
変化も下手くそな強さも全部可愛がって
今日も今日とて沢山の人に会う生活だ。
会社の人は毎日顔をあわせるけど、時々その人の新しい一面を見られることがある。
これはその人が隠していた一面ではなくて、わたしが最初に知った時からその人が変化したから現れた一面なんだと思う。
珍しく上司のAさんが、ネイルをしてきていた。
Aさんは中性的な、少し男の子みたいな雰囲気の若く見える方で、眼鏡に髪を短く揃えている。
仕事が出来るし真面目で誠実な人だけど、わたしが入社した頃は静かで雑談もあまりしない印象だった。感情的なとこは見たことがない。特に恋愛の話は絶対にしないし、こちらからもふらない、そんなふうだった。
最近、役職に就いて人から頼られることも増えたからか、どんどん輝いていった。
それと同時に彼女の人間性が出てきて、仕事上の雑談は色んな人とする様になっていた。
時に少しうざいくらいの愚痴も話すようになって、わたしは昔とのギャップを思い出して、嬉しかった。
そんなAさんのデスクに行った時、爪がキラキラと光っているのを見つけた。
わたしは嬉しくて、可愛らしいなと思って、
すごく共感した。
Aさんは、スカートも履かないしメイクもしないし、それが自分らしいと思うと同時に、その姿であること=自分で固まっていたのだと思う。
また、そういう自分が周りにどう思われるか、をすごく考えていたのだと思う。
そんなAさんは多分、「モテたい」とか「女の子らしくしたい」じゃなく、純粋に「憧れ」でマニキュアを塗ったのだろう。
わたしもそうだった。
ひとつ上の先輩がキラキラのネイルをしながら仕事をしているのを見て、仕事ができるようになったらわたしもしたいな、と思っていた。
それは純粋な「憧れ」だった。
でも、わたしもそうだったようにAさんも、自分がネイルをしたらどう思われるか、というのを悩んでいたと思う。
悩んでいたから、雑談するようになっても、ネイルはしてなかったんだろう。
でも、「まぁ誰も気にしないか」
という明るい意味での軽さをもってマニキュアを塗れるようになったのだと思う。
その「まぁ誰も気にしないか」にたどり着くまでに、
ここの人たちは自分のアイデンティティについて突っ込んでこないだろう、
自分もこの場に馴染めてきているし、今なら仲間入りできるだろう、
という他人や自分への信頼があってこそのものだ。
考えすぎかもしれないけど、そんなふうに考えて嬉しかった。
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新人の女の子は最近仕事を一人で行うことが多くなって、心がいっぱいいっぱいになっている。
心がいっぱいになった時の防御の方法って、ほんとうに人それぞれだ。
その子は少し悪態づいてこんな大変な手続を受付した、頭がこんらがらがった、と愚痴を漏らすことが増えていた。
「もう本当に疲れました!」と笑いながら愚痴る陰に、
「笑い飛ばせるくらい大丈夫だから!平気だから!」
というメッセージがきっと込められていた。
それに気づいていたのだけれど、だからこそどう触れれば良いのか、どうすれば傷つかないのかわからなくて、
今日ついにその子は泣き出してしまった。
ここまで放ってしまっていた、と力不足を感じると同時に、
やっと一瞬だけ、何の壁もなく言葉を交わせる、と少し安心した。
素直な人の方が周りから可愛がられるし、本人も楽に生きられるのに、私達は周りへの警戒から無意識のうちに笑ったり怒ったり様々な方法で自分を防御してしまう。
その不器用さも気づいて好きでいられる人でいたいな、
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今エントリーしているミスiDは、正解も不正解も無く、フォロワーが多ければ良いわけでも、可愛ければ良いわけでも無い。
わたしはファンもいないし可愛くも若くもないけどセミファイナルまで残らせてもらった。
その中でわたしが唯一不正解だと思っているのは
「一般的に正しそうという理由だけで自分に合わないことをする」
ことだ。
それこそフォロワーは多い方がいいだろう!と向いてないキャラを演じて増やそうとしたりとか、
きっと、それが正解とされる世界の方が圧倒的マジョリティだと思う。
でもミスiDはそれを正解にしてくれない。
正解にしないでいてくれている。
だからわたしも、ああ、これ合わないなぁ、なんだかムズムズするなぁ、と思うことは無理せずしないことにしているし、
それがオーディション的にも正解にしてくれるのは本当に恵まれてる。
(ただ、SNSや配信等アピールできる機会がある時に頭ごなしに向いてない、と思うのでは無くその仕組みと自分が重なる部分を見つけるよう沢山考えてる)
そしてわたし自身、「自分はこうだから」と決め付けせず変わってゆく個性を恐れずそれも表して行きたいし、
もし躓いて立ち直り方が下手くそだったとしても、その下手くそごと愛してもらいたいな、なんて傲慢さをこっそり隠し持っている。
それは他のエントリーしている女の子たちに対しても同じ心を持っておくことと引き換えに。