万千野みなと

フリーの構成作家兼動画クリエイター。 「待野水音」として音楽活動も行っている。

万千野みなと

フリーの構成作家兼動画クリエイター。 「待野水音」として音楽活動も行っている。

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投票

俺の知り合いには色んな温度感で音楽をやっている人がいて、その中には明日のスターを夢みるシンガーソングライターなんかもいる。 その内のひとりが、ある日急にLINEを送ってきた。 内容を要約すると「ライブに出るために、このURLから投票してください」と。 いわゆる「投票制オーディション」というやつだ。 多分、最後の追い込み的に、普段関わりも薄い俺にまでダメ元で依頼してきたようだった。 色々言いたいことはあった。 ただ俺が一番悲しかったのは「曲を聞いて良いと思ったら」とか「私が

    • 小指

      あなたがロボットやアンドロイドの類でない限り、体の不調を経験したことは一度や二度では済まないと思う。 では「こういう時に決まってこうなる」という不調の出方は経験したことはあるだろうか。 例えば「目が疲れると肩凝りする」などはよく聞く話だが、「アルコールを摂り過ぎると下痢になる」とか、「運動し過ぎると頭痛がする」というような、あまりマジョリティとは言えない、因果関係もはっきりしないような「マイ体の決まり事」がある人も少なからずいると思う。 それが俺の場合、 「ストレスが溜ま

      • 期待

        「待野さん、あなた他人に”期待”してないでしょう?」 心がどうにも落ち着かなくなった。 そんな時、オンライン診療を受け付けている心理カウンセラーがいると知って、藁にもすがる気持ちで相談をすることにした。 1ヶ月に1度、1時間。 自分の生い立ちから物事の考え方、最近起きた出来事などを詳らかに話した。 そして、4回目の診療の際、画面越しのカウンセラーは俺に上述の言葉を告げたのである。 期待。 俺の中に「期待」という感情がないわけではない。 例えば、応援している野球チームの

        • 音楽なんて出来なけりゃ

          顔も良くない スタイルも悪い 勉強も出来ない 運動神経も悪い 絵心もなけりゃ 字も汚い そんな自分が唯一 人から褒められたのが 音楽だった 3歳からピアノを始めて 小中学校では男子でピアノが弾けるのが物珍しいから 合唱の伴奏はいつも自分だった 同級生から褒められ 先生から褒められ 友達の保護者からも褒められ 初めて人から認められる快感を覚えた いつしか将来の夢は音楽家になった 高校ではクラスのマドンナがギターをやり始めるってなって 音楽詳しそうだからという理由で

          朝井リョウの「正欲」を読んだんだけど(微ネタバレ)

          先週末、友達に「朝井リョウの"正欲"という小説が面白い」と聞いた。 朝井リョウ。 オードリーのANNリスナーなら一度は耳にしたことがあるその名前。 もちろんそうでなかったとしても映像化された原作をたくさん書いていることもあって名前と代表作いくつかは言えるのだが… オードリー若林の口からその名前が出るたびに「あぁ一回ぐらいは執筆する小説を読んでみたいなー読まないとなー」と思いながら、なかなか踏ん切りがつかなかった。 というのも小説があまり得意ではない。 厳密に言うと「小説

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          yamaと、藤井風と、オリコンと。

          今日2022年10月10日0時に、藤井風が「grace」がデジタルリリースした。 この曲はdocomoとのタイアップでTV CMでも使用されている。 その前の週、10月2日にyamaの新曲「色彩」が各サブスクリプションにて解禁となった。 この人気アーティスト二人のリリースにはとある共通点がある。 それはリリースが「水曜日じゃない」ということだ。 元来、CDのリリースとは水曜日に行われるのが通例だった。 これはオリコンのウィークリーランキング集計が大きく関わっている。

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          M-1グランプリは一回終わった方がいい

          オードリーが2008年のM-1グランプリで2位となった後、彼らが売れるまでの苦労話を何度かメディアで聞いた。 ショーパブでの活動、ボケとツッコミの入れ替え、春日の格闘技挑戦、さまざまな紆余曲折を経て春日のキャラ漫才でようやくテレビに出演出来るようになり、そしてM-1でその苦労は報われた、というもので、それは今でも感動ストーリーとして語られている。 しかし、忘れてはいけない。 彼らはM-1に出た当時まだ8年目で、2人とも二十代だったのだ。 ご存知の通り、2010年までのM

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          「嫌い」を「嫌い」で返すことの無駄さ

          自分のことを嫌いな人に、脳みそや心のキャパシティを割く必要はない。 自分のことを好いてくれる人の為に自らが持っている能力をフルで使う方が、お互い幸せになれると思う。 以前は「嫌い」を「嫌い」で返すことが多かった。 自分のことを嫌っている人は、自分の良さを理解していないんだと腹を立て、その人のことを悪く言ったり、忌み嫌う為にその人のことを考える時間があったりした。 嫌われているから、嫌う。 こうすることで無意識下で相手との戦いをイーブンに持ち込もうとする自分がいた。 し

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          アイドルグループは10年で「強制解散」ってことにしませんか?

          その昔、アイドルグループというのはどんなに絶大な人気を誇っても10年までには解散していた。 女性グループの代表格で言えばキャンディーズが5年(1973−1978)、ピンク・レディーも5年(1976-1981)。Winkは8年(1988-1996)と比較的長かった。おニャン子クラブに至っては2年(1985-1987)であったが、今でも語り継がれるほどの伝説のアイドルグループである。 一方男性グループで言うとずうとるびが8年(1974-1982)、男闘呼組 も8年(1985-

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          幽霊なんて馬鹿馬鹿しい

          タイムマシンがこの先開発されないことは、俺たちの目の前に未来人が現れない時点で証明が完了している。 こんな単純な話を、やれ「タイムパトロールが未来人であることを明かすのを禁止している」だの、「気づいていないだけで未来人は既に暗躍している」だの、馬鹿げた理由を思いついては引っ掻き回そうとするのが「タイムマシン肯定派」である。 しかし、タイムマシンの「タ」の字にも到達していない我々の時代に思いつくような、創作的かつご都合主義的なルール通りに未来人全員が動くわけがない。コロナ禍の

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          ただ情けない

          「正直、もう限界だ」 新大阪の駅で、修学旅行かなんかで来阪したのであろうブクブクに太った中学生の、使い慣れない、海外旅行でも行くのかと言わんばかりのジャンボキャリーケースのキャスターに足を引かれて、俺はそう思った。 子供の頃からずっと俺は言いたいことをぐっと飲み込む性格だった。怒りにせよ、辛さにせよ、悲しみにせよ、マイナスの感情については基本的に表現してこなかった。 コトを荒立てるのが嫌だったし、人が怒る顔を見るのが怖かった。 自分が堪えることで周りが幸せになれるならそれ

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