガイドヘルパーの方と一緒に、私の方まで訪ねてくれる方もいらっしゃいます。

ブラインドオンラインサービスの開始

視覚障害の方で、パソコン、スマホの利用方法に詳しい方がたくさんいます。
ただ、教える方も、教えてもらいたい方も外出しづらいのが、学ぶ機会のハードルとなってしまっていました。

ある程度習熟された方は、音声通話やメールでの解説のみを通して、教えることも、学ぶこともできます。

そこで、詳しい方を集め、ブラインドオンラインサービスという任意団体を立ち上げ、私が代表を務めるようになりました。現在の人数は私を含めて10人。私の住んでいる東京だけでなく、関東、近畿など全国の視覚障害を持つメンバーと、LINEグループでつながっています。

見える私の役割は事務方で、宣伝、依頼受け、日程調整、利用料支払いの手続きです。

特に支払い。

教えてもらいたい側の方に視覚障害がある場合、どのような方法で支払いの手続きが出来るかが、人によって限られて来ます。

・ゆうちょダイレクトをスクリーンリーダーで操作出来る方
・セブン銀行のATMを音声受話器で操作出来る方
・クレジットカード番号の入力がスクリーンリーダーで楽に出来る方の他

それらの手段が難しく、ゆうちょの払い込み用紙があれば自分で、または誰かに窓口へ持って行ってもらって可能、という方もいらっしゃいます。

そして、払込用紙の準備や送付は逆に、見えない方が行うにはハードルになります。
これらの手続きを見える人が代わりに行うことで、先生方には、サポートに集中してもらえるという仕組みです。
この仕組みで、多くの視覚障害の方が、活躍して、収入も得られる場を作り出したいと考えています。

見えないと何もできないわけではない

見えない人ができないことは、見ることだけです。
それ以外のことについては、人によって、詳しい人も大勢います。
見える人の趣味や特技が様々なのと変わりません。

見えないことだけを見える人が補ってくれたら、詳しいことについて相当活躍出来るけれど、それを知っている人が少ないために、苦労されている方が多いと感じています。

例えば私は、メールアドレスをメールソフトに設定するのが苦手だし、よくわかっていません。

活動の中で、見えない詳しい人から、
「POP3選んでね、暗号化だから何々を選んでね、サーバー上のメッセージは消さない設定にしてね」と指示を受けながら、「その設定はどこにあるんですか?」と、ほぼ手取り足取りで教えてもらったような状態です。

「IPアドレス教えて」と言われてもわからないので調べ方を教えてもらったりもしました。

見える人も見えない人もパソコンやスマホの使い方がよくわからない人は多いと思いますが、中身の設定方法をよく知っている視覚障害の方も多いので、きっと多くの方の役に立てるし、活躍できると思うのです。

そんな人たちも大勢いることも、多くの人たちに伝えて行きたいです。

役に立てて収入にもつながって喜んでくれる見えない人と、彼らに手伝ってもらえて喜んでくれる人との間をつなげて行くのが、私のミッションです。

所属団体リンク、Web上のコンテンツなどの詳細は、Noteの自己紹介ページをご覧下さい。
Note
https://note.mu/minakonono/n/n957c9d8aef1c

2019年2月

野々垣美名子

野々垣美名子のSNS

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Special Thanks

この記事は、ストーリークリエーター HARUさんに読みやすい形にしていただけました。HARUさん、ありがとうございます。
HARUさんのTwitter
https://twitter.com/harumizuki423


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視覚障害者に役立つ機械や情報をご紹介します。所属: NVDA日本語チーム、NVDAヘルプデスク、八王子BPワークスminakonono3519@gmail.com080-8122-4546
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