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ドイツをもっと知ろう | ミュージック・ジャーニーvol.39

シンデレラ城のモデルとなったノイシュヴァンシュタイン城

皆さん、民音ミュージック・ジャーニーへようこそ。
今回は、本年(2021年)、日独交流160年を迎えるドイツ連邦共和国へご案内いたします。この友好の始まりは、1861年に結ばれた「修好通商条約」とされています。

ドイツは、16の連邦州からなる連邦国家です。各州が憲法・議会・政府を有し、経済や工業、貿易などそれぞれの強みを生かした独自の文化が花開いています。

全土には、46の世界遺産や約4200 の博物館、500の美術館、130のプロオーケストラ、300 の州立・市立の劇場等があり、ドイツの歴史と多彩な芸術文化をたどることができます。

ドイツ北部の都市ベルリン、ハンブルク

激動の20世紀を経てドイツの首都となったベルリンは、政治・経済・文化の中心となる国際都市で、様々な教育研究機関や多様な文化が、都市をさらに発展させています。歴史的な建物や博物館も多く、東西統一のシンボルであるブランデンブルク門や、自由と平和をテーマにした壁画が並ぶイーストサイドギャラリーなどには多くの観光客が訪れます。

世界的に有名な「ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団」は、1882年にベルリンを本拠地として設立されました。創立間もない1884年には、ヨハネス・ブラームスが自作の交響曲第3番を指揮、同年にドヴォルザーク、1888年にはR.シュトラウスが指揮台に立っています。また、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、ヘルベルト・フォン・カラヤンなどの世界的な指揮者を迎え、小澤征爾や佐渡裕ら日本人指揮者も客演としてベルリン・フィルの舞台に立っています。

ここで、2018年に開催した「ベルリン・フィル弦楽四重奏団 ヴァリアン・フライ・カルテット」民音公演より、1曲をお聴きください。

1.「アダージョとフーガ ハ短調 K.546」 / 作曲:モーツァルト

ドイツ最大の港を有する第2の都市ハンブルクは、世界を結ぶ貿易の拠点です。ハンブルクの真珠と称されるアルスター湖を中心に運河や水路が広がるリゾート地で、新鮮な魚介料理や緑豊かな美しい街並み、壮麗な建築物を堪能できるロマンティックなフェリー観光も人気です。

17世紀初頭以来、ハンブルク歌劇場で活躍したとされる歴史あるハンブルク・バレエ団は、1973年から現代バレエの旗手ジョン・ノイマイヤーが芸術監督に就任して独創的な新作を次々に舞台にかけ、ドイツはもとより世界から注目を集めています。民音では、1986年に初めて同バレエ団を日本へ招聘しました。以来6度にわたる来日公演では、数々の全幕作品の日本初演を実現し、斬新な振り付けと緻密な構成、バレエ団の高い技術に感動の渦が巻き起こりました。

「アーサー王伝説」(1989年)

「アーサー王伝説」(1989年)
左「くるみ割り人形」(1989年)、 右「白鳥の湖」(1994年)
左「眠れる森の美女」(2005年)、 右「人魚姫」(2009年)

ドイツ西部の様々な都市

フランクフルトは、国際空港を有し、銀行や保険会社の高層ビルが軒を連ねる商業、金融の中心地です。また、神聖ローマ帝国皇帝の戴冠式が行われた大聖堂や町のシンボル旧市庁舎(レーマー広場)など、かつての繁栄を物語る文化遺産も多く残っています。そのほかにも、文豪ゲーテのゆかりの地巡りや、地酒アプフェルヴァイン(リンゴ酒)を楽しむこともできます。

左「旧市庁舎(レーマー通り)」、 右「ゲーテ像」
左「リンゴ酒電車」、 右「リンゴ酒」

ここで、2010年に開催した「THE 12 TENORS」民音公演より、フランクフルト出身の映画音楽作曲家で、これまでにアカデミー賞とゴールデングローブ賞にノミネートされた経験を持つハンス・ジマーが作曲した曲をお聴きください。

2.「ナウ・ウィ・ア・フリー」 映画「グラディエーター」より

また、西部は「父なる川」と呼ばれるライン川が流れ、川沿いには、かつての首都でベートーヴェンやシューマンゆかりの地であるボンや、日本企業の拠点が集結する商業都市デュッセルドルフ、632年の歳月を経て完成したゴシック建築最高峰の大聖堂を有するケルンなど、地域特有の色濃い文化が広がっています。

ケルン大聖堂とホーエンツォレルン橋を中心とした市内の風景
2002年に世界文化遺産に登録された「ライン渓谷中流上部」の景観
左「ミュンスター広場のベートーヴェン記念碑」、 右「ケルン男声合唱団」(1973年)

ここで、ドイツ西部ノルトライン=ヴェストファーレン州出身で、シンガーソングライターなどとして40年以上にわたり活躍するハインツ・ルドルフ・クンツェが作曲した曲をお聴きください。

3.「君は我が心のすべて」

ドイツ東部の都市ドレスデン、ライプツィヒ

古都ドレスデンは、ザクセン王国の首都として栄え、ゲーテが「エルベのフィレンツェ」と称賛したほど美しい街並みを持つ芸術文化の都です。第二次世界大戦の空爆で大きな被害を受けましたが、ゼンパーオーパー(ザクセン州立歌劇場)やツヴィンンガー宮殿など世界屈指のバロック建築が長い年月をかけて再建されました。

ゼンパーオーパー(ザクセン州立歌劇場)
「ドレスデン・フィルハーモニー・児童合唱団」(1998年)

中世より商業と金融の街として発展したライプツィヒは、バッハやメンデルスゾーン、シューマンなど多くの著名な音楽家が活躍した文化都市でもあります。
バッハのオルガンが展示されているバッハ博物館や、ゲーテお気に入りのカフェとされるリケーなど、芸術家の足跡をたどるスポットも人気の一つです。

ライプツィヒ歌劇場
グノーの歌劇「サン=マール」ライプツィヒ歌劇場にて
バッハが音楽監督を務めたトーマス教会の前に立つバッハ像

ドイツ南部、南西部の都市

ドイツ第3の都市ミュンヘンは、交通の要衝として商業が栄えた経済都市で、現在も、BMWやシーメンスなど大企業の本社が集中しています。

BMW博物館

オペラの歴史も古く、ドイツを代表するミュンヘン・オペラ(バイエルン国立歌劇場)では、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」や「ニュルンベルクのマイスタージンガー」が初演されています。民音では1974年に、日本での本格的な“引っ越し公演”を開催。モーツァルトの「フィガロの結婚」やワーグナーの「ワルキューレ」の名作に加え、日本初出演となった指揮者カルロス・クライバーの「ばらの騎士」(R・シュトラウス)も披露され、大きな話題となりました。

左「バイエルン国立歌劇場」、右「バイエルン国立歌劇場(ミュンヘン・オペラ)」(1974年)

また、200年以上の歴史を持つ世界最大のビール祭り“オクトーバーフェスト”は、毎年600万人以上が訪れる人気あるお祭りの一つです。

南西部のシュトゥットガルトでは、ドイツ最大級とされるクリスマスマーケットが開催され、約280の屋台は多くの人で賑わいます。世界的指揮者サー・ロジャー・ノリントンが1998年から2011年まで首席指揮者を務めたオーケストラ「シュトゥットガルト放送交響楽団」の本拠地でもあります。

左「クリスマスマーケット」、右「シュトゥットガルト放送交響楽団」(2001年)

本年(2021年)11月、12月には、「ベルリン・フィル ピアノ五重奏団 ブルーム・クインテット」を招聘し、全国での公演が開催されました。

メンバーは、「ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団」で、2020年に女性で初めて第2ヴァイオリンの首席奏者に就任したマレーネ・イトウを中心に構成されたクインテットです。ヴィオラは、ミュンヘン国際音楽コンクール第1位で、現在ベルリン・フィル首席奏者の清水直子。

日独交流160周年にふさわしい世界最高峰の演奏に、各地で喝采が送られました。

皆さん、ドイツへの音楽の旅はいかがでしたでしょうか。
音楽の旅はまだまだ続きます。次回もどうぞお楽しみに。

協力、写真提供:ドイツ連邦共和国大使館、ドイツ観光局

Min-On Concert Association
-Music Binds Our Hearts-

この記事は英文での提供もしています。
https://www.min-on.org/11117/min-on-music-journey-no-39-germany/

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