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#それでもスポーツで生きていく・#15

~各論【第1章】
スポーツの『存在目的』に耳を傾ける旅
大井編(五輪恒久スポーツ施設編)

こんにちは、スポーツエッセイスト・岡田浩志です。

青春18きっぷを使い、各地のスポーツ現場を見てまわる旅の途上にいます。今回は気温37度という環境下で行われた、東京2020・テストイベントの模様をお伝えします。

READY STEADY TOKYO とは

このテストイベント、2020東京オリンピック・パラリンピックの成功に向け、競技運営及び大会運営の能力を高めることを目的として、実施されるものです。

こうしたテストは過去の大会でも実施されており、2020年東京五輪においても、各競技実施されます。そのうち、大会組織委員会が主催するものに、「READY STEADY TOKYO」の名称・ロゴが使用されています。

新設された大井ホッケー競技場

今回僕がお邪魔したのは、大井ホッケー競技場。浜松町から羽田空港を結ぶ東京モノレール・大井競馬場前駅から徒歩圏に位置し、屋根付きの大きなメインスタンドを持つホッケー専用競技場です。

今回は、テストイベントということで、一般向けの公開は行われず、関係者向けに事前に招待パスの発行が行われ、会場前には長蛇の列が。

気温37度で11時45分に第一試合のスタート、という厳しい気象環境でしたが、大会組織委員会の号令のもと、会場では猛暑対策を徹底し、観客の受け入れを図っていました。

メディアの注目を集めたもの

ミストを張り巡らせたテントの設置、飲料水の配布、氷水の提供など、東京都や大田区など、行政の方々が中心となり来場者の熱中症対策が徹底されていました。

会場には取材のカメラもたくさん入っていましたが、取材陣の注目はこれらの対策にあったようで、実際に、今日のイベント後メディアに掲載された記事を確認すると、暑さ対策披露式典の記事が目立ちます。

ホッケー、暑さ対策試す=散水量は調整必要-東京五輪テスト大会
2019年08月17日17時21分

今スポーツ界が発信したいことは何か

今回、このテストイベントが大会組織委員会の主催で、記念式典には小池百合子都知事の列席もあり、都や区の取り組みの方が、広報的にも運営的にも目につきやすいレイアウトになっていました。

ファン層拡大の絶好の機会と捉える競技団体側も、ホッケーの普及コーナーを設け、PRに必死の様子でしたが、メインスタンドの屋根下スペースでひっそりと行われており、観客のどれだけの人に目が触れたか、露出が充分でない印象を得ました。

競技団体がイベントの主体になること

この「READY STEADY TOKYO」というテストイベントに限らず、本大会の各競技の運営においても、各競技団体(NF)が、どれだけ運営の主体になれるか、とても重要なポイントといえます。

競技進行面については、当然、各競技団体の力の発揮どころなのですが、それ以外の来場者対応で、どこまで競技団体がイニシアティブをとれるか、それが2020年以降の、その競技の発展を左右する、といっても過言ではありません。

今後予定されている各競技のテストイベントが以下のサイトに纏められています。主催が組織委員会か、競技団体かについても逐一整理されています。

東京2020テストイベント | 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 - Tokyo 2020
https://tokyo2020.org/jp/games/sport/testevents/

こうしたイベントのイニシアティブを取れる取れないで、ある程度、その競技団体の普及力を図れてしまうのではないか、とも考えられそうです。

一体誰のための大会なのか

今回、会場内で伺った話ですが、本大会で6枚ものホッケーのチケットを買われている方が、このテストイベントが関係者招待のみで一般観覧不可だったため、会場内に入ることができず、会場の工事現場の柵ごしに中の様子を気にされていたとのこと。

この話を聞いて、一体この2020年の大会は誰のために開催されるのか、との思いがよぎりました。

確かにテストイベントということで、一般ファンの方々へのカスタマーエクスペリエンスは、大会本番に向けて充実させる意図があるのだとは思います。

ですが、この顧客目線不在のテストイベントを見て、本大会がかえって心配になる印象を受けたことも確かです。

なぜ東京五輪テスト大会に観客を入れないのか 組織委員会に聞いた
https://news.nifty.com/article/sports/athletic/12136-374276/

このような記事も見かけました。大会まで1年を切り、大会組織委員会、各競技団体の正念場は続きます。

スポーツ界にとって2020年が、諸課題解決のきっかけとなることを切に願っています。

スポーツエッセイスト
岡田浩志

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