遠隔チョコ会してみました
Twitterでは食べたチョコの感想のみ淡々と投稿しているのですが、私、実は相当なおしゃべり好きです(いや、普段は無口です、趣味の話する時だけ饒舌なタイプ)なので、やはり語りたいわけです。
チョコの風味とか食感とか、職人の愛だとか。さらにそれらの素晴らしさをどう表現し、伝えて、クラフトチョコやビーントゥバーに興味を持ってもらうか...
ということで、京都の未体験チョコレートツアー時にお会いしたライター嘉手川さんの遠隔チョコ会に申込みました。光の速さで返信が来たので、早速チョコの在庫データを見せて頂き、食べたいチョコをリクエスト。5日も経たないうちに現品が届きました。
申し込む動機によってやり方は違うと思うのですが、私はお話する時間をがっつり取りたかったので、先に届いたチョコ全てテイスティングした後、Zoomを使ってお話しました。
今回送って頂いたのは全14種。すべて1~2口サイズでお願いしました。食べたことはあるが新作を追い切れていないブランド、初めてのブランド、普段は追っていないフレーバー系などなどを、少量ずつ試食するイメージです。
まずは沖縄のTIMELESS CHOCOLATEの4種。
・台湾黒糖
濃縮されたブドウエキスを思わせる鮮やかな香り。
・台湾島ザラメ
まるでチーズケーキのよう。台湾黒糖と同じ豆だそうですが、こちらは旨味が全面に。印象がだいぶ変わります。
・コロンビア
ライ麦や泡盛が浮かぶ、シャープな苦味と、じわじわ舌にくる酸味。
・インドネシア
エキゾチックなお香の匂い。灰っぽさ、ミネラル感、黒糖の滋味深さとコクが印象的。
4種とも相変わらずの個性全開な俺様系チョコに痺れました!黒糖もラインによって使い分けているそうで。愛を感じるブランドです。
お次は芦屋のICHIJIの3種。
・インドネシア
クランベリーやケチャップ、ほんのりライ麦パン。
・タンザニア
ビスケット感が全面に、ほんのりイチゴの風味も。
・ボリビア
ハーブ、チーズを感じる色っぽい味わい。
3種とも、とても優しく丁寧な印象。スタイリッシュさと真面目さが伝わってくるブランドです。
続いてお茶系フレーバーの3種。
Fuwan Chocolate
・鉄観音茶
茶葉感がガッツリ。かなり濃ゆい。渋味(鉄っぽさ?)もしっかり。
Fossa Chocolate
・ウーロン
マンゴーのような濃蜜で華やかな香り。
・ジャスミングリーン
バジルのような爽やかさがブワッと!
フーワン(台湾)は味わいも香りも濃く、力強い素材感。
フォッサ(シンガポール)は味わい軽やか、香りが凝縮していてとてもフェミニンな印象。
海外のブランドですが、いずれもトモエサヴールで購入できます!
ホワイトチョコのフレーバー系もリクエストしてみました。
FRIIS HOLM
・ホワイト柚子
上品ながらも圧倒的な柚子!コク深くさらさらとしたミルク感ともマッチしています。
こちらデンマークのブランド、ミッケルさん(ブランドの職人さん)が元料理人ということで個人的にもかなり注目しているのですが、皮も実も、果実のすべてが余すところなく伝わってくるフレーバーが最高です。
そして最後は、未食だった海外のシングルオリジンを3種。
ジャン=ミッシェル・モルトロー
・エデン農園(ドミニカ)
クランベリーのハードパンのイメージ。焼かれた穀物の苦味、赤い実の甘酸っぱさ。
フレデリックブロンディール
・コスタリカ
キャラメルデニッシュ、時々ウイスキー。
・インド
カルーアミルク、コーヒー濃いめで、後味はほんのりトマト。
ギュンと味の濃いジャンミッシェルモルトロー(フランス)、甘さの中にほのかにアルコール感の漂うフレデリックブロンディール(ベルギー)。どちらも職人本人の「好き」が見えるような味わいでした。
遠隔チョコ会の様子
画面越しにブランドのパッケージを見せてもらい、ブランドイメージを共有しながら感想を述べあい。
これクランベリー?トマトケチャップ?泡盛?ウイスキー?
などなど食べ物飲み物の名前が飛び交う楽しいチョコ会でした。(※食べているのはすべてチョコレートです)
顔を合わせて言葉にすると共通認識のすり合わせが驚くほどスムーズなので、やはり対面っていいなぁと。
同じ産地でも、素材やブランドで香りが全然違ったり。全然違う産地なのに、どこかに通っていたり。実際に職人や販売員さんとお話した嘉手川さんから、そのブランドの素材へのこだわりや、お店で働く方、販売員さんの雰囲気などもうかがいました。
特に熱が入ったのは味覚の話。微妙な風味の違いから、的確な表現を選び取る人間の能力凄いよね、という話をしました。例えば「蒸留酒(度数高めのアルコール)っぽさを感じる時」もいろいろパターンがあるよね、と。
独特の発酵感や、風味の強さに加えて......
ピート香を感じる時は「ウイスキー」
華やかな果実感を感じる時は「ブランデー」
甘やかな香りを感じる時は「ラム」
などと分解してみたり。何らかの共通する因子と異なる因子が複雑に絡み合って「○○のような香り」になり、それを言葉にすることで共感も生まれるのではと。
もちろん、名前一つでそれらが持つ風味のすべてを表現できないことは百も承知。チョコの世界同様、他の飲食物の世界にも広く深い沼が存在しているでしょう。しかし生まれも育ちも違う、普段食べているものも違う誰かとコミュニケーションする時は「その食べ物(あるいは飲み物)を思い浮かべた時にまずイメージする主な特徴」を抽出し概念化することで、スムーズに意思伝達できるのでは、と。
そして互いに「言葉」を扱うチョコマニアとして、香りや感想の書き方などの話もしました。
「感じること(インプット)」と「伝えること(アウトプット)」は根本的に別ものであり、「他人に自分の感じたことを伝える」ためにはそのどちらのスキルも磨く必要があるのではないか。
さらに「正確な商品解説をすること」「分かりやすい感想を書くこと」「美味しそうなキャッチフレーズを作ること」はまた別の能力が必要なのだろうと。「チョコ」に底無し沼があるように、「書く」ことも突き詰めれば沼。
だからこそ、綺麗さや正確さに囚われずに、私は「その時全身全霊で感じたことを、全力直球で伝える、できる限りのありのままに、分かりやすく」をモットーに食べる&書き続けようと思います。クラフトチョコは毎回味が変わるし、作り手の技術も思考も変化する。だからこそ、微妙な差異を突き詰め、ひとつひとつ苦悶しながら作られたチョコが愛おしく感じるし、自分の進化(と信じる変化)に合わせて、余すところなく感じていたいです。
久しぶりにチョコ語りできて、たくさんの刺激を受けました。嘉手川さん、ありがとうございました!
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