13路盤で囲碁を打ってみよう
三村九段のミム囲碁ラジオ第48回。今回は13路盤で囲碁を打つ時の話をします。
この放送はプロ棋士40年、囲碁サロンと子供囲碁道場を運営する三村智保が囲碁の情報をサクッとお伝えする番組です。
囲碁のゲーム性の特徴の中で、盤面のサイズを変えてもルールが変わらずにプレイできるというのがあります。大きさを変えてもゲーム性は特に変わらない。
19路で定着しているものの、どの大きさが一番良いかは実際のところわからないんじゃないかと思うんです。
今、囲碁は時間がかかりすぎる。長すぎる。19路盤が広くて難しすぎるということを言われます。この19路盤の広さというのが豊かさでもありハードルの高さにもなっていると思います。
囲碁が打てる人、強い人にとっては19路盤は非常に面白いけども13路盤にすれば手数は短くなるし時間も短くなるし優しくなる。
それで13路のプロの棋戦をやったことがあります。囲碁普及に熱心な方がお金を集めてプロ棋戦の13路盤トーナメントをやりました。
私も参加しました。これも15年前くらいでしょうか。
でもそれほど火がつかなかったんです。
その方は13路盤の大会をやるということも熱心に活動されていて、私のサロンにもお話しに来ていただいたことがあります。
でも13路盤は広がらなかったんです。既に囲碁を打っている大人の方々は13路盤に魅力を感じなかったようです。
私は結構いいと思っているんです。だけどどうしてでしょうか。
ちょっとチープに見えてしまうんでしょう。例えば将棋だと9マスの将棋盤を5マスにしようとか4マスにしようとか6マスにしようとか、これは初心者向けにそういう優しい盤を作ったりもしています。ただ本格的にやる方にとってはそこまで狭くする必要はない。
囲碁の場合は入門指導の時には6路盤とか9路盤とかかなり小さいものから始めます。私が子供の時囲碁を始めた時にはそんなものはなかった。19路で始めるしかなかったんです。何もわからないまま延々と石をペタペタやっていたわけです。非常に効率が悪かった。
9路からもっと小さい6路から囲碁を打てばすぐに終局まで体験することができます。こんな風に勝負がつくんだということもわかるんです。
これは50年前に比べれば進歩しているんです。
囲碁の入門の指導のツールとして小さい盤は使われています。
ただし大人がある程度上手くなった方が小さい盤を使うのはちょっと恥ずかしい。面白みがない。安っぽい。なんかそういうイメージになってしまうんです。
でもそんなことはないんです。9路盤で打ったってプロが真剣に打って深いものがあります。難しいんです。
9路盤の囲碁トーナメントもやったことはあるんですけど、これがあまり火がつかなかったんです。ただしスマホのアプリには最適で囲碁クエストとか囲碁ウォーズとかそういうネット対戦での9路盤13路盤というのはある程度普及したのではないかと思います。
ただし囲碁サロンに行って大人同士が「今日は13路盤でやりましょうや」みたいなことは見たことがないんで、どうもそういう風になってないんです。私自身は13路盤を道場の指導に使っています。
これで13路盤何がいいかというと、まずは時間が短くなるということです。例えばオンラインレッスン私やってます。その「ネット道場」では2時間の枠を決めて、その中でできるだけたくさん対局をさせてあげたい。
地方でいい勝負の相手がいない子供たちオンラインでつながって一緒に腕を磨き合う。
2時間の中でなるべくたくさん打つためには、残り20分になったらどうする?残り10分になったらどうする?その時に13路盤で打つ9路盤で打つんです。
なんなら私のネット道場をしているネット囲碁学園というソフトは11路盤とか15路盤17路盤、奇数であればいろんな盤面が使えます。それで時間をコントロールできる、これがまず一つ。
それから次の利点は棋力差が大きい時。20級の人と初段の人が打つ時、星目でも間に合わないです。何子置いたらいいんだ、それは差がありすぎて盤面で石が多すぎて真っ黒になってしまう。
その時に13路盤だったら半分の石で打てるので力の差があっても一緒に対局が楽しめる。
ハンディキャップをつけて対局ができるというところが囲碁のすごくいいところですけども、それをさらに拡大するのが13路盤9路盤小さい盤面を使うということなんです。
そして最後にこの13路盤
小さい盤面はつまんないんじゃないの?
面白みが無いんじゃないの?
そんなことありません。面白いし勉強になる。
傾向としては13路になるとよりヨセと読みの練習ができる。
布石を打って中盤を打ってすぐヨセになりますから。
自分は形勢がいい、相手の方が地が多そうだ、と数えることがしやすいんです、盤面が小さいと。
地を数えて形勢判断をして早めに勝負点を打っていく。積極的に打つ。
逆に自分の地が多ければ守って打つ。
そういうことの判断をしながら碁を打つということも覚えやすい。
19路盤だとそれはとても難しいです。
それから19路の時よりも接近戦は多くなります。戦いは多くなる。
読みの部分がよりクローズアップされる。
盤面が小さくなるほどぶつかり合いますから。
以前に話した、見た目は綺麗だけども戦いが始まると崩れてしまう「読みの力のない有段者」この方々には13路盤で打つことをお勧めしたいです。
私が生徒たちと打つときに19路で4子を置かせる生徒がいたとします。それが13路盤だと半分にして2子でちょうどいいんです。
でも子供たちの場合は2子にすると13路の2子の方が子供たちが有利になります。彼らは大局的な感覚が弱い。そこに弱さはあるけども接近戦に強いので。
逆に言うと大人の方は少し13路盤になると苦しくなるかもしれないんですけども、それは置き石を調節する。
勝負に直結する読みと寄せの部分が鍛えられるという面で13路盤、ゲームとしても楽しいし、棋力のレベルアップにもいいと思っています。
今はまだ13路盤は脚光を浴びていませんが、いずれ何かのタイミングで火がつくことがあると私は見ています。実際にこれを使っている人は一部いる。私たち指導する人は使っています。13路盤で指導碁を打って十分に学べます。
そして私も打っていて面白いんです。19路とは違う面白さがあります。
これ以外に15路とか17路とかでも打ってみるのは面白いです。大きさを変えて対局をするという、これができるのも囲碁の特殊な良さだと思います。
ぜひ皆さん一度お試しください。
ということで今回は囲碁はいつか「13路盤の時代」が来るよというお話をしました。それではまた次の放送でお会いしましょう。囲碁棋士の三村智保でした。
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