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【雑文】バイクが、好きだ

 
 すっかり暖かくなってきて、気持ちの良い日が増えてきた。
 少し前まで、朝晩は冬並みに冷え込むことも多かったのだけれど、最近は何枚も服を着込むこともめっきり減った。ちょうどこれを書いている今日は良く晴れていて、コロナのことさえなければ、まさに平和な日曜日といった様相だった。
 
 こんなご時世でもなければバイクでどこか遠くへツーリングにでも行きたい気分なのだけれど、それが出来ないので歯がゆい思いをしている。
 早く事態が収束して気兼ねなく出かけられるようになって欲しいのだけれど、まだまだ時間はかかりそうだ。せめてお盆休みの頃くらいには旅行ができるようになっていると良いのだけれど……。

 僕はバイクに乗る類の人間だ。
 といっても大型バイクに乗るような本格的なバイカーではなくて、今は小型二輪、いわゆる原付2種というものに乗っている程度だ。
 
 初めてバイクに乗ったのは高校1年の夏休み。バイトで貯めたお金で免許をとってそれ以来ずっとなので、かれこれ15年ほど乗り続けていることになる。
 途中、事情であまり乗れないような時期はあったのだけれど、基本的にはそれからずっと原付ライダーとして過ごしてきた。仕事で日常的に自動車に乗るようになった今でも、自分にとってのメインは、バイクだと思っている。
 
 正直にいうと、バイクというのは本当に不完全な乗り物だと思う。
 
 冬は凍えるほど寒いし、夏は意識を失いそうなほど暑い。少しでも雨が降ればびしょ濡れになるし、強風が吹けばあっけなく倒れてしまう。積める荷物の量は車と比べるまでもない。そして、ひとたび事故を起こせば、簡単に死んでしまう。
 バイクが自動車に勝っているところといえば、基本的に車両の価格が安いことと、取り回しが良いことくらいだろう。
 
 それではなぜ僕は、そんな不完全なバイクに今でも乗り続けているのか。
 端的に言ってしまえばそれは、バイクが好きだからなのだろう。

 国内バイクメーカーとしてトップを走り続けるホンダには『バイクが、好きだ』というキャッチコピーがある。
 きっと世のバイク乗りのみなさんも、このキャッチコピーには少なからず同意する部分があるだろう。バイクに乗っているひとは、少なからずバイクが好きなのだと思う。
 
 だが自動車はそうとは限らない。
 便利だから、必要だからという理由で自動車に乗っている人でも、運転自体はそれほど好きではないという人も多いだろう。
 
 けれどバイクは違う。
 好きでもなければわざわざバイクに乗る必要などない。特殊な事情を持つひとを除いて、自動車に乗っているほうがあらゆる面において優れているのだから。
 バイクに乗り続けているということは、つまりバイクが好きだからなのだ。
 
 好きだから続けているということは何よりも強いと思う。
 
 バイクに限らず、読書でもゲームやアニメでもこうしてnoteを書くことでも、人は誰でも何らかの活動を続けているものだと思う。
 便利だからとか、必要があるからとか、自分にとって役立つからとか。人が何かを続けるには、そこに様々な理由があるだろう。
 
 けれど、「好きだから」以上に行動を強く動機づけるものはない。
 
 便利なものは、もっと便利なものが出てきたらそちらに移行してしまう。必要なものや役に立つものは、そうでなくなればもはや価値が無くなるだろう。
 
 だが好きなものは違う。たとえ不便でも危険と隣り合わせだとしても、バイカーはバイクに乗り続ける。バイクを好きであり続けるかぎり。
 
 僕はこれからもバイクに乗り続けるだろう。様々な事情で乗れなくなることはあるかもしれないけれど、そうならない限りはずっと。
 
 それはきっと、バイクが好きではなくなる、その時まで変わらない。
 

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