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「知らなかったとき」に戻ると、わかりやすい文章が書ける

今日は「人に読まれるための文章」のお話をちょっとしたい。

先日「初心者ライター向けのイベント」に登壇する機会があった。質問項目は先方がある程度出してはくれるものの、自分でも考えたかったのでいくつか案出しをした。

すでにライターとして書き始めて3年。

「初心者ライター」時代をとうに終えてしまったわたしは、つい「今のこと」を考えてしまいがちだ。

実際に、最初にイベントが決まったときにいただいた質問のなかには、「現在どのようなことをやっているのか」という「現在」を聞くものもあった。たしかに、「現在」を語るのはたやすい。

でも、よくよく考えてみる。果たして初心者ライターが「現在のこと」を聞いたところで、すぐに活かせるのか?と。

ここで、一度自分が初心者ライターだったころを思い出してみる。自分が当時知りたかったことは何だろう?そして、3年経った今でも応用できることはなんだろう?と。

そうやって、「何も知らなかったときの自分」に時を戻してみると、イベントに参加する初心者ライターが知りたいこと、つまり「質問項目」が見えてくるのだ。

いただいた質問のなかに、「取材のとき、どうやって質問項目を出すんですか?」というのがあった。

取材をするときも同じだ。「何も知らないとき」に戻ること。

取材をするとき、取材対象者のことをめちゃくちゃ調べる。いろんなインタビューや書籍を読み漁り、ツイートを追い、基本情報をインプットする。

そうすると、インタビューしなくても全部知っている状態にはなってしまうのだが、今度はそれを一度忘れて、「何も知らなかったころの自分」に戻り、まっさらな気持ちで質問をするのだ。

「知らなかったとき」に戻るとどうなるのか。

「こんなことも知らないの?常識じゃん?」と読者を置いてけぼりにする自分を生まずに済む。

「そうそう!こんなことが知りたかったんだよ!」と読者にちゃんと寄り添えるようになる。

自分にとって既知のことを当たり前のように書いても、そんなこと読者は知ったこっちゃないのだ。

割り算を習ったばかりで「あまり2」の世界にいる小学生に、いきなり小数点込みで算数を教えているようなものである。

「知らなかったとき」に戻るのはなかなか難しい。もうすでに知ってしまっているぶん、思い出せない気持ちもあると思う。

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すでに知っていることを、わかりやすく書くというのは、書き手にとってつまらないことに感じられるかもしれないが、自分が何気なくやってきたことを言語化してみると、「自分はこんなことを考えていたんだな」と新しい自分を発見することもできる。

自分のために書くなら何をどう書いたって構わない。

でも、読まれたいという観点で考えるのなら、読者の「こんなことが知りたい」に寄り添ってみてほしい。

「知らなかったとき」のまっさらな自分に戻ってみよう。

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