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夫の不在にわくわくする


「土曜日は実家に泊まろうかな」

金曜日、夫から言われた。
実家に行くとは聞いていたけど、泊まることにしたらしい。

「そうなんだ。ゆっくりしてきてね。」

何でもない顔で、そうこたえるわたし。


だけど心の中では


よっっつしゃああああ!!!!


そう思った。

えっ、まじすか?!泊まってくれちゃうの?
いや〜土曜日!やったあ!好き放題しよーっと!


もう本当に、こんなことを思った。
(この記事絶対夫に見られてはいけないね。)


基本的に夫は、仕事が終わると真っ直ぐ家に帰ってくる。(あ。無職だった夫、仕事決まりました。もう働いてます。)
飲みにも行かないし、休日に用事があっても
夕方には帰ってくるような人。
本人曰く、家が一番好きらしい。
まあインドアなんですよ。


夫のことは大好きで、なんの不満もないけれど
わたしは、たまには一人になりたいなあ。と思う夜もある。
もともと一人が好きな人間なのだ。
だから何も気にしなくていい一人の夜は
小躍りしそうになるくらいうれしかった。




そして迎えた土曜日。




朝起きて夫としゃべる。
それから二度寝をして、目覚めると
もう夫はいなかった。



行ってらっしゃいくらい、言いたかったな。
そう思いつつ、一人で珈琲を飲んだり
noteを読んだりしてのんびり過ごす。


のんびりしすぎて
あっという間にいい時間。

この日はいくつか、一人の予定があったのだ。
慌てて支度を済ませ、外にでた。


まず吉祥寺のZINEフェスへ行ったあと
愛するKバレエカンパニーの新作
【マーメイド】のソワレ公演を観に行った。
(長くなりそうなので、ここでは感想等は省略する。)
その後はサイゼリヤへ入り、
どのメニューにしようか。ドリンクバーでは何を飲もうか…とわくわくする。
遅めの夕食をとりながら
ああ、なんて素敵な一日なんだろう…と極上の時間に酔いしれた。

昼過ぎから夜遅くまで外にいたけれど
家に帰っても、今日は一人。


時間も夜ごはんのことも気にせず帰宅できる気楽さ、誰もいない部屋の気楽さったらたまらない。
ああ…至福。


帰宅してからも、ZINEフェスで買ったZINEを広げて読んだり眺めたり、そういえば人魚姫の原作ってあの場面はどうなるんだっけ、などとアンデルセンの人魚姫を引っ張り出して読み始めたりと
一人で思う存分に今日という日の余韻を楽しんでいたら
あっという間に深夜4時になってしまった。


…。

一人だとしてもさすがにまずい。
そろそろお風呂に入るかと重い腰をあげ
夜中なのか早朝なのか、とにかくとんでもない時間からお風呂場へ向かう。


のんびり湯船に浸かり
湯船から出た後は素っ裸でリビングに向かい
仁王立ちになって冷たいクーラーの風を全身に浴びた。
夫がいたら絶対にやらないことだ。

そしてしばらく素っ裸でリビングをウロウロして、ああ…一人って本当最高。と思うのだった。


夫の不在に対してなんの寂しさも感じないことに自分でも不安になったけど
実はちょっとだけ、胸がぎゅっとなることがあった。

お風呂あがりに何か冷たいものでも食べようと冷蔵庫を開けると、ひとつだけゼリーがある。


そういえばこないだ、わたしが体調が悪くて吐き気や過呼吸で食欲もなかったときに
夫が買ってきてくれたものだった。

「mimiちゃん、ゼリー買ってきたから食べてね。」


いつだってわたしのことを大事にしてくれる
夫の言葉を思い出して、胸がぎゅっとなった。
(でも寂しい、とはならない。)


会いたいなあ。


夫の買ってきてくれたゼリーを食べながら、
そう思う。

いや。でも、でもさ…
パンツも履かずに素っ裸でゼリーを食べるこんな姿は、夫に絶対見せられない。

しかも湯船に浸かったり、本を読んだり、ゼリーを食べていたらなんと朝の6時になってしまった。


素っ裸で朝の6時まで夜更かし…
いや、もはや夜明けである。
こんなことは夫がいたら絶対にしないこと。
もう好き放題、やりたい放題…
でもそんな時間が楽しくて仕方ない。


うーん。やっぱり、一人最高。
パンツも履かずにゼリーを口に運び
夫のいない極上の一夜を味わうのだった。



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