小説【海の都の夢現】#7
今度は
少し強い陽射しが和らぐ木の陰。眩しさを避け涼むのに丁度良い場所で、腰を下ろして木に背中を預けて佇んでいた。青臭さのある草の香りが、風に乗ってふんわりと鼻頭をくすぐる。ボーッとしてると、視界の端にオレンジ色の長い前髪が見えて果実を思い出し、口の中にはツンと酸味の効いたジューシーな甘さが広がった感覚に陥る。しかし、肌からある程度の熱が解放されると、急に眠気が来た。ちょっとの休憩だと思っていたのに、体を起こそうとしても、うとうとと瞼が重くなり、耳に木の葉っぱの擦れる音が