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26歳サラリーマンの読書記録 #55|マネーロンダリング

おつかれさまです。たにしマン(@millionworkout)です。

ベストセラー「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」の著者である、橘玲さんのデビュー作です。

2001年の日本と香港が舞台です。主人公はヘッジファンドでの挫折を契機に香港に流れ着き、日本人の小金持ちに税金逃れの方法をアドバイスして過ごしていました。

そこに絶世の美女が仕事の依頼に来るところから物語は展開します。

普段生活している中では全く触れることのない、税金の仕組みや大金持ちの資産管理について圧倒的に詳細に描かれており、サスペンスのなかに現実味を持たせています。

個人投資家や金融機関勤めの方にとっては、かなり面白い作品になっていると思います。

たいていの人間は、自分がまったく理解できないことは、徹底的に拒絶するか。盲目的にしんようするか、どちらかしかできない。

橘玲.マネーロンダリング.株式会社幻冬舎

これは、冒頭のシーンに出てくる一文です。脱税しようと主人公を訪ねてきた零細企業の社長夫婦に向けられた言葉は、世の中のあらゆることに共通しています。

お金だけ持っていても、世の中の仕組みや扱い方を自分で考えることができなければ、本当にお金を持っていることにはならないのです。

これだけ情報が氾濫する世の中に生きていても、「知っている」ということが強みになる分野はまだまだ存在しているということですね。それは、例えば税金制度のような人間が作り出した不完全な制度の中に数多く見つかるのかもしれません。

一生、働かなくてもいいだけの金を手にした若者たちがどのように堕落していくのか身をもって体験したからだ。

橘玲.マネーロンダリング.株式会社幻冬舎

スイスのプライベートバンクから超VIP待遇をうける大金持ちの老人が孫にどうやって資産を残すかを語るシーンです。

お金は少なすぎても多く持ちすぎても、人間を破滅させます。

お金を稼ぐ過程で大金を持つだけの人間力を鍛えておく必要がありそうです。お金があっても無くても、お金だけを追うようになると人間ではいられなくなります。

まるで薬物中毒者がクスリのことしか考えられなくなるように、脳みそがお金に支配されてしまうのでしょうか。

この物語では、お金に憑りつかれた女に溺れた人間も破滅します。唯一生き残ったのは愛する女を守ろうとした男でした。

人間の汚いところが鮮明に描かれていて引き込まれる作品になっています。

それと、金融を勉強したくなる一冊ですね。




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