『一度挫折を経験しておいた方がいいよ』は嘘だ

「あなたは一度どん底を味わっておいた方がいいと思う」

というのは、よくお母さんが私に言っていた言葉だ。 幸いなことに、受験など人生の転機において大きな失敗をしたことがなかった私は、おそらく調子に乗って見えていたんだと思う。

何一つ不自由なく暮らし、家族に守られ、友達に恵まれ、のうのうと生きていた。

そんなある日、ついに『どん底』というやつがやってきた。

それは、途方もなく長く、延々と続くトンネルのように真っ暗で出口の見えない絶望だった。（それはもう表現できないほどに）

来る日も来る日も泣いたし食欲も出ない。何より、明日が見えないのに生きなくちゃいけないのが本当にしんどかった。

しかし、これがお母さんがよく言ってた『挫折』かぁ…と俯瞰して自分を見ながら思った。

これ、味わう必要あった？

正直に言うと、いらないと思った。

挫折なんて、味わわなくても良いのであれば味わわない方が良いに決まってる！！

稀に、

『若いうちに失敗しておいた方がいいよな〜』

と悩んでいる人がいるが、知らなくて済むのなら知らない方が絶対幸せだし、意図的に失敗を起こすみたいな馬鹿げたことはやめてほしい。

だって、絶対どっかで挫折するもん！！！

どん底なんてない人生の方が良い。でも絶対に大なり小なりどん底はどこかでやってきてしまう。

そこから這い上がろうとすると人は成長するんだろうか。

もちろん、ダメなことだけじゃなく、失敗から学ぶことはたくさんあるだろう。そこに関しては、『挫折を味わうこと』はネガティブなことだけじゃない。

ただ、一度どん底にズドーンと落ちたときの痛みは多分、一生残り続ける。

現に私は、この傷を長年引きずってるしぶっちゃけその失敗が今に活かせているのかもよくわからない。

とは言え、失敗を恐れてビクビクするのも違うし、じゃあどうすればいいのかっていうと、**『一度も失敗をしたことない人は弱い』みたいな虚言に囚われて悩まないこと。 **

別に一度も失敗したことがなくてもええねん。

挫折を経験してないなんてラッキーだよ。

それでいいじゃんね。