囲碁のハメ手研究は有効か?
【要約】
ハメ手とは、相手の間違いを誘う定石の変化技のこと
初段から5段程度の棋力では、ハメ手を学ぶことは有効
囲碁の手筋の理解に繋がる
強い相手には通用せず、逆に損をする可能性がある
プロレベルでは極端なハメ手は使用しないが、研究された変化は有効
【本文】
この放送は、プロ棋士40年、囲碁サロンと子ども
囲碁道場を運営する三村智保が、囲碁の
情報をサクッとお伝えする番組です。
今回は初段から五段くらいの方向けに、囲碁に
おけるハメ手の有効性について解説します。
ハメ手とは
囲碁にはハメ手という戦術があります。
これは、騙すというニュアンスのある手順を
覚えておいて、相手がその通りに乗って
くれば一気に大きなポイントを取れる手法です。
ただし、正しく応じられると逆に損になる
という特徴があります。将棋のような
奇襲戦法に似ていますが、囲碁の場合は
碁盤が広いため、主に一つの隅で行われます。
ハメ手の有効性
結論から言うと、ハメ手を覚えることは
有効であり、実践してみることをお勧めします。
決して卑怯な作戦というわけではなく、
複数の変化を覚える必要があるため、
囲碁の学習としても良い面があります。
特に子どもの場合、こうした手順を
好んで研究することが多いですが、
それを制止する必要はないでしょう。
ただし、大事な試合での使用は
慎重に検討する必要があります。
具体例:19路目のハメ手
昔から有名なものに19路目のハメ手が
あります。五目にケイマにかかって
挟み、通常とは異なる二間飛びを
打って自分が取られやすい形を作ります。
相手が取りに来た際に、外側を絞って
一気に得になるという手順です。
相手が知らない場合、10目程度の
得点を得ることも可能です。
プロレベルでのハメ手
プロのレベルになると、状況は
大きく変わってきます。覚える手順の
量が膨大になり、相手も強くなるため、
単純なハメ手は通用しません。
しかし最近のAI時代では、人が
調べていない手順や、AIが示さない
変化を研究することで、相手の
想定外の手を打つことがあります。
トッププロの世界では、一つの隅で
一目得することができれば大きな
成功で、0.5目の得でも立派な
成果となるのです。
この記事は「三村九段のミム囲碁ラジオ」
第102回の書き起こしです。
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