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トップアマの意外な弱点

三村九段のミム囲碁ラジオ第53回

今回は私が見つけたトップアマの弱点という話をしたいと思います。
この放送はプロ棋士40年、囲碁サロンと子供囲碁道場を運営する三村智保が囲碁の情報をサクッとお伝えする番組です。

全国優勝するようなトップアマの方々は、下手なプロ棋士よりもよっぽど知名度が高いです。プロの中で50位とかの棋士よりも、アマの中の1位になっているわけですから。名前を聞いたら有名なあの人だっていうふうにわかると思います。

最近で言うと大関さんとか栗田さんとか、強いトップアマがいっぱいいます。彼らはプロの棋戦に参加しても実際にプロを破ってしまうことも多いです。トップアマの棋力はプロと変わらない、これも皆さん常識として知っていると思います。

そんなトップアマの方々、ちょっとこの辺が弱いなって思ったところがあるんです。
それが何かというと、最初に言ってしまいますとトップアマは女性に弱いって思いました。

例えばですね、私の世代で言うと平岡聡さん。何回も全国大会で優勝している超有名なトップアマの方です。一部のプロ棋戦で桐山杯とか竜星戦とかにアマの大会で上位に入った人がプロの予選に参加して打つわけです。

我々は緊張するんです。アマチュアと当たるっていうのは。
なるべくそこでは負けたくないとか思うんですけど、実際負けても全然おかしくありません。

誰がその強いアマを止めるか、プロの予選の中でもプロアマ戦というのは注目されるところなんですけども、女性棋士に負けることが多いです。あれって思うようなところで負けるんです。

平岡さんとか中園清三さんとか、私は中園さんと公開対局とか雑誌の企画とかでも対戦したことがあります。
互先でどっちが勝つかわからないぐらいいい勝負だった。とても強いことはわかっているんですけども、それがあれって思うような女性棋士に負けたりするのを見て「なんでだろうなぁ」って思うわけです。

そういうことを何度も見たので、理由を考えてみると

強い女性と打つことに慣れてないということが一つあるかなと思いました。我々は院生の頃から年の近い女性と別に対等の勝負をしてきているんです。同じぐらい女性が強いということになれているんですけども、トップアマの皆さんが普段自分たちと同等に打てる女性と対局することって滅多にないんじゃないかと思います。これが一つ。

もう一つは、女流のプロたちはテレビとか新聞とか出ている有名人なわけです。トップアマの方々からしても「あの◯◯さんだ」とか、そんな風に有名人に会ったような気分で勝負師としてのスイッチがちょっと緩んでしまっている可能性はあるかなと思うわけです。

特に少しおじさん世代になっている方は、若い女性棋士に負けることが多いなぁと思っています。それがちょっと面白いと思ったところです。

ただし最近の最強者トップアマの若い方々、大関さん、栗田さんたちはそういう傾向が見られません。やはり院生を経験していて、強い女性との対等の勝負に慣れているということがあるのではないかと想像しています。

トップアマの皆さんは本当に強いし、仕事をしながらその強さをキープしているところもすごい。どんな工夫をして強さを維持しているのか、機会があったら聞いてみたいと思っています。

ということで今回は私が気が付いた「トップアマの弱点」についてお話をしました。
それではまた次の放送でお会いしましょう。囲碁棋士の三村智保でした。

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