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【小説未満】サイダーの海
彼が隣のクラスの女の子からラブレターをもらったことを聞いたのは、縁側に素足を投げ出して、最近出て来た若い女性作家のお粗末な恋愛小説を読んでいるときだった。どこか嬉々とした様子でわざわざ報告をしに来た彼を一瞥して
「そう」
とだけ言ってページに視線を戻した。ぱさ、睫毛を頬に感じて、伏し目のまま何度か瞬きをしてみせる。
「でも大丈夫、俺が好きなのは結衣だけだから」
浅黒い肌に真
彼が隣のクラスの女の子からラブレターをもらったことを聞いたのは、縁側に素足を投げ出して、最近出て来た若い女性作家のお粗末な恋愛小説を読んでいるときだった。どこか嬉々とした様子でわざわざ報告をしに来た彼を一瞥して
「そう」
とだけ言ってページに視線を戻した。ぱさ、睫毛を頬に感じて、伏し目のまま何度か瞬きをしてみせる。
「でも大丈夫、俺が好きなのは結衣だけだから」
浅黒い肌に真