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団地暮らしのいいところ #002

トイレットペーパーを買いに、夫と車でホームセンターへ行った。

「晩ごはん何にしようか〜?」
「パスタとか?お好み焼きもできるね〜」
と、話しながら団地に帰ってきて、部屋のドアを開けようとしたとき。

「……カレーや。」
「…カレーやな。」
二人で小さな声でつぶやく。

どこかのご近所さんの窓から、強烈なカレーの匂いが漂ってきたのだ。
それも、すごくすごく美味しそうな。

「団地のいいところは、ごはんの匂いがするところ」と、誰かが何かの動画で話しているのを見たことがあるけど、ほんとうにそうだと思う。


ゴミを捨てて部屋に帰ってくる、朝7時。買い物から帰ってきた、夕方の6時前。いつも、どこからともなく、何かを作っている匂いが漂ってくる。

住んでいる年齢層もまあまあ高めなので、ご飯を作る時間も少し早め。
そして、肉じゃがとかカレーとか味噌汁とか、懐かしくなるような匂いの料理が多い。

「カレー…できる?」夫が遠慮がちに聞いてくる。
「レトルトならあるよ…?」
「あっ…」少し悲しそうな夫。
「うーん……ゴーヤのスパイスカレーにしよう。合挽き肉もあるし。」


ひさしぶりのスパイスカレーづくりが、ご近所さんの晩ごはんのおかげで決まった。

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