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「アホは神の望み」を読んで

「アホは神の望み」というタイトルがとてもおもしろいと思ったので、この本を読んでみようと思いました。「アホでいてもいいんだ」とか、「アホでいたほうが楽しい人生になるんだ」など、読む前から色々想像して楽しく読みました。自分は不完全な人間です。決まった時間に起きることができなかったり、友達と遊んでいたりすると時間を忘れてしまったり、やるべきことなどを先生や両親から教えられても完全にはできなかったりすることがあります。それでもいいのかな、許してもらえるのかな「神様」に。なんて甘い考えで読み始めました。でも、本の内容は自分の想像とは少し違う視点で書かれていました。
 「アホ」というのは筆者の村上和雄さんの観点では、「愚直にひたすらに自分の研究などに向かう人」のようでした。自分の考えていた「アホ」は「未熟な人」でしたが、未熟なりにひとつのことに一心に挑戦したり、失敗を繰り返しながら成果を求めて努力し続けたりすることが「アホ」のなのだそうです。夢や希望に向かう気持ちを忘れずに向かうことが「神様」に望まれた生き方なのだと理解すると、なるほどそうかもしれないなと理解することができました。自分はこれからどんなことに真剣に取り組めるのか、想像するきっかけとなりました。自分が向き合うべき一つ一つのこと、重要なこともそうでないことも意味があったりなかったりするかもしれませんが、意欲を持って取り組めることがすばらしいことなのかもしれないと思いました。
 「でくのぼう」という生き方という表現がありました。バカみたいに笑ってばかりいると良いそうです。「苦しいときそこ笑っていられる」ような人が今、必要とされているそうです。まじめでしかめっ面をしている理論で生きる人たちは人間関係がうまく結べなかったりするそうです。頭がいいからそうでない人を見下す人は「愚かな罪」を犯していて、神様に嫌われるそうです。自分は素直で正直に笑顔でいたいなと思いました。
 ある大学病院の外科医さんは「私は手術の前に必ず祈ります」と言っていたそうです。手術に祈りが必要だとは授業でも教えないし、教科書にも書いていないけれど、「どうぞ自分に力を与え、患者さんの命を救い給え」とひそかに祈ることも医学にはあるのだと知りました。例えば、西洋医学だけの医療ではなく、漢方薬、鍼灸、瞑想、音楽、信仰などが医療に及ぼす影響についても研究され始めているそうです。医療技術だけではなく、精神的な部分が結果を出すという考え方はとてもおもしろいと思いました。以前はそんなのくだらないと見向きもされなかったことにも効果が認められてきているというのは「アホ」なことにも価値があるということなのかもしれません。同様に、祈りや思いを医学的に証明しているのが「ニセ薬」、プラシーボ効果です。「これはすばらしい薬で、この病気によく効きます」と言われた患者さんに実際に効果が現れることがあるそうです。「いい薬を飲んだから、症状が良くなる」と期待するポジティブな思いが治療効果をもたらすそうです。プラシーボ効果は「思い込み」だそうです。思いを込めた「祈り」にももっと効果があるという考えもあるそうです。不思議ですが、心のあり方が体を治すことにもつながりそうです。
 「天にまかせると楽天的になれる」という説もすごいと思いました。「一生懸命やれば、天が悪いようにはしないだろう」と安心して物ごとに取り組むと、神様に粗末に扱われないだろうというと信じて一生懸命にそのことの結果を気にせずにできるという考え方です。先のことを心配して不安な気持ちでやるより、今日一日できることを精いっぱいやることに集中したほうが充実した日々を過ごせそうだと納得しました。なんとかなるという楽観的な思いで努力することも結果につながるなんてうれしいことです。それから、疲れたら休む、息抜きすることも大事だそうです。一生懸命やりすぎると自分が壊れてしまいそうなら、まじめすぎるのも良くないかもしれないです。「ときには全てを忘れ、体から力を抜き、頭を空っぽにして遊んでみる」ことも大切だそうです。バランスが大事なのですね。
 そして「感謝」が大切なのだそうです。おかげさま、いただきます、ありがとう、もったいないというのは、助け合ったり譲り合ったりする利他の精神があります。日本語の「ありがとう」には「有難い」というありえないことが起きたことに対する感謝の心があります。外国語のありがとうには日本語のようなニュアンスがないかもしれません。だから、感謝して「ありがとう」という気持ちで生きていくことが大切なのだと思います。「神様」のような特別な存在とつながる方法はこんなふうにシンプルなのかなと思わされるおもしろい本でした。


PS ありがとうございます。読書感想文として原稿用紙5枚ほぼぴったりに書けました。楽しかったです。

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