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ゆたかな生活をつくることば_Vol769

毎日「ことば」を使っています。
読む・書く・話す・聞く。

「ことばはゆたかな生活を開くかぎである。」(藤原与一)

月見、花見、雪見・・・情景が浮かび、ほっこりします。
雨見・・・体験したことはあるでしょうか?
雨見は森村誠一の造語です。
雨見ということばが、雨の日をゆたかなものにしてくれます。


表現のいちばん大事なことは、すじの通った表現をすることだそうです。
ねじれている文では、伝えたいことが伝わらないのです。
当然です。

すじの通った表現にするためには、一文一文を短くします。
出来るだけ短くします。

短くする方法は4つだと藤原は言います。
1 断定する
2 修飾のことばはなるべく使わない
3 長いセンテンスは短く割る
4 どうしても長くなる時は、一文内のまがりかどで、すじめを正す

藤原の言う「ゆたかな生活」と「断定する」とはどう関係しているのでしょうか。
断定すると、すじが通ります。
しかし、それだけではないのです。

〔引用〕___________________

短文にするためには、断定法を重んじるようにしたら良いと思います。
きっぱり言い切る心になるのですね。きっぱりとしない心の時は、一文がだらだらと伸びます。例えば、「何なにしていただけないものかと、思ったりするのであります。」など。思うことを心の中ではっきりときめてから、表現にかかれば、きっぱりとした表現ができます。
「ことばの生活のために」(藤原与一  講談社現代新書)
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話しことばも、生活をゆたかにします。
音声だけでもこんなに気を配る必要があると藤原は言います。
1 一音一音をはっきりと発言する
2 話す姿勢をよくする
3 話し始めの声の高さ
4 大声に気をつける
5 緩急の用意、まあいのとり方
6 声の高低と抑揚
7 声を心でつかう

「7」に心を打たれました。
〔引用〕___________________

いろいろに申しましたが、いちばん大切なのは、「声で心をつかう」ということです。声は心の声、心のあらわれです。声を心を込めて使いましょう。
(略)
人の返事の「はい。」というのを聞いても、それがみな心の声であることが、よくわかります。心をこめて声を使わなくてはならないと思います。美声とかなにとかは、大した問題ではありませんね。心が美しければ、声もきっと、人に美しくひびくはずです。

「ことばの生活のために」(藤原与一  講談社現代新書)
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略には、なにわぶし語りの語りが心の声であることが書かれていました。
昨日も、一昨日も、「はい」という場面がありました。
これまで心を込めて「はい」と言っていた自信がありません。
短い「はい」なのに、もったいないですね。

心を込めてことばをつかう。
むずかしいことばをつかわない。
品の良いことばをつかう。

古来の日本語「やまとことば」にヒントがたくさんあるそうです。
本を読むたびに、やりたいことが増えますね。