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最初で最後の転職

転職までの道のり

私は2016年に一度転職をしています。
2014年に新卒で入った会社は小さな制作会社で、私は営業職として就きました。
とは言えクリエイティブを作成している訳ではなく、私が売っていたのは同社が売っていたB2Bのツール。
30人くらいの小さな会社で、色んなスキルを持った各部署の人たちと毎日和気あいあい楽しい日々を送っていました。

ただ、2年間勤めていた中で一点だけずっと違和感に思っていることがありました。
それは、「和気あいあい過ぎている」こと。

私が入社した時、この会社は年内にIPOを目指していると社長が公言していました。
しかし正直なところ、それにしては弱すぎる事業とスピードであることが明らかでした。営業として客先を訪問する中で、いかに世の中のニーズとマッチしていないプロダクトを無理に売っているかを日々感じていました。

そして、会社は結局IPOを延期し、それからIPOしないまま2年が過ぎました。

リクルーターとの出会い

ある時、私は英語が堪能のため、ある外資系のクライアントの担当を任されました。
その会社の社長と話をしている中で、今まで知らなかった外資系の企業のカルチャーと効率性に惚れ込み、ちょうど今の会社が合わないのかもしれない、先が見えない、と思っていた私は自分を売り込むことにしてみました。

但し、その会社はその時点では営業職を募集しておらず、自分に合う他のポジションも見込めなかったのです。
もう気持ちが現職を辞める方向に傾いていたため、どうしようかと悩んでいた時、その外資系企業で私とやり取りをしていた人の奥さんがバイリンガル専門の転職エージェントで働いているから話を聞いてみないかと言ってくれました。

彼女のオフィスがたまたま現職のオフィスから徒歩5分だったため、私はワクワクしながらお邪魔してみることにしました。

彼女と自己紹介をし、たわいもない会話をした後、「実は今回私は担当しないので、別の担当の者を連れてきますね。きっと気が合うと思います。」と彼女は言って部屋を出られたのを覚えています。
転職エージェントの仕組みがよくわかってない私は正直「え!?」という戸惑いが頭をよぎりましたが、その担当の人が来てすぐ心地が良くなりました。

その担当である彼女は、アメリカ出身で英語が堪能。
私たちはすぐ打ち解け、彼女は一つの外資系企業であるA社を紹介してくれました。その時彼女が私に「ここは絶対あなたのことを雇うし、あなたも気に入るわ」と言っていたのを覚えています。
後に働くことになるその企業は、ヨーロッパが本社のIT企業で日本進出してまだ3年という、現職より更に小規模に感じました。
かなり小さく特殊なマーケットのため、ビジネスモデルの理解もままならかったのですが、性格上大企業よりいわゆる「スタートアップ」の方が向いているということは理解していたため、彼女が薦める通りにA社を受けることに。一応、保険として他2社であるB社とC社も受けてみることにしました。

予期せぬ展開①

A社は外資系なので効率も良く、履歴書を提出してからはかなり早かったです。
面接は当然全て英語で、基本オンライン。本社にある人事部とのコールから始まり、最終面接を入れて3回の面接でした。
日本支社の執行役員との面接が2回目(これは対面)、そしてその当時ニューヨークで大学院に通っていた後の私のボスとのコールが最終面接でした。
順調に一週間程度で最終面接まで漕ぎ着き、もう受かるな、と確信していたところでした。

しかし、予想に反して、最終面接を落とされたのです。

理由としては、なんとなくわかっていました。
ニューヨークにいた当時のボスは、東京にいる私とコールをするために朝7時に起き、一方私は夜の11時。お互い眠い目を擦りながら話をしなければならず、なかなか言ってることも掴めなかったのでしょう。あと、彼は英語が母国語ではなく、アクセントがとんでもなく強かったのです。

ただ、私の英語に問題がある訳ではないので、どうも私だけに非があるとは思えませんでした。
原則リクルーター経由で面接を受ける場合、企業側とは直接話せずリクルーターに取り合ってもらうため、納得できなかった私は不合格のお知らせを聞かされた時怒りのメールをリクルーターである彼女に送りました。

予期せぬ展開②

とは言え落とされたことは事実なので、保険の2社に賭ける心構えをしようとしていたその時、落とされたA社の二次面接で話した日本支社の執行役員であるCさんから一本の電話が。
リクルーターを通すのが通常ですが、無視するのもちょっと悪いので電話に出てみることにしました。
すると、「オフィスに来てみない?」と誘われました。

・・・え?
落とされたのに?オフィスに行くの?と聞いてみると、それについても一度話しがしたいということでした。
もうこの時点で振り回されている感にイライラしましたが、断るのも失礼かと思い、オフィスに行ってみることにしました。ちなみにCさんはアメリカ人なので、英語で話します。

オフィスでは8人のメンバーが見学に来た私を暖かく迎えてくれました。
自己紹介を含めて会話をした後、Cさんと外で会話をする流れに。
そこでCさんは私にこう言いました。
「この前は申し訳なかったね。君の英語に問題があるとは全く思っていないんだ。ニューヨークにいた彼とは、対面なら全く問題ないと思うんだけど、どう?」
まぁ、そりゃそうだわね。てか当たり前じゃない・・・?と心の中で思いながら、「結果的に時差の問題で話が噛み合わなかっただけかもしれないから、もちろん対面では問題ないと思う」という回答をすると、「じゃあまた電話するね」と言われ、送り出されました。

電話するねと言われても、流れがよくわからないままだけど・・・とりあえず既に落とされてるからこの会社もあてにならないし、保険の会社も受けないと。と頭の中で切り替えをしながらオフィスを出ました。
今考えるととても振り回されていますね。

リクルーターの仕業

その2日後、まだ残っていた保険であるB社との一次面接のため都内某所のオフィスに訪れました。
受付で面接に来た旨を伝えると、受付の方が「んー、大変申し訳ないんですが、面接は来週に設定されていますね。」と。
ん?いや、そんな訳はない。だってリクルーターからのメールに今日の日付が書いてあるんだから。
一瞬内心で焦った私ですが、疲れていたのでこの時は素直に受け止めて帰ることにしました。

そのオフィスを出てすぐリクルーターに電話すると、彼女はその日はお休みで代理の方が電話に出てくれました。
「面接の日程が来週に変更になったことを伝えておらず、大変申し訳ないです。」とのことでした。
まぁ、人間だもの、ミスはありますので、仕方ない。
来週まで時間が出来たと思って、仕事に戻りました。

そしてその次の日、A社の本社の人事部からメールが。
開いてみると、なんと、是非会社に入って欲しいという内容と、今後の流れ、そして契約書が添付されていました。
嬉しくて家族全員に言いふらし、そして何よりすぐリクルーターである彼女に電話をしました。
「おめでとう!じゃあ今週お祝いのランチをしようね!」と、美味しいお鮨をご馳走してくれる約束までしました。

その時の彼女の声を聞いて、私は一つ確信しました。
保険で受けていたB社との面接は、彼女があえて一週間遅らせていたこと。
そしてもう一社には私の履歴書さえも送っていなかったこと。
多分単純に私に伝え忘れちゃったのでしょうが、彼女はA社が私を雇うことを知っていたので、他の会社を受ける必要が既にないと思っていたのですね。
彼女が最初に言った通り、A社は確かに私を雇ったのですから。

自分史上最高の会社

そんなこんなで、今はA社で6年目。管理職になりました。
世界をまたにかけ、毎日頭をフル回転し、素晴らしいチームに恵まれ、楽しく過ごしています。
辞めようと思ったことも幾度かありますが、正直この会社よりいい会社は見つからないことが目に見えているので、無駄かもしれません。
次回の転職は苦労しそうです。

また、副業もOKなので、実は自分の会社も経営しています。
二足の草鞋でも会社の理解のお陰で上手く両立ができていて、会社のメンバーも応援してくれており、日々感謝しかありません。

縁やタイミングもありますが、転職は何も自分でやらなくてもいい。
周りの力を借りて、自分に合った職場を見つけることができます。
今だと思った時に踏み込んだ、あの時の自分と、リクルーターの彼女に感謝しています。



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